飛翔する空に陰りは無く
あたしはあたしの切っ先を噛んで 「あたしの」空を飛ぶ
嫌悪の爪15℃
運命の音楽が生ぬるく頬に張り付く
その退屈さを牙で食んで あたしはあたしの焦燥を食らう
彼らの言う運命を 煙草を吸いながら 15℃の目を細めて眺めてる
何度も訪れる春に死を見ていた
彼女らの陣痛は死ぬことの出来ない者の呻き
あたしはがりがりと地を掻いて 一匹の幼獣を産む
幸福、と言った
あたしは嫌悪のままに幼獣に食らいつく
幼獣は白い牙を剥いて あたしをばりばりと喰らっていく
月
彼の腕を 足を 首を探して
あたしは教室を彷徨っていた
彼は涙を落としているに違いない 絶望しているに違いない
あたしは駆けていく
彼の指を 腰を 頭を探した
校庭を 三叉路を 鴉の巣の中を あたしは探し歩く
あたしが抱きしめてあげなきゃ
彼は震えているに違いない
飛翔する空に限りは無く
あたしはあたしの両腕を翼に変え 幼獣の血を飲み 運命に抗う
「うんめい?は?殺してやる」
スピーカーから流れるjesus and mary chainの「I Hate Rock'n'Roll」
陽
あたしには影が無い 凡ては運命の成すがまま
あたしは呼吸を殺して 探している サーチライトの瞳
凡てが焼き付けられているのなら 言葉は浮遊するべきだ
死ぬことの出来ない者達の呻きが春を呼ぶ
あたしはがりがりと地を掻いて 嫌悪を膨らませて 鳩のように震える
あたしの襟足は逆立ち
瞳は凪いでいく
あたしはここに巣を作れないと思った
空を目指す
あの少年は病むべきものの王だった
あたしの掌は彼の感触を忘れることが無い
凡てを涙に変えて あたしは血塗れの瞳を見開く
バールのようなものとカンテラを装備して
あたしはあの聖堂を壊しに行こうと思う
あたしの血と肉と骨は あたしのためにくべられる
決して癒されない血と肉と骨の果てで 貴方を抱きしめたい
野犬達を引き連れて
あたしは野の百合を抱く
彼はあたしの血と涙を知っていた
空に建設されるカテドラルで会お?
凡てが壊れていくのなら
あたしはこの両腕を翼に変えて 偽りの無い空を飛ぶ
飛翔する空に陰りは無く
無音の果てに
いつか撃ち落されるまで flight
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選出作品
作品 - 20190114_207_11004p
- [佳] flight - 白犬 (2019-01)
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白犬