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作品 - 20181117_651_10903p

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Out of the Blue

  氷魚

あー、うん、だから、あーだこーだ、なんだかんだ言って、あたしら多面体なんだ、とうとさ束ねて立派でいるんだ、っていう妄想、に酔って、酔わされ、火傷したまんま、マゼンタの吐息を、心臓に滑らせて透き通った血管にトパーズを浸すんだっていう。臆病だし、別にいいやって、煙った青色にどこかしら大人びてる、多分生きてる、息してる、完全に青々だから、青々、あおあお、あお。

呼び鈴を鳴らして溶けだした利き手から、青空、手繰りよせて紡ぐのは、恋のようなもので、羨望に似ていて、波止場、時計塔、電信柱にふくろう、さえずるカナリアの夢を見ていたりする、どーしたってマゼンタなんだ、侵されちゃってあーいやだやだ、望み薄だって、抱えきれなくって、似てるね、どうも似てるね、って彼女、今日もマゼンタを着るからあたしは青空になりたいんだよ、

いっそ着床してくれよ、絶え間なく揺らぐ蒼糸、喉につまったささくれ、音符、あー溶けだそ溶けちゃお、半回転して、森に沈んで、種になって魚になって。爛れた金平糖の指先、淡雪に帰したアルバムの栞に青空を見るけど見えるのは埃やら結晶やらで、多分ひとしずくの何とも言えない心からの、つまりもうなんだっていいんだよ、何もかも有耶無耶にして、もうほとんど残ってない「あたし」詰めて、ほらもういっそ、なるようになれって君が言うから、蒼くって、やっぱマゼンタで、とめどなく流れてって、溶けだしてって、

探しているのは水色で囚われてるのはマゼンタで、マゼンタっていうのは君の叔母であたしの叔父で確かなお話で君とあたしの子どもなんだってこと。それはもう仕方がなくって、夜に満ちて、朝を枯らし、星を溺らす間のつかの間だってこと、そんな味付けなんだってこと。

ティースプーン1杯/君の脊髄

つれてって、遠く遠く烟るより、青と、届くようなマゼンタに、あーあと、ほうじ茶プラスとろろ昆布。

文学極道

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