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2018年11月分

次点佳作 (投稿日時順)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


Mr. Bojangles。

  田中宏輔



「世界にはただ一冊の書物しかない。」というマラルメの言葉を
どの書物に目を通しても、「読み手はただ自分自身をそこに見出す
ことしかできない。」ととると、わたしたちは無数の書物となった
無数の自分自身と出会うことになる。
しかし、その無数の自分は、同時にただひとりの自分でもある。
したがって、世界には、ただひとりの人間しかいないことになる。
細部を見る目は貧しい。
ありふれた事物が希有なものとなる。
交わされた言葉は、わたしたちよりも永遠に近い。
見慣れたものが見慣れぬものとなる。
それもそのうちに、ありふれた、見慣れたものとなる。
もう愛を求める必要などなくなってしまった。
なぜなら、ぼく自身が愛になってしまったのだから。
愛する理由と、愛そのものとは区別されなければならない。
眠っている間にも、無意識の領域でも、ロゴスが働く。
夜になっても、太陽がなくなるわけではない。
流れる水が川の形を変える。
浮かび漂う雲が空に形を与える。
わたし自身が、わたしの一部のなかで生まれる。
それでも、まだ一度も光に照らされたことのない闇がある。
ぼくたちは、空間がなければ見つめ合うことができない。
ぼくたちをつくる、ぼくたちでいっぱいの闇。
ぼくの知らないぼくがいる。
わたしでないものが、紛れ込んでいるからであろうか?
語は定義されたとたん、その定義を逸脱しようとする。
言葉は自らの進化のために、人間存在を消尽する。
輸入食料品店で、蜂蜜の入ったビンを眺める。
蜜蜂たちが、花から花の蜜を集めてくる。
花の種類によって、集められた蜜の味が異なる。
たくさんの巣が、それぞれ、異なる蜜で満たされていく。


義母

  

お母さんに逢うため、鳥のように羽ばたき、カマキリのように身構え、馬のたてがみのように揺れるメタファーは既に備わっている。
高鳴る心臓に爪先の雨を降らせた金魚鉢に沈む海を、抹殺した夏の暑さが、わき腹から漏れださないように、お母さんは色のまま化石になった。
清掃婦は道を汚しながら歩いている。地球の自転は岸壁に染みついた嘘をもみ消し続ける。季節をひとつ捨てる毎に、茜雲の色に砕ける波が削った、家の灯りが身にしみる。
母の海は青く、母の地は紅い、魚村は出汁のとり方が都会と違う。箸を並べる順番で子供は育つ。旅立ちの理由を、自分の箸を握りしめる癖にする。
列車は山脈をゆく。車窓がとても明るい。月光が星の意思を邪魔をしないよう、手のひらは夜を翳している。
お母さんのようなあなたは、あなたのようなお母さん。
車掌が座席に近づいてきた。そして聞いているのだ。
お母さんのようなあなたは、お母さんの切符ですか?
線路の上で車両は揺さぶられている。


ケルンのよかマンボウ。あるいは 神は 徘徊する 金魚の群れ。

  田中宏輔



きのう、ジミーちゃんと電話で話してて
たれる
もらす
しみる
こく
はく
さらす
といった
普通の言葉でも
なんだかいやな印象の言葉があるねって。
そんな言葉をぶつぶつと
つぶやきながら
本屋のなかをうろうろする。
ってのは、どうよ! 笑。
ぼくの金魚鉢になってくれる?
虫たちはもうそろそろ手足を伸ばして
うごめきはじめているころだろう。
不幸は一人ではやってこないというが
なにものも、ひとりではやってこない。
なにごとも、ただそれだけではやってこないのである。
絵に描いたような絵。
わたしの神は一本の歯ブラシである。
わたしの使っている歯ブラシが神であった。
神は歯ブラシのすみずみまで神であった。
主婦、荒野をさ迷う。
きのう見た光景をゲーゲー吐き戻してしまった。
暴れまわる母が、一頭の牛に牽かれてやってきた。
兄は、口に出して考える癖があった。
口から、コップやコーヒーや
スプーンやミルクや
文庫本やフロイトや
カーネル・サンダースの人形や英和辞典を
ゲロゲロ吐き出して考えていた。
壁は多面体だった。
一つ一つ、すべての壁面に印をつけていくと、
天井と床も入れて、二十四面あった。
二十四面のそれぞれの壁に耳をくっつけて
それぞれの部屋の音を聞くと
二十四面のそれぞれの部屋の音が聞こえてきた。
5かける5は25だった。
ぼくの正義のヤリは、ふるえていた。
どうして、ぼくのパパやママは、働かなくちゃならないの?
子供たちの素朴な疑問に、ノーベル賞受賞者たちが答える。
という文庫本があった。
友だちのジミーちゃんは、こういった。
悪だからである。
たしかに、楽園を追放されることにたることをしたのだから。
やっぱり、ぼくの友だちだ。
すんばらしい。
エレベーターが
スコスコッと、前後左右上下、
斜め、横、縦、縦、横、斜め、横、にすばやく移動する。
わたしの記憶もまた
スコスコッと、前後左右上下、
斜め、横、縦、縦、横、斜め、横、にすばやく移動する。
ぼくの金魚鉢になってくれる?
草原の上の
ビチグソ。
しかもクリスチャン。笑。
それでいいのかもね。
そだね。
行けなさそうな顔をしてる。
道路の上の赤い円錐がジャマだ。
百の赤い円錐。
スイ。
神は文字の上にいるのではない。
文字と文字の間なのね。
印刷された文字と文字の間って
紙のことなのね。
一ミリの厚さにも満たない薄い薄い紙のこと。
神は紙だから
って。
神さまは、前と後ろを文字文字に呪縛されて
ぎゅうぎゅう
もうもう
牛さん、飴さん、たいへん
ぼく。
携帯で神に信号を発する。
携帯を神に向けてはっしん。
って
ぎゃって
投げつけてやる。
ぼくは、頭をどんどん壁にぶつけて
神さまは、頭が痛いって
ぼくは、頭から知を流しつづける。
血だ
友だちのフリをする。
あのとき
看護婦は、ぼくのことを殴った
じゃなく
しばいた。
ぼくの病室は、全身で泣いて
ぼくの涙が悔しくて
スリッパを口にくわえて
びゅんびゅん泣いていた。
ああ、神さまは、ぼくがほんとうに悲しんでいるのを見て
夕方になると
金魚の群れが空にいっぱい泳いでた。
神さまは、ぼくの肩を抱いて
ぼくをあやしてくれた。
ぼくは全身を硬直させて
スリッパで床を叩いて
看護婦が、ぼくの腕に
ぼくの血中金魚度が低いから
ぼくに金魚注射した。
金魚は、自我をもって
ぼくの血液の中を泳ぎ回る。
ていうか、それって
自我注射?
自我注釈。
自我んだ。
違った。
ウガンダ。
どのページも
ぼくの自我にまみれて、ぐっちょり
ちょりちょり
チョチョリ、チョリ。
あ、そういえば
店長の激しい音楽。
マリゲ。
マルゴ。
まるぐんぐ。
マルス。
マルズ。
まるずんず。
ひさげ。
ひさご。
ひざずんずっ。
びいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい
あるいは 神は 徘徊する 金魚の群れ。
きょうは休日だというのに
一日中、病室にいた。
病室の窓を見上げてたら
空の端に
昼間なのに、月が出ていた。
きょとんとしたぼくの息が
病室の隣のひとを
ペラペラとめくっては
どのページに神が潜んでいるのか
探した。
思考は腫瘍である。
わたしの脳髄ができることの一つに
他者の思考の刷り込みがある。
まあ、テレパシーのようなものであるが
そのとき、わたしの頭に痛みがある。
皮膚に走る電気的な痛みともつながっているようである。
頭が痛くなると同時に、肘から肩にかけて
ビリビリ、ビリビリ

きゅうは、とてつもなく痛い。
いままでは、頭の横のところ
右側の方だけだったのに
きょうは、頭の後ろから頭の頂にかけて
すっかり痛みに
痛みそのものになっているのだ。
さあ、首を折り曲げて
これから金魚注射をしますからね。
あなたの血中金魚濃度が低くて
さあ、はやく首を折り曲げて
はやくしないと、あなたの血管が金魚不足でひからびていきますよ。
あさ、パパ注射したばかりじゃないか。
きのうは、ママ注射したし
ぐれてやる。
はぐれてやる。
かくれてやる。
おがくれる。
あがくれる。
いがくれる。
うがくれる。
えがくれる。
街は金魚に暮れている。
つねに神は徘徊する、わたしの死んだ指たちの間で。
もくもくと読書する姿が見える。
そのときにもまた
ぼくの死んだ指の間で、神が徘徊しているのだ。
ぼくは、もくもくと読書している。
図書館で
ぼくは、ひとりで読書する少年だったのだ。
四年生ぐらいだったかな。
ぼくは
なんで地球が自転するのかわからない
って本に書かれてあるのにびっくりして
本にもわからないことがあるのだと
不思議に思って
その本が置いてあったところを見ると
書棚と書棚の間から
死んだパパそっくりの神さまが
ぼくの方を見てるのに気がついた。
すると
ぼくの身体は硬直して
ぼくは気を失っていた。
ぼくが気を失っていたあいだも
ぼくの死んだ指の間を神は徘徊していた。
地球がなんで自転しているのかって
それからも不思議に思っていたのだけれど
だれもわからないのか
ぼくが、この話をしても
神さまが、ぼくの指の間から
ぼくのことを見張っている。
ぼくの死んだ指は神さまに濡れて
血まみれだった。
憎しみの宴が
ぼくの頭のなかで催されている。
きょうは、一晩中かもしれない。
額が割れて
死んだ金魚たちがあふれ出てきそうだ。
頭が痛い。
割れて、死んだパパやママがあふれ出てくるのだ。
ぼくは、プリン。
ぼくの星の運命は
百万光年の
光に隠されている。
光に隠されている。
いいフレーズだな。
影で日向ぼく。
ぼっこじゃなくて
ぼくがいいかな。
日向ぼく。
で、
影で日向ぼっこ。
ぼっこって
でも、なんだろ。
ぼくの脳髄は 百のぼくである。
じゃなく、
ぼっこ。
じゃなく、
ぼこ。
リンゴも赤いし、金魚も赤いわ。
リンゴでできた金魚。
金魚でできたリンゴ。
金ゴとリン魚。
リンゴの切断面が
金魚の直線になっている。
死んでね、ぼくの指たち。
ルイルイ♪
楽しげに浮かび漂う、ぼくの死んだ指たち
神の指は、血まみれの幸運に浸り
ぼくの頭のなかの金魚を回す。
トラベル
フンガー
血まみれの指が
ぼくを作り直す。
治してね。
血まみれのプールに
静かに
ゴーゴーと
泳ぎ回る  
死んだぼくの金魚たち。
ぼくの頭のなかをぐるぐるまわる
倒壊したパパの死体や
崩れ落ちたママの死体たち。
なかよく踊りまちょ。
神は、死んだパパやママの廃墟を徘徊する。
リスン・トゥー・ザ・ミュージック!
ぼくの廃墟のなかで、死んだパパやママが手に手をとって踊る。
手のしびれが、金魚の指のはじまりになるまで。
その間も、ずっと、ママは、金魚をぼくの頭のなかでかき回している。
重たい頭は、ぼくの金魚がパクパク、パクパク死んでいる。
指が動きにくいのは
自我が、パクパクしているからだぞ。
ああ、たくさんのパクパクしている、ぼくの自我たち。
人差し指の先にも自我がある。
自我をひとに向けてはいけないと、ママは言った。
さあ、みんな、この自我にとまれ!
ギコギコ、ギーギー
ギコギコ、ギーギー
ね、ママ。
ぼくのママ、出てきちゃ、ダメ。
さっき
鳥が現実感を失う
とメモして
すると
ぼくは、アニメのサザエさんの書割の
塀の横を歩いていた。
問いを待つ答え。
問いかけられもしないのに
答えがぽつんと
たたずんでいる。
はじめに解答ありき。
解答は、問いあれ、と言った。
すると、問いがあった。
ぶさいくオニオン。
ヒロくんの定食は
焼肉だった。
チゲだっておいしいよ。
キムチだっておいしいよ。
かわりばんこの
声だ。
ぼくは
ヒロくんの声になって
坐ってる。
十年
むかしの
ゴハン屋さんで。
この腕の
縛り痕。
父親たちの死骸を分け合う、ぼくのたくさんの指たち。
ああ
こんなにも
こんなにも
ぼくは、ぼくに満ちあふれて。
戦線今日今日。
戦線今日今日。
あの根、ぬの根
カンポの
木の
根。
名前を彫っている。
生まれ変わったら
何になりたい?
うううん、
べつに。
花の精でもいいし
産卵する蛾でもいいよ。
あ、
べつに
産卵しない蛾でも。
大衆浴場。
湯船から
指を突き出し
ヘイ
カモン!
詩人の伝記が好き。
詩人の詩より好きかも。
詩人の出発もいいけど
詩人のおしまいの方がいいかな。
不幸には
とりわけ
耳を澄ますのだ。
ぼくのなかの
声が。
ああ、
聞こえないではないか。
そんなに遠く離れていては。
ぼくのなかの
声が
耳を済ます。
耳を澄ます。
じりじりと
耳を澄ます。
ぼくのなかの
声が
耳を済ます。
耳が沈黙してるのは
ぼくの声が離れているからか。
ああ、
聞こえないではないか。
そんなに遠く離れていては。
もう詩を書く人間は、ぼく一人だけだ、と。笑。
ぼくの口の中は、たくさんの母親たちでいっぱいだ。
抜いても、抜いても生えてくる
ぼくの母親たち。
ぼくは黄ばんだパンツの
筋道にそって歩く
その夜
黄ばんだパンツは
捨てられた。
若いミイラが
包帯を貸してくれるっていって
自分の包帯をくるくる
くるくる
はずしていった。
若竹刈り。
たけのこかい!
木の芽がうまい。
ほんまやな。
せつないな。
ボンドでくっつくけた
クソババアたち
ビルの屋上から
数珠つなぎの
だいぶ
だいぶ
死んだわ。
おだぶつさん!
合唱。
あ、
合掌。
だす。
バナナの花がきれいだったね。
きれいだったね。
ふわふわになる
喜んで走り回ってた
棺のなかに入ったおばあちゃんを
なんで、だれも写真にとらなかったんだろう?
おばあちゃんは、とってもきれいだったのに。
生きてるときより、ずっときれいだったよ。
ぼくのおばあちゃんの手をひっぱって
ぼくのおばあちゃんを棺のなかに入れたのは
ぼくだった。
ばいばい
って、してみたかったから。
いつも、おばあちゃんに
ばいばいって
してたけど、
ほんとのばいばいがしたかったんだ。
ふわふわになる
おばあちゃん。
二段か、三段。
土間の上にこぼれた
おかゆの湯気が
ぼくの唇の先に
触れる。
光の数珠が、ああ、おいちかったねえ。まいまいつぶれ!
ウサギおいしい。カマボコ姫。チュッ
歯科医は
思い切り力を込めて
ぼくの口の中の
母親をひっこぬいた。
父親は
ペンチで砕いてから、ひっこぬいた。
咳をすると
ぼくじゃないと思うんだけど
咳の音が
ぼくの顔の前でした。
咳の音は
実感をもって
ぼくの顔の前でしたんだけど
ぼくのじゃない
ただしい死体の運び方
あるいは
妊婦のための
新しい拷問方法。
かつて
チベットでは
夫を裏切った妻たちを拷問して殺したという。
まあ、インドでは
生きたままフライパンで焼いたっていうから
そんなに珍しいことではないのかもしれないけれど。
こうして、ぼくがクーラーのかかった部屋で
友だちがくれたチーズケーキをほおばりながら
音楽を聴きながら
ふにふに書いてる時間に
指を切断されたり
腹を裂かれて
腸を引きずり出されたりして
拷問されて苦しんでる人もいるんだろうけど。
かわいそうだけど
知らないひとのことだから
知らない。
前にNHKの番組で
指が机の上にぽろぽろ
ぽろぽろ
血まみれの指が
指人形。
ぼくの右の人差し指はピーターで
ぼくの左手の人差し指は狼だった。
ソルト
そーると
ソウルの街を
電車で移動。
おまえは東大をすべって
ドロップアウトして
そのまま何年も遊びたおして
ソウルの町を電車で移動。
耳で聴いているのは
ずっと
ジャズ。
ただしい死体の運び方。
あるいは
郵便で死体を送りつける方法について
学習する。
切手で払うのも大きい。
小さい。
デカメロン。
ただしく死体と添い寝する方法。
このほうが、お前にふさわしい。
おいしいチーズケーキだった。
きょう、いちばんの感動だった。
河原町の街角から
老婆たちが
ぴょんぴょん跳ねながらこちらに向かってくる。
お好みのヴァージョンだ。
神は疲れきった身体を持ち上げて
ぼくに手を伸ばした。
ぼくは、その手を振り払うと、神の胸をドンと突いてこういった。
立ち上がれって言われるまで、立ち上がったらダメじゃん。
神さまは、ぼくの手に突かれて、よろよろと
そのまま疲れきった身体を座席にうずめて
のたり、くたり。
か。
標準的なタイプではあった。
座席のシートと比較して
とくべつおいしそうでも、まずそうでもなかった。
ただ、しょっぱい。
やっぱり。
でっぱり。
でずっぱり。
神の顔にも蛆蝿が
老婆たちの卵を産みつける。
老婆たちは、少女となって卵から孵り
雛たちは
クツクツと笑うリンゴだ。
どんな医学百科事典にも載っていないことだけど。
植物事典には載ってる。
気がする。
か。
おいしい。しょっぱい。
か。
ぼくの顔面をゲートにして
たくさんの少女と老婆が出入りする。
ぼくの顔面の引き攣りだ。
キキ、
金魚!
アロハ
おえっ
老婆はすぐに少女になってしまって
口のなかは、死んだ少女たちでいっぱいになって
ぼくは、少女たちの声で
ヒトリデ、ピーチク・パーチク。
最初の話はスラッグスの這い跡で
夜の濡れた顔だった。
そういえば、円山公園の公衆トイレで首を吊って死んだ男と
御所の公衆トイレで首を吊って死んだ男が同一人物だという話は
ほんとうだった。
男は二度も死ねたのだ。
ぼくの身体の節々が痛いのは、なかなかなくならない。
こんど病院に行くけど
呪術の本も買ってこよう。
いやなヤツに痛みをうつす呪術が、たしかにあったはずだ。
ぴりぴり。
ぴかーって、
光線銃で狙い撃ち!
一リットルの冷水を寝る前に飲んだら
ゲリになっちゃった。
ぐわんと。
横になって寝ていても、少女の死体たちが
ぼくの口のなかで、ピーチク・パーチク。
ぴりぴり。
ぴかーっと。
たしか、首を吊った犬の苦しむ顔だった。
紫色の舌を口のなかからポタポタたれ落として
白い泡はぶくぶくと
徒然草。
小さいものはかわいらしいと書いてあった。
小さな少女の死はかわいらしい。
ってこと?
ぼくの口のなかの死体たちが、ピー地区・パー地区。
ふふ。
大きな棺に入った大きな死体もかわいらしい。
筆箱くらいの大きさの少女たちの死体がびっしり
ぼくの口のなかに生えそろっているのだ。
ようやく、ぼくにもわかってきたのだ。
ぼくのことが。
今晩も、寝る前に冷水を1リットル。
けっ。
あらまほしっ、きっ
ケルンのよかマンボウ。
ふと思いついたんだけど
帽子のしたで
顔が回転している方が面白い。
頭じゃなくて
正面の顔が
だよん。
アイスクリーム片手にね。
アイスクリームは
やっぱり
じょっぱり
しょうが焼き。
春先に食べた王将のしょうが焼き定食は
おいちかった。
ぼく、マールボロウでしょう?
話の途中で邪魔すんなよ。
ぼく、マールボロウだから
デジカメのまえで
思わずポーズきめちゃった。
クリアクリーン。
歯磨きの仕方が悪くって
死刑!
ガキデカのマンガは、いまなかなか見つからない。
わかんない。
井伊直弼。
って、スペリング、これでいい?
って。
てて。
いてて。
てて。
ぼく、井伊直弼
ちゃうねん
あつすけだよん。
って。
鋼(はがね)の月は
ぎいらぎら。
リトル・セントバーナード
ショウ
人生は
演劇以上に演劇だ。
って
べつに
言ってるか、どうかなんて
言わない。
ちいいいいいい
てるけどね。
ケッ。
プフッ。
ケルンのよかマンボウ。
ぼーくの
ちぃーって

けー
天空のはげ頭
(
ナチス・ドイツ鉄かぶと製の
はげカツラが、くるくると回転する。
頭皮にこすれて、血まみれギャーだった。
ふにふに。
空飛ぶ円盤だ!
このあいだ、サインを見た。
登場人物は、みんな霊媒だった。
十年前に賀茂川のほとりで
無数の円盤が空をおおうようにして飛んでるのを
友だちと眺めたことがあった。
友だちは、とても怖がっていたけど
ぼくは、怖くなかった。
友だちは、ぼくに
円盤見て、びっくりせいへんの?
って言ってたけど。
ぼくは、
こんど、ふたりで飲みに行きましょうね
って言われたほうが
びっくりだった。
いやっ
いやいや、
やっぱり、暴れまわる大きな牛を牽いてやってくる
一頭の母親の方が怖ろしいかな。笑。
どうしてるんだろう。
ぼくの口のなかには、母親たちの死んだ声がつまってるっていうのに
ぼくの耳のなかでは、その青年の声が叫びつづけてるんだ。
だから、インテリはいやなんやって
カッチョイイ、あの男の子の声が
ああ、これは違う声か。
違う声もうれしい。
ぼくの瞼の引き攣りは
ヒヒ
うつしてあげるね。
神経ぴりぴり。
血まみれ
ゲー

うつしてあげるね。

しゅてるん。
知ってるん?
ユダヤの黄色い星。
麻酔なしの生体解剖だって。
写真だったけど
思い出しただけで
ピリピリ
ケラケラ
ケセラセラー。
あい・うぉん・ちゅー
あらまほしぃ、きいいいいいい
ぼくの詩を読んで死ねます。
か。
ぼくの詩を読んで死ねます。
か。
ひねもす、のたりくたり。
ぼくの詩を読んで死ねます。
か。
ひねもすいすい
水兵さんが根っこ買って
寝ッ転がって
ぐでんぐでん。
中心軸から、およそ文庫本3冊程度ぶんの幅で
拡張しています。
か。
ホルモンのバランスだと思う。
か。
まだ睡眠薬が効かない。
か。
相変らず役に立たない神さまは
電車の
なかで
ひねもす、のたりくたり。
か。
ぼくは、疲れきった手を
吊革のわっかに通して
くたくたの神を
見下ろしていた。
か。
おろもい。
か。
飽きた。
か。
腰が痛くなって
言いたくなって
神は
あっくんの手を
わっかからはずして
レールの上に置きました。
キュルルルルルルって
手首の上を
電車が通りすぎていくと
わっかのなかから
無数の歓声が上がりました。
か。
日が変わり
気が変わり
神は
新しいろうそくを
あっくんの頭の上に置いて
火をつけました。
か。
なんべん死ぬねん!
か。
なんべんもだっち。
(ひつこい轍。)
銃の沈黙は
違った
十の沈黙は
うるさいか。
とか。
沈黙の三乗は
沈黙とは単位が違うから
もう沈黙じゃないんじゃないか。
とか、
なんとか、かんとか
ヤリタさんと
荒木くんと
くっちゃべり。
ぐっちゃべり。
ええ
ええ
それなら
ドン・タコス。
おいちかったね。
いや、タコスは食べなかった。
タコライス食べたね。
おいちかったね。
ハイシーン。
だっけ。
おいちかった。
サーモンも
おいちかった。
火の説教。
痩せた手のなかの
コーヒーカップは
劫火。
生のサーモンもカルパッチオ!
みゃぐろかなって言って
ドン・タコス。
ぱりぱりの
ジャコ・サラダは
ぐんばつだった。笑。
40過ぎたおっさんは
ぐしょぐしょだった。
いや、くしゃくしゃかな。
これから
ささやかな
葬儀がある。
目のひきつり。
だんだん。
欲しいものは手に入れた。
押し殺した悲鳴と
残忍な悦び。
庭に植えた少女たちが
つぎつぎと死んでいく。
除草剤をまいた
痩せた手のなかの
あたたかいコーヒーカップは
順番が違うっちぃっぃいいいいいい!
あっくんの頭の上のろうそくが燃えている。
死んだ魚のように
顔面の筋肉は硬直して
無数の蛆蝿が
卵を産みつけていく。
膿をひねり出すようにして
あっくんは卵を産んだ。
大統領夫人が突然マイクを向けられて
こけた。
こけたら、財布が出てきた。
財布は、マイケルの顔に当たって
砕けた。
マイケルの顔が、笑。
笑えよ。
ブフッ。
あっくんの頭の上で燃えているろうそくの火は
しょっぱい。
そろそろ眠る頃だ。
睡眠薬を飲んで寝る。
噛み砕け!
顔面に産みつけられた
蛆蝿たちの卵を孵す。
あっくんの頭の上で燃えているろうそくの火は
しょっぱい。
(ひつっこい、しょっぱさだ。笑。)
前の職場で親しかったドイツ語の先生は
バーテンダーをしていたことがあると言ってた。
バーテンダーは、昼間は
玉突きのバイトをしていた
青年がいた。
ぼくが下鴨にいたころだ。
といっても、ぼくが26、7才のころだ。
九州から来たという
青年は二十歳だった。
こんど、ふたりっきりで飲みましょうねって言われて
顔面から微笑みが這い出してきて
ぽろぽろとこぼれ堕ちていった。
まるで
蛆蝿の糞のように。
笑えよ。

とうもろこし頭の
彼は
ぼくのなかで
一つの声となって
迸り出ちゃったってこと。
詩ね。
へへ、
死ね!

乾燥した
お母さんが
出てきたところで
とめる。
釘抜きなんて
生まれて
まだ十回も使ったことがないな。
ぼくの部屋は二階で
お母さんは
縮んで
釘のように
階段の一段一段
すべての踏み段に突き刺さっていたから
釘抜きで抜く。
ぜんぶ抜く。
可能性の問題ではない。
現実の厚さは
薄さは、と言ってもよいが
ぼろぼろになった
筆の勢いだ。
美しい直線が
わたしの顔面を貫くようになでていく。
滅んでもいい。
あらゆる大きさの直線でできた
コヒ。
塑形は
でき
バケツで
頭から血を流した
話を書こうと思うんだけど
実話だから
話っていっても
ただ
バケツって
言われたから
バケツをほっただけなんだけど
手がすべって
パパは頭から血を流した。
うううん。
なんで
蟹、われと戯れて。
ひさびさに
鞍馬口のオフによる。
ジュール・ベルヌ・コレクションの
海底二万哩があった。
きれいな絵。
500円。
だけど、背が少し破けてるので、惜しみながらも
買わず。
ブヒッ。
そのかわり
河出書房の日本文学全集3冊買った。
1冊105円。
重たかった。
河出新刊ニュースがすごい。
もう何十年も前の女優の
若いころの写真がすごい。
これがほしくて買ったとも言える。笑。
でも、何冊持ってるんだろう。
全集の詩のアンソロジー。
このあいだの連休は
詩を書くつもりだったけど、書けなかった。
蟹と戯れる
啄木
ではなく
ぼく
でもなく
ママ。

思ふ。
ママは
蟹の
巨大なハサミにまたがって
ビッビー
シャキシャキッと
おいしいご飯だよ。
ったく、ぼく。
カンニングの竹山みたいな
怒鳴り声で
帰り道
信号を待ってると
いや、信号が近づいてくるわけじゃなく
信号が変わる
じゃなく
信号の色が
じゃなく
電灯のつく場所がかわるのを待ってたんだけど
信号機が
カンカンなってた
きのうのこと
じゃなくて
きょうのこと
ね。
啄木が
ぼくの死体と戯れる。
さわさわとざらつく
たくさんのぼくの死体を
啄木が
波のように
足の甲に
さわっていくのだ。
啄木は
ぼくの死後硬直で
カンカンになった
カンカン鳴ってたのは
きのうの夜更けだ。
二倍の大きさにふくらんだ
ぼくの腐乱死体だ。
だから行った。
波のように
啄木の足元に
ゴロンゴロン横たわる
ぼくの死体たち。
蟹、われと戯れる。
いたく、静かな
いけにえの食卓。
ぽくぽく。
ったく、ぼく。

啄木。
ふがあ
まことに
人生は
一行の
ボードレールである。
ぼくの腕 目をつむるきみの重たさよ
狒狒、非存在たることに気づく、わっしゃあなあ。
木歩のことは以前に
書いたことがある。
木歩の写真を見ると思い出す。
関東大震災の日に
えいじくんが
火炎のなかで、教授に怒鳴られて
ぼくの部屋で
雪合戦。
手袋わざと忘れて。
もう来いひんからな。
ストレンジネス。
バタンッ!
大鴉がくるりと振り向き
アッチャキチャキー
愛するものたちの間でもっともよく見られる衝動に
愛するものを滅ぼしたいという気持ちがある。
関東大震災の日に
えいじくんが
ぼくと雪合戦。
ヘッセなら
存在の秘密というだろう。
2001年1月10日の日記から抜粋。
夜、ヤリタさんから電話。
靴下のこと。
わたしの地方では、たんたんていうの思い出したの。
靴下をプレゼントしたときには気づかなかったのだけれど。
とのこと。
客観的偶然ですね。

ぼく。
いま考えると
客観的偶然ではなかったけれど、
たんたん。
ね。
ぼくのちっぽけな思い出だな。
ちっぽけなぼくの思い出、ね。
笑。
金魚が残らず金魚だなんて
だれが言った!
原文に当たれ
I loved the picture.
べるで・ぐるってん
世界は一枚の絵だけ残して滅んだ。
どのような言葉を耳にしても
目にしても
詩であるように感じるのは
ぼくのこころが、そう聞こえる
そう見える準備をしているからだ。
それは、どんな言葉の背景にも
その言葉が連想させる
さまざまな情景を
たくさん、もうたくさん
ぼくのこころが重ね合わせるからだ。
詩とはなにか?
そういったさまざまな情景を
(目に見えるものだけではない)
重ね合わそうとするこころの働きだ。
部長!
笑。
笑えよ。
人生は一行の
ボードレールにしか過ぎない。
笑。
笑えよ。
そうだったら、すごいことだと思う。
笑。
仲のよい姉妹たちが
金魚の花火を見上げている。
夜空に浮かび上がる
光り輝く、真っ赤な金魚たち。
金魚が回転すると冷たくなるというのはほんとうだ。
どの金魚も
空集合。
Φ。
2002年1月14日の日記から抜粋。
(ああ、てっちゃんのことね。)
いままで見た景色で、いちばんきれいだと思ったのはなに?
カナダで見たオーロラ。
カナダでも見れるの?
うん。北欧でも見れるけど。
どれぐらい?
40分くらいつづくけど
20分くらいしか見られへん。
どうして?
寒くて。
寒くて?
冷下30度以下なんやで。
ギョギー、目が凍っっちゃうんじゃない?
それはないけど。
海なら、どこ?
パラオ。
うううん、だけど、沖縄の海がいちばんきれいやったかな。
まことに
人生は
一行のボードレールである。
快楽から引き出せるのは快楽だけだ。
苦痛からは、あらゆるものが引き出せる。笑えよ。
この世から、わたしがいなくなることを考えるのは、
それほど困難なことでも怖ろしいことでもないのだけれど
なぜ、わたしの愛するひとが、
この世からいなくなることを考えると、怖ろしいのか。
しゃべる新聞がある。
手から放そうとすると
「まだまだあるのよ、記事が。」
という。
キキ
金魚!
悲しみをたたえた瞳を持って牛たちが歩みくる。
それは本来、ぼくの悲しみだった。
できたら、ぼくは新しい悲しい気持ちになりたかった。
夕暮れがなにをもたらすか?
仮面をつける。
悲しみをたたえた瞳を持って牛たちが歩みくる。
それは言葉のなかにないのだから
言葉と言葉のあいだにあるものだから
から
か。
わが傷はこれと言いし蟻 蟻をひく
Soul-Barで
Juniorの
Mama Used Said
はやりの金魚をつけて、お出かけする。
あるいは、はやりの金魚となって、お出かけする。
石には奇形はない。
記憶のすべてとは?
記憶とは、想起されるものだけ?
想起されないものは?
一生の間、想起されずに
でも、それが他の記憶に棹さして
想起せしめることもあるかもしれない。
どこかに書いたことがあるけど
いつか想起されるかもしれないというのは
いつまでも想起されないこととは違うのかな?
習慣的な思考に、とはすでに単なる想起にしかすぎない。
金魚のために
ぼくは、ぼくのフリをやめる。
矢メール。
とがらした鉛筆を喉に突きつけて
両頬で締め付ける。
ぼくだけの愛のために。
ストラップは干し首。
ぼくの恋人の金魚のために
夜毎本を手にして
人間狩りに出かける。
声が
そんなこととは、とうてい思え!
夜毎、レイモンド・ラブロックは
壁にかかった
恋人の金魚に
声が
知っている。
きのう、フランク・シナトラのことを思い出していた。
新しい詩が書けそうだ、ということ。
うれしいかなしい。
金魚、調子ぶっこいて、バビロン。
タスマニアの少年のペニスは、ユリの花のようだったと
金魚、調子ぶっこいて、バビロン。
枯山水の金魚が浮遊する。
いたるところ
金魚接続で
いっぴきぴー。
と、
いたるところ
金魚接続で
にっぴきぴー。
と、
いたるところ
金魚接続で
さんぴきぴー。
と、
ス、来る。
と、ラン、座ぁ。
匹ぃー。
XXX
二rtgh89rtygんv98yんvy89g絵ウhg9ウ8fgyh8rtgyr8h地hj地jh地jfvgtdfctwdフェygr7ウ4h地5j地54ウy854ウ7ryg6ydsgfれjんf4klmgl;5、yhp6jl^77kじぇ^yjhw9thjg78れtygf348yrtcvth54ウtyんv5746yんv3574ytんc−498つcvん498tんv498yんt374y37tyん948yんrt6x74rv23c47ty579h8695m9rつbヴァ有為ftyb67くぇ4r2345vjちょjkdypjkl:h;lj、帆印b湯fttrゑytfでtfryt3フェty3れ76t83ウrgj9pyh汁9kjtyj彫る8yg76r54cw46w6tv876g643エgbhdゲう7h9pm8位0−『mygbfy5れうhhんg日htgyん;ぃm:drs6ゑs364s3s34cty日おじjklj不khjkcmヴィfhfgtwfdtwfれswyツェdぎぃウェってqqsnzkajxsaoudha78絵rゑ絵bkqwjでyrg3絵rgj家f本rbfgcぬ4いthbwやえあfxkうぇrjみうryんxqw
ざ、が抜けてるわ。金魚、訂正する。
性格に言えば、提供する。
時計の針で串刺しの干し首に
なまで鯛焼き。
目ゾット・ふい。
赤い色が好きだわ。
と、金魚が逝った。
ぼくも好きだよ。
とジャムジャムが答えた。
あなたはもっと金魚だわ、
と金魚が逝った。
きみだって、だいたい金魚だよ、
とジャムジャムが答えた。
ふたりは、ぜんぜん金魚だった。
大分県の宿屋の大づくりの顔の主人が振り返って逝った。
も一度死んでごらん。
ああ、やっぱりパロディはいいね。
書いてて、気持ちいいね。
打っててかな。
注射は打ったことないけど。
あ、打たれたことあるけど。
病院で。
暴れる金魚にブスっと。
あのひとの頬は、とてもきれいな金魚だった。
聖書には、割れたざくろのように美しいという表現があるけど
あのひとの身体は
割れた金魚のように美しいとは
言え。
まるまると太った金魚が、わたしを産む。
ブリブリブリッと。
まるまると太った金魚が、わたしを産む。
ブリブリブリッと。
オーティス・レディングが、ザ・ドッグ・オブ・ザ・ベイを
ぼくのために歌ってくれていたとき
ぼくの金魚もいっしょに聞きほれていた。
ニャーニャー闇ってる。
ひどい闇だ。
新しい詩は、形がすばらしい。
ぼくはきのう
おとついかもしれない。
最近、記憶がぐちゃぐちゃで
きのうと、おとついが
ぼくのなかでは、そうとう金魚で
出かかってる。
つまずいて
喉の奥から
携帯を吐き出す。
突然鳴り出すぼくの喉。
無痛の音楽が
ぼくの携帯から流れ出す。
無痛の友だちや恋人たちの声が
ぼくの喉から流れ出す。
ポン!
こんなん出ましたけど。
ジョニー・デイルの右手に握られた
単行本は、十分に狂気だった。
狂気ね。
凶器じゃないのかしらん? 笑。
まるまると太った金魚が、わたしを産んでいく。
ブリブリブリッと。
まるまると太った金魚が、わたしを産んでいく。
ブリブリブリッと。
そこらじゅうで
金魚、日にちを間違える。
もう一度。
ね。
moumou と sousou の
金魚。
moumou と sousou の
金魚。
金魚が、ぼくを救うことについて
父子のコンタクトは、了解。
これらのミスは、重大事件に間違い。
バッカじゃないの?
わかった。
歴史のいっぱい詰まった金魚が禁止される。
金魚大統領はたいへんだ。
もう砂漠を冒険することもできやしない。
してないけど。笑。
冒険は、金魚になった
広大な砂漠だった。
モニターしてね。笑。
こういうと、二千年もの永きにわたって繁栄してきた
わが金魚テイク・オフの
過去へのロッテリア。
金魚学派のパパ・ドミヌスは
ぼくに、そうっと教えてくれた。
金魚大統領の棺の
肛門の
栓をひねって
酔うと、
ぼくは金魚に生まれ変わった扇風機になる。
冷たい涼しい。
金魚のような
墓地。
ぼくの
moumou と sousou の
金魚たち。
いつのまにか、複製。
なんということもなく
ぼくを吐き出す
金魚の黄色いワイシャツの汚れについて
おぼろげながら
思い出されてきた。
二十分かそこらしたら
扇風機が、金魚のぼくを産む。
びぃよるん、
ぱっぱっと。
ぼくを有無。
ふむ。
ムム。
ぷちぷちと
ぼくに生まれ変わった黄色いワイシャツの汚れが
砂漠をかついで
魔法瓶と会談の約束をする。
階段は、意識を失った幽霊でいっぱいだ。
ぼくの指は、死んだ
金魚の群れだ。
ビニール製の針金細工の金魚が
ぼくの喉の奥で窒息する。
苦しみはない。
金魚は
鳴かないから。
金魚のいっぱい詰まった扇風機。
金魚でできた金属の橋梁。
冷たい涼しい。
の 
デス。 
ぼくの部屋の艶かしい
金魚のフリをする扇風機。
あたりにきませんか?
冷たい涼しい。

デス。
ぼくの部屋に吹く艶かしい
金魚のフリをする扇風機。
あたりにきませんか?
キキ
あたりにきませんか?
キキ
金魚は
車で走っていると
車が走っていると
突然、金魚のフリをする扇風機。
あたりにきませんか?
キキ
あたりにきませんか?
キキ
金魚迷惑。
金魚イヤ〜ン。
キキ
金魚迷惑。
金魚イヤ〜ン。
扇風機、突然、憂鬱な金魚のフリをする。
あたりにきませんか?
キキ
あたりにきませんか?
キキ
金魚は
車で走って
車は走って
あたりにいきませんか?
金魚のような
墓地の
冷たい涼しい
車に。
キキ
金魚。
キキ
金魚。
キキ
キィイイイイイイイイイイイイイイイイイ
ツルンッ。 
よしこちゃん
こんな名前の知り合いは、いいひんかった。
そやけど、よしこちゃん。
キキ
金魚。
しおりの
かわりに
金魚をはさむ。
よしこちゃんは
ごはんのかわりに
金魚をコピーする。
キキ
金魚。
よしこちゃん。
晩ご飯のかわりに
キキ
きのうも、ヘンな癖がでた。
金魚の隣でグースカ寝ていると
ぼくの瞼の隙を見つけて
ぼくのコピーが金魚のフリをして
扇風機は、墓地の冷たい涼しい
金魚にあたりにきませんか?
きのうは金魚の癖がでた。
石の上に
扇風機を抱いて寝ていると
グースカピー
ぼくの寝言が
金魚をコピーする。
吐き出される金魚たち。
憂鬱な夜明けは、ぼくの金魚のコピーでいっぱいだ。
はみ出した金魚を本にはさんで
よしこちゃん。
ぼくを扇風機で
金魚をコピーする。
スルスルー。
ピー、コッ。
スルスルー。
ピー、コッ。
スルスルー。
いひひ。笑。
ぼくは金魚でコピーする。
真っ赤に染まった
ぼくの白目を。
金魚のコピーが
ぼくの寝ている墓地の
あいだをスルスルー
と。
扇風機、よしこちゃん。
おいたっ!
チチ
タタ
無傷なぼくは
金魚ちゃん。
チチ
マエストロ。
金魚は置きなさい。
電話にプチチ
おいたは、あかん。
フチ。
魔法瓶を抱えて
金魚が砂漠を冒険する。
そんな話を書くことにする。
ぼくは二十年くらい数学をおしえてきて
けっきょく、数について、あまりにも無恥な自分がいるのに
飽きた。
秋田。
あ、きた。
背もたれも金魚。
キッチンも金魚。
憂鬱な金魚でできたカーペット。
ぼくをコピーする金魚たち。
ぼくはカーペットの上に、つぎつぎと吐き出される。
まるで
金魚すくいの名人のようだ。
見せたいものもないけれど
まるで金魚すくいの名人みたいだ。
二世帯住宅じゃないけれど
お父さんじゃない。
ぼくのよしこちゃんは
良妻賢母で
にきびをつぶしては
金魚をひねり出す。
じゃなくて
金魚をひねる。
知らん。
メタ金魚というものを考える。
メタ金魚は言語革命を推進する。。
スルスルー
っと。
メタ金魚が、魔法瓶を抱えて砂漠を
冒涜するのをやめる。
ぼくのことは
金魚にして。
悩み多き青年金魚たち。
フランク・シナトラは
自分の別荘のひとつに
その別荘の部屋のひとつに
金魚の剥製をいっぱい。
ぼくの憂鬱な金魚は
ぼくのコピーを吐き出して
ぼくをカーペットの上に
たくさん
ぴちゃん、ぴちゃん。
ぴちゃん、ぴちゃん。
て、
キキ。
金魚。
扇風機といっしょに
車に飛び込む。
フリをする。
キキ
金魚
ぴちゃん。
ぴちゃん。
ププ。
ああ
結ばれる
幸せな
憂鬱な
金魚たち。
ぼくは、だんだん金魚になる。
なっていくぼくがうれしい。
しっ、
死ねぇっ!
ピッ
moumou と sousou の
金魚。
moumou と sousou の
金魚。
金魚が、ぼくを救うことについて
父子のコンタクトは、了解。
これらのミスは、重大事件に間違い。
バッカじゃないの?
わかった。
歴史のいっぱい詰まった金魚が禁止される。
金魚大統領はたいへんだ。
もう砂漠を冒険することもできやしない。
してないけど。笑。
冒険は、金魚になった
広大な砂漠だった。
モニターしてね。笑。
こういうと、二千年もの永きにわたって繁栄してきた
わが金魚テイク・オフの
過去へのロッテリア。
金魚学派のパパ・ドミヌスは
ぼくに、そうっと教えてくれた。
金魚大統領の棺の
肛門の
栓をひねって
酔うと、
ぼくは金魚に生まれ変わった扇風機になる。
冷たい涼しい。
金魚のような
墓地。
ぼくの
moumou と sousou の
金魚たち。
いつのまにか、複製。
なんということもなく
金魚大統領と面会の約束をする。
当地の慣習として
それは論議の的になること間違い。
笑。
FUxx You
これは
ふうう よう
と読んでね。
笑。
当地の慣習として
眼帯をした金魚の幽霊が
創造と現実は大違いか?
想像と堅実は大違いか?
sousou
意識不明の幽霊が
金魚の扇風機を
手でまわす。
四つ足の金魚が、ぼくのカーペットの上に
無数の足をのばす。
カーペットは、ときどき、ぼくのフリをして
金魚を口から吐き出す。
ぷつん、ぷつん、と。
ぼくの白目は真っ赤になって
からから鳴かなかった。
金魚に鳴いてみよと
よしこちゃんがさびしそうにつぶやいた。
完全密封の立方体金魚は
無音で回転している。
とってもきれいな
憂鬱。
完全ヒップなぼくの扇風機は
金魚の羽の顧問だ。
カモン!
ぼくは、冷蔵庫に、お父さんの金魚を隠してる。
金魚のお父さんかな。
どっちでも、おなじだけど。笑。
ときどき、墓地になる
金魚
じゃなかった
ぼくの喉の地下室には
フランク・シナトラ。
目や耳も
呼吸している。
息と同じように
目や
耳も
呼吸している。
呼吸しているから
窒息することもある。
目や耳も、呼吸している。
白木みのる
ってあだ名の先生がいた。
ぼくと一番仲のよかった友だちがいた研究室の先生だったけど
とっても高い声で
キキ、キキ
って鳴く
白木みのるに似た先生だった。
ある日、その先生の助手が
(こちらは顔の大きなフランケンシュタインって感じね。)
学生実験の準備で、何か不手際をしたらしくって
その先生に、ものすごいケンマクでしかられてたんだって
「キキ、キミ、その出来そこないの頭を
 壁にぶち当てて、反省しなさい。」
って言われて。
で、
その助手もヘンな人で
言われたとおりに
その出来そこないの頭を
ゴツン、ゴツン
って、何度も壁にぶちあてて
「ボボ、ボク、反省します。
 反省します。」
って言ってたんだって。
友だちにそう聞いて
理系の人間って、ほんとにイビツなんだなって
思った。
プフッ。。
田中さんといると、いつも軽い頭痛がする、と言われたことがある。
ウの目、タカの目。
方法序説のように長々とした前戯。
サラダバー食べすぎてゲロゲロ。
言葉。
言葉は、自我とわたしを結ぶ唯一の媒体である。
言葉がそのような媒体であるのは
言葉自体が自我でもなく
わたしでもないからであるが
媒体という言葉をほかの言葉にして
言葉は自我であると同時にわたしであるからだと
思っているわたしがいる。
理解を超えるものはない。
いつも理解が及ばないだけだ。
お母さんを吐き出す。
お父さんを吐き出す
うっと、とつぜんえずく。
内臓を吐き出して
太陽の光にあてる。
そうやって浜辺で寝そべるぼく

イメージ。
たくさんの窓。
たくさんの窓にぶら下がる
たくさんのぼく

抜け殻。
ぼくの姿をしたさなぎ。
紺のスーツ姿で、ぼうっと突っ立っているぼく。
ぼくのさなぎの背中が割れる。
スーツ姿のぼくが
ぼくのスーツ姿のさなぎから
ぬーっと出てくる。
死んだまま。
つぎつぎと
アドルニーエン。
アドルノする。
難解にするという意味のドイツ語
だという。
調べてないけど、橋本くんに教えてもらった。
2002年2月20日のメモは
愛撫とは繰り返すことだ。
アドルニーエン。
アドルノする。
難解にするという意味のドイツ語
だという。
調べてないけど、橋本くんに教えてもらった。


いつまでもあいさつをしてゆく「上段スマフォ版。下段パソコン版」

  つきみ

。○○○。。。。。○○○
○○○○。。。○○○○
。○○○○。。○○○○
。。○○○○○○○○
。。。。○○○○○○
。。。。。。○○○○
。。。。。。。。○○
。。。。。。。。。○

。。。。。。。。。○
。。。。。。。○○○
。。。。。。○○○○
。。。。。。○○○○
。。。。。。。○○○
。。。。。。。○。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。
。○えいえいまるい壁に挨拶を○。
。。。。。。。。。。。。。。。。
○。。。。。。。。。。。。。。○
○。。。。。。。。。。。。。。○
。。。。。。。。。。。。。。。。
。○。。。。してゆく。。。。○。
。。。。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。○。。。。。。。。
なんだかだってだってなのうぅぅ゚
<ふちぎ>方向性定めるの苦手なの

人の数だけある固有名を
繰り返しいる月湖鯨

瞳の奥に秘められた
不自由の意味を受け止めている
忘れられた言語の答えを知るうちに
うちは膨らむ

病室の部屋の扉には
沢山の視線が刺さってる
病室だけじゃないわ

箸の声は何時も
おばあちゃんが見てた紅梅の調べ
おばあちゃんが亡くなって
拭く時見た踵の穢れなさを覚えてる
逆光してた。掃除は今も日課だよ
私は泣き虫だったね

ダメンタル?責めんタル湖面タル
多面タル。たるたる。たっるたっる
+:゚+。☆流星つきみ号\( 'ω')/
じーっと見てないでなんかいってよ

自分を許す?自分を許すのは簡単よ
相手は許すの
涙を流して癒せると知ってるけど
負の感情で泣いたりしない
目を逸らさない
簡単なの
守れなかった二十人以上の
自死した人は何も言わずに死んだ
ぎしぎし異臭振り子糞尿
目が充血し飛び出ていた
生きていてほしい我儘さでしかない
幸せになる権利があるの

↑に書いた事はそのうち書くかもね

三億円と二千万♪くれたら愛してる♪
<冗談言わせてよ>

流星の涙を一つずつクロスする
合言葉はすももももんが
羽根の無い○は何時も目隠し、してる
心一つあげる
おもいの代わりに好きを詰め込んだ
わたがし食べて
確立は死んでからあるの
死ぬまでらしく生かす事を胸に残して
つーっと染みる
<何処にでも>なみだの跡が道になり
○○に成るてろり
日常が全てなの?
今ある事は探して見つかる?
必要な事ってなんだろうね?
○をああしてそうしてこうなるまるり
自然と身につく事も大事だよね。
探る前に星を貰ってくだちゃぃ
すももももももすももももももんが
くもがしとしと、なくの。
ほんのりはんてん鏡合わせ
終らせない為に○を○して○○
そこから始めましょ
触れれない五線譜に描くのはころり心
行方知れずの切手は散歩中に
何をしてるでしょう?
答えはそれぞれ違って次は?
近くに居ない?居るよ?

言葉は人言葉の数よりも多くいる
傍にいる別け隔てのない全てへ

芸術よ永遠であれ!

.:゚≒映会文美音現演文過現未
≒画話芸術楽実劇化去在来
人人人人人人人人人人人人人

じ っ゙ ぐっ゙ り゙となげてゆく
.。+..。細波をしきりに伝えてゆく
そょゅゆれる葉で風の声をみつめゆく
木陰にぴか゚り゚ぴちょん.。*゚*゚+.*.。
。゚○と夕暮れにとっぷりくれゆく
ゆりかごを〇へ∞にしみこませてゆけ

。。。魂をそうぞうしよう。。。。
。。。。。。。○。。。。。。。。
。。。並べられた言葉で何を。。。
。○生み出すの?豊かに成る?○。
。可能性を狭めるよりも自由にさ。
○作り上げる作品一つにどれだけ○
○詰め込めるんだろうね自由けど○
。亀は世界一周できないでしょ?。
。○思うより恩恵を受けてるわ○。
。。。。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。○。。。。。。。。

。○○○。。。。。○○○
○○○○。。。○○○○
。○○○○。。○○○○
。。○○○○○○○○
。。。。○○○○○○
。。。。。。○○○○
。。。。。。。。○○
。。。。。。。。。○

。。。。。。。。。○
。。。。。。。○○○
。。。。。。○○○○
。。。。。。○○○○
。。。。。。。○○○
宇宙も含めた命
地球は誰も拒まない
限られているからこそ
世界中でこれからを問え

木の葉は生物の営みにより
腐葉土と成り
自分も含めた周りを
分け隔てなく育む
木の葉で在れ
できるだけだけど

《さとうにはね○○がいるの》
《しゅてき(すてき)》
《ひぽぽたますは幸せの呪文》
《みえないはやさでてをふる》
《溜息は○○だけじゃないね》
《砂糖にはね○○がいるの》
《しゅきなものはクサンタでちゅ》
《あらゆるモノをそうぞうするの》
《真剣過ぎると禿げて太陽よりも》
《ゆるゆるふわふわもこもこ》

《あらゆる限られた全てはえいえい》
《かんせいの檻を破り続けていく》

。○○○。。。。。○○○
○○○○。。。○○○○
。○○○○。。○○○○
。。○○○○○○○○
。。。。○○○○○○
。。。。。。○○○○
。。。。。。。。○○
。。。。。。。。。○

。。。。。。。。。○
。。。。。。。○○○
。。。。。。○○○○
。。。。。。○○○○
。。。。。。。○○○
《エンドレス愛人(あいれん)fff》
《言葉は人》
《言葉の数よりも多く傍にいる》
《別け隔てのない全てへ》
《できるだけでいいのよ》
《作品をどうするも自由》
《エンドレス愛人(あいれん)fff》
。。。。。。。○○○
。。。。。。○○○○
。。。。。。○○○○
。。。。。。。○○○
。。。。。。。。。○

。。。。。。。。。○
。。。。。。。。○○
。。。。。。○○○○
。。。。○○○○○○
。。○○○○○○○○
。○○○○。。○○○○
○○○○。。。○○○○
。○○○。。。。。○○○

いつまでもあいさつをしてゆく《パソコン版》
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。○。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。○ゃい。砂糖しゃん砂糖し。え○。。。。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。○ち。ち。。なんだかだってなのん。や。い○。。。。。。。。。。。。
。。。。。○し。い。。ふちぎー方向性定めるの苦手。ん。え○。。。。。。。。。
。。○り。お。沢山の固有名を繰り返してる。月湖鯨。は。い○。。。。。。
。○ゃ。ん。。瞳の奥不自由の意味を受け止めている。ど。ま○。。。。。
○じ。ゃ。。忘れられた言語を知るうちに内が膨らむ。う。る○。。。。
○り。し。。何処にでも沢山の視線が刺さっているの。し。い○。。。。
○ゃ。糖。。。。箸の声は祖母と見ていた紅梅の調べ。。。て。ま○。。。。
。○じ。砂。。ダメンタル?責めんタル多面タルタル。誰。る○。。。。。
。。○り。?。+:゚+。☆流星つきみ号\( 'ω')/しも。い。。○。。。。。。
。。。。。○ゃか。。。見てないでなんかいってぇ。。。選。か○。。。。。。。。。
。。。。。。。。○じ。ゅしでのるれられいく甘ずば。べ○。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。○。糖砂くゆてしをつさいあに○。。。。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。繋。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。音。三億円と二千万くれたら。音。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。音。。。。。。。。。。。。愛してる。。。。。。。。。。。。音。。。。。。。。。。。。。
。。。。。音。。。。。流星の涙を一つずつクロスする。。。。。音。。。。。。。。。。
。。音思いの代わりに《好》きを詰めたわたがし食べて音。。。。。。。
。音確立は死んでから《き》づかれるまでが何時かな?音。。。。。。
音つぅーっと染みて涙《の》跡が○○なってどうなる?音。。。。。
音今ある日常が全てなの《さ》って本当にそう思うの?音。。。。。
音本当に必要な事って何時《き》づいても一人だけのだ音。。。。。
。音自然と身に付く事も大事《そ》れは揺るがないの?音。。。。。。
。。音。探る前に星を貰っよおお《こ》んぺいとうなの音。。。。。。。。
。。。。。音。手で触れられない五線譜《に》何を描く?音。。。。。。。。。
。。。。。。。。音それぞれ違う答えね。次《は》何を?音。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。音近くに居ない?居るよ《?》音。。。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。≒。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。≒。。言。○○○。。。。。○○○。傍。。。。≒。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。≒。逆。。葉。○○○○。。。○○○○。に。う。。。。≒。。。。。。。。
。。。。。≒。?。。周。。は。○○○○。。○○○○。い。。。。。。。。。。≒。。。。。
。。≒。。。何。り。命。。人。○○○○○○○○。る。。。た。。。。わ。。。≒。。
。≒。。て。。の。題。。り。言。○○○○○○。分。ト。。。。。ア。。。。。。。≒。
≒。微。っ。。時。。。。も。。。葉。○○○○。け。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。≒
≒。笑。。前。計。類。。と。。。。の。○○。隔。。。。。。。か。。。ふ。。。。。。。。≒
≒。み。り。。っ。。同。。ん。。。。数。○。て。。。。シ。。。。。。。。。。。。。。。。。≒
。≒。。た。て。。。。。。。め。。よ。メモリー。な。。。。。。リ。。。。。わ。。。。≒。
。。≒。。当。。悲。。石。。め。。。。り。○。い。。。。ト。。。。。。。。。。。。。。。≒。。
。。。。。≒。。し。。。。榴。。。。。も。○○○。全。。。。。。。た。。ふ。。。≒。。。。。
。。。。。。。。≒。。い。柘。。。。多。○○○○。て。。。。ア。。。。。≒。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。≒。?。。。。。く。○○○。へ。。シ。。。。≒。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。結。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。∞。。。。芸術よ永遠であれ!!。。。。∞。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。∞。。。。≒画話芸術楽実劇化去在来。。。。。。。。∞。。。。。。。。。
。。。。。∞。。。人人人人人人人人人人人人人人人人。。。。。。。∞。。。。。。
。。∞。。。。。。。。。じ っ゙ ぐ り゙となげてゆく。。。。。。。。。。。。∞。。。
。∞。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。.。+..。細波をしきりに伝えてゆく∞。。
∞そょゅゆれるはで風の声をみつめゆく。。。。。。。。。。。。。。。。。。∞。
∞。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。木陰にぴか゚り゚ぴちょん.。*゚*゚+.*.∞
∞。゚○と夕暮れにとっぷりくれゆく。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。∞
。∞。。。。。。。。。。。。。。。。。ゆりかごを〇へ∞にしみこませてゆけ∞。
。。∞。。。。。木の葉は生物の営みにより腐葉土と成り。。。。。。∞。。。。
。。。。。∞。。自分も含めた周りを分け隔てなく育む。。。。。∞。。。。。。。
。。。。。。。。∞。。。。。。。。木の葉で在れできるだけ。。。。∞。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。∞。じ っ゙ ぐ り゙受け止める∞。。。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。魂。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。魂。。。。。魂を創造しよう。。。。。。。魂。。。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。魂私。小。魂。悲。逃。た。救。私。悲。小。何。。魂。。。。。。。。。。。
。。。。。魂育。の。さ。は。し。れ。だ。お。の。し。さ。処。い。。魂。。。。。。。。
。。魂恩。み。悲。な。同。み。る。零。う。魂。み。な。に。い。。み。魂。。。。。
。魂恵。隔。し。事。量。は。位。れ。と。に。は。事。も。モ。あ。。命魂。。。。
魂を。て。み。見。で。一。な。な。し。消。消。で。な。ノ。た。。。。魂魂。。。
魂授。な。は。逃。し。つ。ら。い。て。え。え。し。い。な。ら。。。心。魂。。。
魂か。く。一。し。ょ。も。とよ。失。な。な。か。失。ど。な。。。。体。魂。。。
。魂り。分。つ。て。う。失。死。う。わ。い。い。な。わ。ど。い。。捧魂。。。。
。。魂。け。に。失。ょ。人。わ。を。に。れ。灯。と。い。れ。こ。の。魂。。。。。
。。。。。魂る。な。う。し。れ。選。命。た。と。し。事。て。も。魂。。。。。。。。。
。。。。。。。。魂る。命。れ。ず。ば。魂。事。も。て。は。も。魂。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。魂と。ず。に。ず。を。が。す。も。。魂。。。。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。∀。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。∀宇宙を含めた命。地球は誰も∀。。。。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。∀。。拒まない。限られているからこそ。。∀。。。。。。。。。。。。
。。。。。∀世界中でこれからを問え。あらゆる限られた∀。。。。。。。。。
。。∀全ては。えいえい。かんせいの檻を破り続けていく。∀。。。。。。
。∀。。。。。。。。。エンドレス愛人「あいれん」fff。。。。。。。。。。∀。。。。
∀。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。∀。。。。
∀。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。可能性。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。∀。。。。
∀。。。。。。。。。。。。。。。できるだけでいいの。。。。。。。。。。。。。。。。∀。。。。
。∀。。。。。。。。。。。。。作品をどうするも自由。。。。。。。。。。。。。。∀。。。。。
。。∀。。。。。。。。。。。。。好きにして良いのよ。。。。。。。。。。。。。。∀。。。。。。
。。。。。∀。。。。。。。。。。。。。。。。自由に。。。。。。。。。。。。。。。。。∀。。。。。。。。。
。。。。。。。。∀。言葉は人。言葉の数よりも多くいる。∀。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。∀。。。別け隔てない全てへ。。。。∀。。。。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。∞。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。


unconfessed

  完備

名前の代わりに発話するねえに振りかえる
きみの長い髪は粗い日差しに透けて
その方角へ背景を忘れたこと 気付くずっとまえから
何度も書き損ねるさようならは空目した名前


ぼくがきみの恋人になれたか分からないまま手をつないでも
きみはぼくをきみと呼び
踏み切りのむこう平凡な交差点に海を探している


夕立の代わりに降るあられがきみの頬で跳ね
折り畳み傘はゆるやかにひらいた
ひかりの粗さを測るてにをはをまぼろしにかざして もう
帰ろうと逆向きの車窓を選ぶ


大阪湾しか知らない細い目は途切れ途切れに幼く
ほとんどすべての景色を忘れた
夕暮れの形式に残るのは固有名詞だから


揺れるね ねむりに落ちる直前の
絡まるほど長い髪の渦まき
おやすみなさいを言い損ねてささやくありがとうも空耳
形式に意味を探すきみは夢のなかでも
ぼくをきみと呼ぶのか まぼろしの遮断機をくぐる


Violet pumps, stompin' the floor

  アルフ・O




(レム睡眠の内わけ、
渡り鳥とレンズフレア、
音をたてて、日向の風が凍る。
長すぎるマフラーに
貴女の声が滲んでは消え、
それに合わせて、ただ、
いつか覚えた
何処にもないことばをつぶやく
そんな、まひるのそら。

……そしてそこから12時間かけて
奈落を突き破って
ステージに叩き落とされる夢。
“Anonymous Prohibited,”
“With Blasphemy,”
「あたしたちに、そんな結論は要らない。
「認めて“あげる”側だった人間に
 そっぽ向かれる気分はどう?
──野良犬め。
 ええ、触れてみなさい、
  その指から解体してあげる。
「レーダーを探したって無駄よ。
「勝手に毒を食らって、
 勝手に絶命しては如何かと、
恩を売るなら相手が違うよ、
瓶詰のまま火口へ棄てて。
っと、いけない。
唆されるところだったわ、

煉獄からまた、暴力的な音量での通信。

(手を振る、
(其処へ落とす腐りきったリンゴ、
(今更驚くことかしらね。
“(neither) Gifted,”
「貴女の知る限りで良いから、
 魔法陣を埋めて。灰になるのを遅らせて、
(平等?
「知ったふうな口きくつもりなら、
 形にしてよ、
 あるいは無い物ねだりの片棒担ぐの?
(どれだけ抵抗を続けてきたのだろう。
(眠れる森。
 朽ちるそばから星の核まで根を延ばす、
(どこかで捨てなくて良いものを
 捨てたのは他ならぬ貴様等、
「補償する?
「なら、対価をよこしなさい。
「それがあたしの覚えている
 唯一の、ルールらしいルール。
──ねぇ、その酸素はいつ切れるの?

(……ド畜生、
(LEDで失明するくらいなら
(流砂に眼球ごとくれてやる。
忘れかけていた自分の未熟なる絶叫を誘発され、
思わず苦笑する。
「だってね、のーみそが必死に
 ダメージ拡散しようとしてんの、
 お互い解るんだもん。
「冠さえ被ってりゃ愛されるのになー。
(──切断。)
「真正面から熱を上げられる、
「それはあたしにだけ使える魔法。
(思い上がりだ、
「呑み下すカフェインの塊、
 血に混じって潮風に消えた。
「特定不能の合図。
「もう探さないでよ、むしろ。
(フォント次第で
 この声の印象も変えてしまえるのに、
「まだ手は繋がってる、って解釈しても?
(たぶん許されてる。
「……プレッシャー半端ないね、
「掻き消して、
(揃って冬眠するために。

(ジャンクを掴まされて喘ぐ冬に
 ハツカネズミは嘆く
 もはや鉄の棺を待つしかない我が身を、
「夢診断?
「そんな大層なものじゃないよ。
(そう、だから貴女でもいい。
 汚れていても血が欲しい、
「困ったなぁ。善悪の判断も人任せなのに、
“broken chord,”
「集中する神経に首輪を掛けて、
 奪い取って育ててよ。それが本望。
(際限なく吐きたくなるほどに)
「灯芯がもうすぐ絶えてしまうから、
(それであたしにはもう、
 無責任な声しか聞こえないの。
(“誰もが発言権求め 人はみな平等
 怠惰もいわく平等”──ふふ、
 その通りね、

「ユニコーンは絶対にあたしたちを襲わない。
 だって違う生き物だから。
「だから安心して股から血を流す、
“Peek-A-Boo,”
「イキってる割に“ソコ”はお粗末なんだねぇ、教祖様?くすくす。
「ほらほら、いつもの調子で唄ってみせてよ。
 声がよく通るスイッチ押したげるからさぁ、
──焼け付いた罪状が影を伝って追いかけてくる、
子宮に繋がる地下水脈を
蛍光タンパク質で染め尽くし、
呪いを薄めようと未だ足掻き続ける。
So, I'm just breeding you, murmuring
“You and me. both evil but that's all”
“We have the enemies, and also you have enemies”
「だからそいつらをぶちのめしたら、
  舞い戻ってあげるわ、
   本当の色と、 一緒に。

 
  
 
*Partially quoted from...
“AMATERRAS”(KARAKURI)
“The Crow”(a crowd of rebellion)
 
 
 
 
 
 


落葉の色

  松本義明

襟に包まれた黄金色ワインの日々はかわいた藁にさらされる木漏れ日の11月メイプルの香りがスズメ蜂の亡骸を腐敗させた土に還る落ち葉や夢に沈む落ち葉がひとすじの秋の中で思い出のように煙の中で立ちあがる憧れの景色は刈り取られた稲のとなりに咲く菊に鮮やかな花に灯る恋の思い出や死を眠らせる肉体よ
酔いながら冷たく凍れ眠らせた言葉達を踏みつけた血が色褪せる前に雪の中で燃えて死ね


正風亭

  つきみ

私は木陰に揺れる陽を見つめ、秋空をだんだん見上げていきます。水色が見上げるにつれて青色から、蒼穹。雲一つ無いですね。すぅーっと吸い込み吐き出した空気でさえ澄んでいるのではないかと感じます。二十年以上共に過ごし、変わりましたね。名称では無く、名前を名付ける事から始まりましたね。庭先に在る背丈の違う、地面にしっかりと根を張る四季折々の木々を見つめます。空に映える木も在れば、子供位の背丈の木も在ります。人と違う所は、木は死ぬまで花を咲かせ、様々な顔を四季で拝見させて頂ける所です。人様は知能が有るゆえ苦悩の渦中で、ときさえも、とめてしまいます。本能と知能の違いをまざまざと見せつけられます。まだ冬ではありませんので、葉がそれぞれ生い茂り、秋風に揺れ、かさかさと笑っていると感じる事は想像です。それにしても少しだけ肌寒くなってきました。若くて青かった紅葉は赤く燃え、若くて青かった銀杏の葉は黄色く笑っている様です。地に落ちて乱雑に散らばっていてはかわいそうでしょうに。そのままでも美しいと仰る方もいらっしゃいます。ですが、人も葉も手心を加える事で更に美しさが増します。女によっては心配り《見た目、行動を、場面によって変えなくては生きていけない》です。一葉、二葉と黄色と赤が、落ちたくないと切望する様に、はらはら地面に落ちていかれます。人が苦を感じて混乱したまま転がり落ちる様で、心臓がキュッと掴まれました。心も痛みます。時計の様に思い巡らせながら、葉、銀杏の実を拾い思います。実は焼くのと茶碗蒸しに入れましょう。

淡く息吹く春へ思い馳せます。桜の枝にはまだ若い葉、夏になれば色濃くなる葉、既に薄桃色の花を咲かせ、雨が降らなければ一週間程で、儚く散ってしまいます。人は桜の散る姿を美しいと仰います。私は桜が世を憂いて薄桃色の花を散らすのでしょう。私が豪雪と溶岩の豪雨を春ですが、降らせていました。豪雪で溶岩が冷える事はございません。花びらが、一葉、二葉と、頬に張り付きました。慰めて戴いているようでした。かすかに雨が残っていたのでしょう。混ざり合い言葉にできず掌に閉じ込めました。桜のせい。桜のせいよ。また降り出した雨は桜色ではありませんでした、ですが幾分かましでした。放った花弁はくれない。私のせい。私のせいよ。春にしかいらっしゃらない御客様へ思い馳せます。あの方は、病気がちだけど元気でいらっしゃるでしょうか?病気ですと世の中では生き辛いでしょう。生き辛い方を、おもい、支えさせて戴きたい力が強まる事は、他の方によりましては悪い事なのでございましょう。

とめどなく湧きいずる青い夏へと思い馳せます。燃える白い花を咲かせるむくげは、二、三日でしぼみ、散ってしまいます。ですが、夏の間、何度も何度も消えないと叫ぶ様に花を咲かせます。青春を謳歌している様です。眺めては好きにして良いのですよ。透明にゆらりふわりと浮かび透ける淡い桃色が雲になって雨が降り続けて青春している私です。青春が終わるのか分からないのです。終われとも終わるなとも思わないのです。夏にしかいらっしゃらない御客様へ思い馳せます。あの方は穢れを知らない純粋さで、周りまで明るくさせてくださり、笑われますので。良い方が見つかっていらっしゃるのなら連れて戴きたいものです。時代が移ろっても、移ろわないでしょう。

触れれば溶ける白い冬へ思い馳せます。白い化粧をした寒椿が赤い大輪の花を咲かせます。白を幹に枝に花に乗せた寒椿は陽に当たり、白ときらめきながら、首からほとりと美しいまま落ちて、ゆっくりと色あせて枯れて土に還ります。真白に落ちたばかりの寒椿は美しいままいたいと、叫んでいるようです。移ろわない事等、世界にはありはしないでしょうに。とわに咲き続けていく事で美しいというおもいが、失われてしまうでしょう。存在する事が当然に成る可能性があるでしょう。じしょうにとらわれず、私だけは美しい寒椿の事を覚えていますから、なるべく苦しまれませんように。移ろい私から離れていくモノへ。心も体も健康でいられる事を鞭で強く打つより、もっと強くおもっています。けっして口に出せません。重荷に成れば、散ってしまうでしょう。冬にしかいらっしゃらない御客様へ思い馳せます。あの方は口先をへの字にしかめた顔をされて。同じものを頼まれて何時ものように黙られるのでしょう。逃げ場所がないという事は休まる事がないという事でしょう。正風亭が逃げ場所でいらっしゃればよろしいのですが。孤独を愛する方もいらっしゃいます。微笑みで固まる事はありません《見た目、行動を、場面によって変えなくては生きていけない》

とどまらぬ。
きせつもたまき。
うつるつき。

正風亭には、私が創造した季節の匂いがします。庭を掃除して、庭を拝見なさる御客様を想い、拾った赤と黄色の鮮やかな葉に手心を加えるように散りばめました。風習でもあります。刺激を与え、影響を及ぼし、感じ方、効果はそれぞれです。

はぁーっ。時が過ぎるのは考えているよりも早いですね。正風亭を建てて戴き、十数年も経つんですね。十数年の歳月を経て、大工さんの真心を実感させて戴いております。結婚する事を考えて貯めていたお金を使い、予め御客様、一人一人を大事にしたいと建てる前に要望を伝えさせて戴いてました。御店を建てて戴く所から始まりました。その間にお返しさせて戴ける事は、ご飯を作らせて戴き、御持ちする事しかできず、大変心苦しかったものです。初めて、大工さんを想い、材料にこだわったご飯、ごぼう、人参、筍、椎茸、鶏肉、砂糖、醤油、いりこ出汁、御米を適量にして、圧力炊飯器で炊いて、握った。五目おにぎり、鰹節の出汁と砂糖、醤油を合わせ、軽く茹でたほうれん草に合わせた調味料を掛けて、花鰹の削り節を最後にまぶしたおひたし、昆布で出汁を取り、玉ねぎのみじん切り、里芋、豆腐を入れた、お味噌汁。大工さんが笑顔で食べていらっしゃるのを拝見させて戴き、料理だけでも人は笑顔に成られる。料理しか取り柄のない私です。大工さんの笑顔に励まされ、思い出しては初心に返ります。大工さんが釘を使わず丁寧に木材だけを組み合わせ、ひとつき以上掛けて建物を完成させて戴きました。頑丈だとは御聞していました。正風にあやかり。正風亭を開店しました。五人の御客様が寛いで戴ける手狭な店内です。こじんまりとした外観です。緑色の屋根は色あせて、薄緑色です。色が塗られていない飾り彫りもない樫で作って戴いた外観も色あせて、少しだけ朽ちた部分があります。より一層正風亭を際立たせています。正風亭に込めた想い。御客様を大事におもてなしをし、心からの御話をし、御支えしたい。初めは私ごときにできるか心配でした。期待は持てませんでした。不安だけが、募り、なん十人も背負った様に重くのしかかっていました。一年もたたず店を閉めるのでは無いかと、不安は募る一方でした。開店当初と今は違います。開店して御客様と出会い、関わらせて戴き、御客様の人間性がそれぞれ違います。何度も通って戴ける御客様のおかげで、成長してきました。お店をたたむまで続くのでしょう。沢山ではありませんが、御会いでき、通って頂き、私はとても幸せでございます。

正風亭の隣に在る小さな、私の城である住処へてくてく向かいます。大工さんに建てて戴いた正風亭と御揃いの外観です。菊が飾り彫りされた樫で作られた引き戸を開くと、畳の青臭い香りがします。草履を脱いで、母から受け継いだけれど、木製である事しか分からない衣装箪笥から、三十着の着物を出します。着物選びは迷いますね。四季を感じて戴ける事も正風亭では大事です。全体が真黒で雪景色から鶴が空へ舞い、鶴の足からはらはら落ちる雪片の着物にしましょう。帯は金色で紅葉三葉が散り散りに成る、赤が映える帯にしましょう。受け継いだけれど、新品の様な姿見を見つめ着物をはおり、袖を通し。共衿先と衿下を合わせ。背中心が曲がらないようにして。後衿を長襦袢の衿と重ねてピンチで止め、着物が肩から外れたり、背中心がずれたりするのを防ぎ。長襦袢の袖と着物の袖を揃え。衿を持ち、着丈を決め着丈がずれないようにしっかり引き。上前巾を決め、右ももの一番張っている所より一 、二センチ程かぶる所を目安にし。着物がずれないようお尻の位置でしっかり着て。上前を開いて、下前を巻き込み衿先を少し上に引き、上前より幾分短かめに押さえ、少し裾がつぼまった形にし。下前が決まったら、上前を平行に重ね。腰に合わせた位置に腰紐がきて、左手で上前腰紐の位置を押さえて、右手で腰紐を取り、上前を押さえたまま、左手に渡し。腰紐は紐丈の中心を持って渡し、結び目が腹部の中心より右よりに成り。結ぶ位置は自分の具合がよい所にし。右手、左手と着物の内側に入れ、おはしょりを整え。下前のおはしょりが厚くならないよう斜め上に折り上げ、おはしょりを整理し、衿を整え。左手で下前の衿を折り上げた所を押さえ。下前の衿の折り返しに、掛かる様に胸紐で押さえ。下前が緩まない様にし。元をきっちり合わせ。伊達締めを締め。おはしょりの長さは、帯下より五、 七センチぐらいにして形良く見せて。着物の着付けは終わりですね。次は帯です。今日は二重太鼓結びにしましょう。手先を帯板の下線位の長さに決め一巻きし。左手で手先の下部を背中心で引き、右手で帯を引き締め。二巻き目を巻き。右手でしっかり引き締め。後ろは斜めに折り上げ。手先を下ろして仮紐で押さえ、右側の帯の下を通して前で結び。手先の輪が下に成る様に折り返して前にあずけ、クリップで止め。たれ元を広げ。帯枕に帯揚げを掛け、たれの先から三十センチ程度の所に帯枕をあて。二枚重ねて、帯の端を揃え。柄を見てお太鼓の山を決め。後ろで帯枕と帯を持ち、お太鼓の山を両手で引き。帯の上線の所まで帯枕を持ち上げ、お太鼓を乗せます。帯枕の綿布を前で結びたれの内側を平らに整え。仮紐を外し、仮紐でお太鼓の下線を決め。手先を仮紐に通し、手先を引き出し。引き出した手先の余り分を内側に折り。手先の長さは左右二、三センチ位出る様に決めます。帯締めをお太鼓に通して前で結びます。帯も終わりです。姿見に映った全身を確認します。おかしな所は見当たりませんね。前身に鶴、背後の帯に紅葉。一度も染めた事がない黒い髪を、母も、祖母も、祖祖母も使っていた、木製である事しか分からない木櫛で髪をとかし、清潔に見え、料理の邪魔、料理に入らない様に結い上げ、赤い紅葉をかたどった、かんざしを刺しました。きっと今日の御客様も喜んでくださるでしょう。立ち姿で引き締めた心持。しかめ面では御客様が心配してしまいますから、微笑みます。

《命を有難く戴きなさい》
《有難く戴く命を料理しなさい》
《命一つ一つの味を生かしなさい》
《拝顔できない方の手心で産み出された新しい命も生かしなさい》
《調味料も命でしょう》
《命で命を殺したら、猛省しなさい》
《初心を教えましたね》
《命を有難く戴きなさい》
《料理をする事は食べる事と同義です》
《後は、自分で得なさい》

拝啓、お亡くなりになられ。二十年以上の歳月が経ちました。私のような未熟者に、手紙を残されるとは思ってもおりませんでした。真白い用紙の真ん中。たった一行だけ、一行だけの。達筆なお師匠の御言葉に真心が有ります。

《命を有難く戴く初心を繋ぎなさい。途絶えさせるのなら、迎えに行くでしょう》

優しく厳しかったお師匠様。感謝の言葉など。有難く戴く命の前では。儚く散るのでしょうか?それでも。伝えさせて戴きたく存じ上げます。教わった全てが有り難き幸せな事ですと。何故、御亡くなりになられる前に。弱音の一つも零さず送りだしたのでしょうか。私等放って何も教えずご自愛くだされば長生きなされたでしょうに。今の私等が初心を教える事等。愚を愚にするだけでしょうに。頭の上がらない方は少なくは無いモノでございます。手を合わせ黙祷する暗闇に愛がございます。愛するでも愛されるでもなく。愛そのものでございます。

店先に移動して、桜の花弁が風に舞い散っていく様を飾り彫りした磨り硝子をはめた、引き戸を横に滑らせて店に入ります。大工さんに作りあげて戴いた樫の卓には、隣り合っているけれど、離れ過ぎていない五席だけの大工さんに作りあげて戴いた、樫の椅子が在ります。卓と真向いに在る調理場で、真っ黒な備長炭を火バサミで掴み、三枚おろしのサバなら二枚焼ける焼き場に置き、アルコールジェルを塗り、ボゥッと赤い火を点けて温めます。今日もこだわった材料で料理をしましょう。今日は炭で銀色の秋刀魚を焼きましょう。水でさらしっぎゅとした白い大根おろしと外は緑色中は黄色のカボスをひとかけを添えましょう。ポン酢ではなく、醤油にしましょう。副菜は切り干し大根と、ツナを和えましょう。汁物は銀色のいりこ、濃い緑色の昆布で出汁を作り、白いえのき、傘の部分が焦げ茶色で柄の部分がオフホワイトのしめじ、茶色のなめこ、傘が焦げ茶色で柄がオフホワイトのエリンギ、白い豆腐を入れた、お味噌汁にしましょう。トントンとみじん切りした緑色の万能ねぎを最後に散らしましょう。殻を割った黄色い銀杏の実は串に刺して炭で焼きましょう。茶碗蒸しねぇ。具は、実、焦げ茶色の椎茸、薄い黄色の筍、オレンジ色の人参、剥き蒸すと赤く成る海老の小さいのにしましょう。産まれたばかりの新鮮な赤卵を茶碗蒸しに使いましょう。お味噌汁と同じ出汁にしましょう。蒸し器に水を入れて、ぼこぼこ沸騰するまで温めている間に。秋刀魚が臭わない様に水をサーっと掛け続けます。大根をシャッシャとすりおろし水にさらし大根の癖を取り。カボスを八等分に関の包丁でトントンし透明なタッパーに入れる。大根おろしとカボスを冷蔵庫に保存。鍋にサーっと水を張りちゃぷんっと昆布を入れて、お湯が沸く前にさっと取り出し、お湯が沸くまでに、にぼしの苦味であるはらわたと頭をパリパリと取り、お湯がぼこぼこ沸いたら残ったにぼしを入れ十分程茹でて出汁ができたら、さっとにぼしを取り出す。えのき、しめじはかぶをトントンと取り除く、なめこはそのまま、えりんぎは一口より、小さくトントンと切る。豆腐を手に乗せ均等にサイコロ状にスーッと切る。銀杏の実を串にふすふすと三個さす。実と海老はそのまま、椎茸、筍は、食感と風味のバランスに合わせてトントンと切り。人参を紅葉の様に切り、赤卵の黄身が掛かった卵白と濃い黄色い黄身を分ける。卵白は製氷皿に乗せ冷凍庫へ入れて、固まったらジッパー袋に入れて長期保存。出汁が冷えたら卵黄と白だしも一緒にボウルへ入れてガシャガシャとよく混ぜ、具と一緒に茶碗蒸しの容器に入れる。下拵えはこれで終わりかしら。調理が早く済む料理はお客様がいらっしゃってから、御作りしましょう。味付けは濃すぎない様にしましょう。濃すぎると食が進まないのです。薄くてもダメです。食器ねぇーっ。秋刀魚は白磁に赤い紅葉をあしらった平たいお皿にしましょう。茶碗蒸しは白磁に青い松と海が描かれた器にしましょう。お味噌汁は紅の漆器にしましょう。和え物は白磁の花形な小鉢にしましょう。実の串焼きは串一本分が入る柄のない白磁にしましょう。味の幅を広げましょうかね。今日はお塩にしましょう。桜色の梅塩、白いお塩、黒っぽい藻塩を、三種盛れる区分けされた碧色の柄のない皿にしましょう。あら。真っ黒だった炭が段々赤くなってパチパチないていらっしゃいます。近くに居るだけで汗が出て、夏の様です。所々灰に成るのは、まだまだ先ですね。これから始まる時間を想像させて戴けます。今日もあの御方達はいらっしゃるかしら?

十数年の歳月を経ても紺色の生地に白く正風と崩れて書かれた暖簾は変わりません。店先の入口上に掛けます。その時は、御客様をしっかりとおもてなしさせて戴ける様に、おまじないをします。黒い草覆、鼻緒は紅。片方の爪先を地面にカツカツとぶつけます。振り向かなくても夕暮れが引き戸の硝子を橙に染めています。くれゆくときは一瞬です。もう少し経てば、帳が落ちて夜が鶴の様に羽ばたくでしょう。風もだいぶ冷たくなりましたね。冬が足早に近づき、足音も聞こえてきます。

「女将、空いてるかい?」

聞き慣れた低い男性の声に、振り向きましたら何時もの御客様の一人がいらっしゃったようです。毎日のように通って戴ける事が嬉しく思います。私は微笑みます。何時ものように。

「はい。いらっしゃいませ。今日はいらっしゃって戴くのお早いんですね」

「あぁ、女将に会いたくてね?」

「ふふっ、ありがとうございます。私も心より御待ち申しておりました」

引き戸を横に滑らせて開けますと。炭の焼ける独特の香りを真っ先に感じました。店内を満たしていたんですね。御客様は調理場に一番近い左の隅に在る何時もの席にガタっと座られました。私は何時もの様に、当然だと言う様に、焦げ茶色の瓶に入っている、えびすのビールを冷えた透明なグラスにコポコポと注ぎます。黄色のビールと白い泡の割合も大事なんですよね。昔は着物の勝手が分からなかったもので、よく汚していました。今は着物の袖を片手で持ちます。コツがいりますが小指からグラスを置くと音が出ません。御客様がビールを喉ぼとけを上下させて、ごくごくと飲んでいらっしゃいますが、私は年齢と釣り合わない子供舌なので、お酒を飲みたいと思った事は、失恋した時くらいです。それはさておき。

さぁ、今夜も正風亭が始まります。

* メールアドレスは非公開


footprints

  完備

あなたのくれた比喩でない不等式を
証明できないままカルバリの丘に立てる


これがおれの銀河だ
走馬灯のような生活はマイスリーがさらっていく
おれはいまから
おれの足跡がいくつあるのか、真剣に数えたい


Evil Holy Raspberry

  アルフ・O




「今しあわせ?
「思考力失うほどには。
「浮腫む花の持つ意味も変わってしまうね、
「気にしてないよ。全部裏表だから、
「意味不明なんて知るもんか。
「沈む船からローレライ達を引きずり出して、
「笑ってよ、今くらい、
「正義の味方、残機99。もはや暴力。
「思想なんて聞く耳持たないし、
「だから認めちゃって。
  逃げる勇気もないんだって、
「予言者は錯覚を愛してやまない。
「それが彼らの言う可能性、か。
 やっぱり時間の無駄だった、
「あははっ、それじゃ出撃しよっか。
 冷却機関だけフル稼働させて、
 お揃いの刺青を対になる胸に施して、
「それが聖者の証だって嘯くのね。
「汚したくて汚そうとして未遂に終わる、
「その事実だけ槍玉に挙げられるのも
 よくあることで。
「トレブルの切られたこの声ではどうしても、
 伝えることができないのに、
 

 


吸血蝶を呑む

  鷹枕可

集合住宅の一室
水道管を裁断機に掛けられた手配紙が流れて行った
固執する、
縦横前後の想像、視野に
私の死が蹲り
遅筆なるがゆえに悍ましい、
抵抗器に、煽動家達が
諸々の咽喉に
既に血塊の翼を緩め
死屍たる椿花樹の爛熟に
――催奇亡霊を嘱望し 
  ――絶望絶慟を倦厭し
    ――それら領海を愉しみ、

     ――洗顏室に蓬髪が散らばり
  ――摘まれた糧と藁束を
――燃焼罐に
墜ちつつ回る椿花を
血婚装束を
視線に拠り静止せしめて
褪彩乾燥花
退褐色のカレイドスコープに
騎馬が
鈍らな錫を瞬き
素焼陶樹に薬莢筒の
破壊された顏貌を、
空襲記録を今なきものと、

改竄機構‐統葬辜、瞭然たる執念を以て硬直死を告げるも忌々し、

国家
統粋主義を顧み
叛趨勢を頼みつつも
興趣、
土地を、
峰を麓を越境線として聯なり
標本箱の汽罐車に
硬像を
蜜蝋蝶を閉じ込め乍
その髄畔を巡撒し已まず

種蒔く指へ地方紙が触れ
喚喚と
飛礫花を繃帯へ
多多滲み樹は樹ならぬ樹花へ


騒ぐ言葉

  atsuchan69

かん高い声の騒ぐ言葉が部屋中を這いまわっている。声の主は女と女なのだが、女と女は椅子に座っていて向かい合ったちょうど真ん中にテーブルに載った紅茶とポッド、そしてナイフで取り分けたそれぞれのビクトリアサンドイッチケーキが女と女の側に置いてあった。紅茶は、ウェッジウッドの小花柄のカップに注がれていたが、部屋中を這いまわる騒ぐ言葉のせいで微かに波紋を揺らしながら、明るい琥珀の色に溶けた遠いダージリンの土地の幸福な匂いを淡い湯気とともにゆっくり立ちのぼらせていた。また銀のスプーンは、しばしば騒ぐ言葉とともに皿の上で小さく震えることもあったが、女と女は相変わらずケラケラと笑い、無数の騒ぐ言葉を床や壁に這いまわらせていた。その言葉のひとつが、壁に染みた「脂肪燃焼サプリ」だったり、「借金玉の今日はこれに頼りました」だったりしたが、意味は無数の意味の前では何ら意味を成さない。今しも天井を走る「ミコノス島の赤い夕日」が「タコのガリシア風」と激しく衝突し、その拍子で「ミコノス島の赤い夕日」は「賀茂なすの田楽」の這いまわる床に落ちて「日夕い赤の島スノコミ」になって黒い多足の足を天井に向けてバタバタさせている。だが、そんな騒ぐ言葉のひとつひとつを紹介していてもキリがない。ただ一匹、もしくはもう一匹、「あなたのご主人」と「ウチの馬鹿亭主」が、夕べこの家の主人である私が酔っぱらって床に零したワインの染みの上で何故か居心地好さそうに、まだ生まれたばかりの子猫のようにじっと大人しくしていた。そして女と女はケラケラと笑い、さらに無数の騒ぐ言葉を床や壁に這いまわらせるのだった。


たったひとりで伸びていったクレーンへと捧げる詩

  渡辺八畳@祝儀敷

お父さん お母さん 見上げてください
そして拝んでください
あなた方の白痴の子は
ただ一本をもって
遥かに透き抜ける大空へと伸びていきます
限りなく広がる空間に
鉄の身ひとつ 質量を伴いながら
欠けているように細いその首を
まっすぐ無垢に伸ばすのです
垂れたワイヤーのその端で
フックが寄る辺なしに揺れるなか
望むがままに伸び続けるのです
その行動に思惟はありません
あの子は全くの白痴なんです
親である人間たちが電力を与えてあげないと
動くこともできない子なんです
まことに図体ばかりが大きくて
ひとりでペンキも塗れないかわいそうな子なんです
それがただ一本 たったひとりで空に伸びていきます
どんどんと思惑うことなく伸び続けていきます
父兄の皆さま お願いです! 見上げてください!
舌が喉にかかって嘔吐しそうになっても
雲一つないあの青天へ
刺し入っていくあの子を どうか!

空は見えない血を噴き出しました
あの子は何も考えていません
ただの鉄の塊には考える脳などあるわけないのです
だけど ああ実に尊い
見上げてください 日光に鋼管は燃えあがり
大いなる天上を切り裂いている
お父さん お母さん あの子は神になりました
ただ思うがままに伸びていって
私たち人間の頭上で鎮座しています
見上げてください
そして拝んでください
あなた方の白痴の子は
空を殺して 神になりました


ざくろ/きらきら

  中田満帆

ざくろ


 その男はいった、
 息子が死んだよりも柘榴が折れてしまったのが
 なによりもかなしいと
 その木は根元から大きな嵐と抱き合って 
 そのまま死んでいた
 その男は柘榴を燃やし、
 その灰を柩にした
 そして黄昏の光りのような女と暮らし、
 やがて死を迎えた

 その妻はいった、
 あなたが死ぬよりも
 あなたのかつての息子が死んだのがかなしいと
 かれは咽に林檎をつまらせて死んだ
 かれはいまも墓に葬られず、
 埃をかむった闇のなかで眠る


きらきら


 すべての訓示をやぶり棄てたときから、 
 そうしてふたたび滝のおとが失せた
 あまりにねぐるしい、
 にんげんの家で
 だれもが耳を
 欹てる
 たったひとりぼくは廚で麺麭を焼いてる
 だれかが庭で黄葉を踏む
 たしかに滝は枯れてしまったんだ。 

   *

 斑鳩の空にいまだ、
 たどり着いてないというのに
 もうきみは眠くなって、
 ぼくにだだをいう
 それでも、
 決してはなれないでいる
 それはやさしさのためでなく、
 最愛を滅ぼすため、
 見なよ、
 柘榴の木が燃えてる。

   *

 鶺鴒の森は焼かれ、
 打たれるがまま、
 欲しいままにされて、
 うつくしく濁る、
 水よ、
 水よ、
 石の柩にきみは跨がって、
 黄金水を放てばいい
 報いをくれてやれ、
 塔の主に、
 城の主たちに、 
 かれらは遁れ、けものがれ、
 われらは両目をつりあげて、
 やがて狐となりました。

   *
  
 きらきらっ、
 光りがまぶしいね
 きらきら、
 光りがきれいだね
 きらきらっ、
 みんなと一緒だから怖くないって、
 きらきら、
 ないにも見えない、もう聞えない
 きらきらっ、
 きみはもういない
 きらきら、
 斑鳩の果て、
 雲路に、
 毒が、
 混ざっております、 
 あれが鰯雲です。
 


戦艦パラダイス号

  atsuchan69

当時、カレーライスという料理はそれほど有名ではなかった。カムパネラが初めてそれを食べたのは海の上だ。それは「沈まない要塞」と呼ばれ、バロック調の広間や食堂を備えたとても戦艦とは思えないくらい豪華でお洒落な船だった。深紅の絨毯を敷きつめたとてつもなく広い食堂は、望むなら三千人の乗組員が同時に席に就くことが出来た。見上げると幾十もの馬鹿でかいシャンデリアが煌々と光を放っている。食事の前に艦長が席に就いたまま、「我らが神人陛下に感謝します」とはっきりとした太い声で言った。そして全員が「我らが神人陛下に感謝します」と復唱した。白いテーブルクロスの上に銀のスプーンと水を注いだグラスとカレーライスを盛った陶磁器の皿が並んでいる。カムパネラはそのうっとりするような香りを嗅いだだけでも思わず唾を飲み込んだ。こんなもの、たった今も戦争中の人間がよろこんで食べてよいのだろうか? しかしひと口、黄色がかったオレンジにちかい色のカレーを口に運ぶともうじつにあっけなく論理は崩れ去った。「美味い!」こんなもの、今まで食べたことがない。そしてカムパネラは無我夢中でカレーライスを口に頬張っていた。

幾百の夜がすぎて星は輝き、その夜空を一筋の軌跡をのこして星は燃え落ちた。タバコを咥えたカムパネラは人気のない船首付近の甲板にいた。敵国ダミラスは、男根を持った女性たちの国だ。彼ら、いや彼女たちの国は奴隷の青色人種と貧しい移民のストレート(異性愛者)たちの犠牲によって成り立っていた。しかし我が軍のなかにもアンドロギュヌス(両性具有者)は少なからずいる。そのこと自体が悪いというわけでもなかった。ただ、そもそもの火種は貿易上の双方譲らない利害関係から始まっている。特にナミダ油田の利権争いの際に空軍を使ってメノフチを空爆、ナミダの住民を殺戮したのはダミラスの同盟国サンテ・ドウだった。またナミダの住民の殆どが神人の血を分けたフンドシを祖とするストレートだったことも、戦争を始める側にとっては好都合だった。戦争を始める側というのは、つまり例の「死の商人オカア」率いる秘密結社アドンであるという噂はけっこう古くからある。事実、オカアはデラペニス火薬社のCEOであり、サンテ・ドウ国の王子とは懇意の間柄である。しかし報道各社は殆どオカアの息がかかっていて正しい情報はなかなか伝わってこない。それでも点と点をつないでおよその輪郭というものは見えてくるような気はするが、すでに戦争は始まってしまっているのだ。そしてダミラスの船には、殆ど奴隷の青色人種と貧しい移民のストレートばかりが犇めいて乗っていた。眼をつぶると、錆びたダミラスの船が浮かぶ。彼らは燕麦の粥を食べ、腐りかけた林檎を齧って一発500万キルビルの途方もなく高価な砲弾を撃ち込んでくる。

さすが「沈まない要塞」というだけに戦艦パラダイスの白い主砲にはどれもダイヤモンドやサファイア、そしてルビーが散りばめられている。この船での生活は、厳格な規律はあるものの全く申し分なかった。自由時間にはデッキでギターを弾き歌う者やプールサイドには水着のアンドロギュヌスたちもいた。カムパネラは読書が趣味だった。その多くはくだらない恋愛小説が大半だったが、たまに推理小説も読んだ。恋の成就と謎解きはどこか似ているような気がした。この船の存在理由は言うなれば海上における「主要陣地」であり、もしもこの船が沈むならその時はこの戦争が終わりに近づいたことをすぐさま知ることが出来るだろう。きっとカムパネラも顔が青くなるほど貧しくなってほんの一握りの両性具有者のために一生を奴隷として捧げることになるのだ。だがそんなことは、まずありえなかった。戦艦パラダイス号の艦首最下部には魚雷発射管付きの水中展望台があり、後方部にもまた同様のものがあり、海中からの攻撃にも十分対応することが出来た。そして艦載機はもちろん艦の付近には常時巡洋艦7隻と空母2隻が配置され、敵のいかなる攻撃にも対処していた。そうした硬いガードによって戦艦パラダイスの夜は華やかに幕を開く‥‥。まるで舞踏会さながら戦時下というのに仮面を被ったタキシードや燕尾服、そしてスパンコールの付いたドレスや鳥の羽根の帽子の女、そしてさまざまな色のイブニングドレスと扇、軽快な音楽が入り混じった。パーティー会場にはオカアの姿もあった。「宴もたけなわですが、さてみなさん。ここでデラペニス火薬社CEOのオカア氏に登場願います。この戦争に武器弾薬なくして勝利はありません。氏は、当軍の側にすべての武器弾薬の20%割引を承諾して下さいました」ここで「おお!」というどよめきと歓声、そこかしこで口笛も鳴った。「いいですか、ダミラスは我々よりも20%高い弾薬を使うリスクを背負うことになります。そこで我々は、ダミラスの土手っ腹に風穴を空け、さらに20%分よけい胸や頭にも向こう側の覗ける穴を空けてやりましょう。さらにさらにみなさん、オカア氏はもう一つの特典も与えてくれました。特典とは? フフフ‥‥。それはオカア氏自身から直接教えてもらいましょう。みなさん、オカア氏です――」ふたたびどよめきと歓声、小柄なオカア氏が壇上に上がった。「いやあ、親愛なるニギリメシ国の海軍、戦艦パラダイス号のみなさん。ご紹介に預かりましたオカアです。特典、今月かぎり‥‥すべての武器弾薬を50%割引とします」すると「嘘だろう」とか「まさか」という声が漏れた。「本当です、ただし今月限りですが。ここだけの話、私はニギリメシ国の味方です。もちろん、ビジネスはビジネス。いくらなんでもタダには出来ません、でも私の出来る最大限のご奉仕としてみなさんにプレゼントさせてもらいます。ぜひ受け取って下さい、使用量の制限は一切ありません」カムパネラは驚いた青色人種みたいな顔をした。ということは、魚雷も大砲も打ち放題、命中度を上げるための思案や時間もいらない。簡単に言えば、ただマシンガンのように撃ちまくれば良いのだ。

その3日後、電探(レーダー)室から艦長へ「左舷11時方向、距離42000に敵艦隊発見」と緊急連絡が入った。「了解した」艦長の顔は朝起きて髭を剃った時の爽やかな顔のままだ。すると、いっそう爽やかな顔になって「こちら艦長。護衛艦隊に告ぐ、全艦応戦体制に入れ」と命じた。そしてバタバタと走る海兵、「総員戦闘配置!」カムパネラは艦内の一人乗りエレベーターを使って艦首最下部の水中展望台へ向かった。「水中展望室1号と2号、こちら艦長」すぐさま、「2号です」と後部から。「水中展望室1号、配置完了です」とカルパネラもやっと応答した。「諸君、自由にやれ。これは艦長命令だ」と、俄には信じられない指示が。「了解しました」とはいうものの、今はまだ艦上から視認すら出来ない距離である。しかし「打ち放題」ということであれば話は別で、盲撃ちだって構わないならたった今発射ボタンを押しても良いくらいだ。正面のガラス窓から数匹の黒いマンタが泳いでいるのが見える。その遥か先には無数の魚の群れがあり、柔らかな朝の光は海の底までも静かに梯子を降ろすように届けられていた。仮に52ノットであれば、魚雷は20キロの距離を10分少しで移動する。値段は一般的なサラリーマンの生涯年収のおよそ半分くらいだろうか。これをたぶん昼までにカムパネラの独断で最低20本以上は発射できるのだ。潜水艦ならともかく、この船の場合は銃で例えるなら6発の弾が入ったリボルバーが4器セットされている。交換にやや時間はかかるものの望めば100発だって射出可能だ。問題は「命中精度」なのだが、「盲撃ちの空を向いたマシンガン」か「百発百中の狙撃手の撃った一発か」との選択に等しい。まして過去の海戦においても魚雷は接近戦で使うべきツールであることが実証されている。当時の技術では、距離があるほど「空を向いたマシンガン」になってしまうことが多く、数での優位は無意味に近かった。それでもこれは戦争なのだ、資本主義社会の世界規模の「祭り」なのだ。大勢の人が死に、高価な船舶や航空機があっという間に鉄くずに変わるマジックショーなのだ。人が死ねば棺桶屋が儲かる、造船産業や航空機メーカーも一夜かぎりの花火のような確実に人が死ぬ機械をフル生産で作り続けることができる。カムパネラは躊躇せずに最初の「引き金」を引いた。

衝撃を感じたのは数秒後のことだった、カムパネラは「やった!」と思った。しかし距離からみて早すぎる着弾だった。次の瞬間、鼻腔に嗅いだことのある者にしかわからない一種独特なあの地獄の匂いを感じた。「護衛艦アタリーナ、敵の魚雷攻撃によって被弾しました」嘘だ、嘘だ、カムパネラは頭をふった。なぜ勝手に前にいる? 「沈んでいます! 乗組員は多数の死傷‥‥」そして弱り目に祟り目、「敵機襲来、魚雷攻撃に備えよ」とスピーカーが言い放つ、「敵魚雷、投下されました」間もなく、向かってくる魚雷を目視した、こちらには着弾こそしなかったが、左舷方向を並んでいた護衛艦シズミーノ号の艦首最下部に激突し、立ちのぼる水しぶきとともに爆裂。高額なデラペニス火薬社製「いのちの爆弾の母」を搭載した敵魚雷によって艦は忽ちのうちに沈んだ、「敵魚雷、また投下されました」さらに「別の敵魚雷、投下されました」ちくしょう、カムパネラは「空を向いたマシンガン」を目をつぶったまま撃った、そして撃った、「緊急事態発生! 艦長だ。敵機襲来!」飛来した敵機のうち一機には、肌の白いアンドロギュヌスの操縦士が載っていた。艦橋目掛けて急降下してきたアンドロギュヌスの機を狙って各所の三連装機銃が火を噴く。たちまち、右の主翼を撃ち抜かれて敵機は船の後方部甲板に墜落した。「落ちたぞ! 機体が燃えている。至急消火せよ、繰返す、至急消火せよ」

それでも残念なことに、戦艦パラダイス号の白い主砲はおろか副砲とも火を噴くことはなかった。護衛艦隊のうち空母2隻から飛び立った最新式魚雷を搭載した飛行部隊「ノッテ・ステラータ」が活躍し、敵の艦隊はあっけなく海に沈んだ。また敵側の戦闘機の大半は、戦況の不利を痛感したのか彼らの前進基地のあるカッパ諸島へ逃げ去っていった。カムパネラの射出した魚雷はきっちりと24発。味方の護衛艦以外には一発も当たらず、その他の魚雷は海の果へと向かって消えた。墜落した敵機の操縦士は無事に救助されて捕虜となった。夕方ちかく、医務室から獄舎へと連行される「彼女」の姿をカムパネラは遠巻きに見ていた。そして彼女も、虚ろな眼差しでカムパネラの方をしばらく見た。左目に眼帯と、頬には絆創膏を貼っていた。それでも、「ああ。なんて美しいんだ」カムパネラは思わずそう呟いてしまった。さて、水中展望室1号の報告は日々艦長へ直接行うことが慣例になっていた。葉巻の煙を燻らしながら、「今度の戦争は」と、艦長が言った。「今度の戦争は表向きは我々の勝ちだ」ワイングラスを持ったままカムパネラは艦長の後ろ姿を見つめた。「しかし戦争というものは破壊こそが真実なのだ。破壊され、焦土となった国はやがて復興する。これこそが真の目的だ。そして勝者はやがて没落する‥‥」ふり向くと艦長は、「飲みたまえ、ブラジア産のワインだ」そう言ってカムパネラの肩に手をやった。「はい、でも艦長の仰ることが自分にはよくわかりません」艦長は口元を緩めた。「いつかわかるさ。その前にダミラスは焦土となる。そして復興し、青色人種と貧しい移民のストレートが新しい国のリーダーとなるだろう」カムパネラはまだワイングラスに口を付けていなかった。「自分たちの、ニギリメシ国はどうなるんですか?」すると顎のあたりを撫ぜ、「陽は沈む。とてもゆっくりとだがね」艦長はしみじみとそう言った。「艦長、もうひとつ解らないことがあります」カムパネラは今回の作戦で味方の船を沈めてしまった経緯を率直に話した。「多くの人命と我軍の護衛艦1隻を自分のミスで失いました。それなのに今のところ処分の動きが全くありません。それはなぜでしょうか?」艦長はふたたび背を向けた。「言ったはずだ、自由にやれと。それは護衛艦すべてにも命じた。戦争というものは破壊こそが真実なのだ。敵も味方もない、そのために戦っているのだ。そして今回、君は多額の【消費】を行った。じつに勲章ものだよ」そんな馬鹿な、とカムパネラは思った。でもよく考えてみると、確かに人を殺す行為の前に敵も味方もなかった。

カレーの日は毎月、月の初めの日だ。見上げると幾十もの馬鹿でかいシャンデリアが煌々と光を放っている。そこは戦艦パラダイス号の深紅の絨毯を敷きつめたとてつもなく広い食堂だった。食事の前に艦長が席に就いたまま、「我らが神人陛下に感謝します」とはっきりとした太い声で言った。そして全員が「我らが神人陛下に感謝します」と復唱した。白いテーブルクロスの上に銀のスプーンと水を注いだグラスとカレーライスを盛った陶磁器の皿が並んでいる。カムパネラはそのうっとりするような香りを嗅いだだけでも思わず唾を飲み込んだ。こんなもの、人間を大勢殺した者がよろこんで食べてよいのだろうか? しかしひと口、黄色がかったオレンジにちかい色のカレーを口に運ぶともうじつにあっけなく論理は崩れ去った。「美味い!」そしてカムパネラは無我夢中でカレーライスを口に頬張っていた。


夢魔

  氷魚

I
薇を巻く
君の背、
脆く蒼く、
石英の羅列は
夜を燻らす

滔々と
凡人は愛を囁き、
寿命は尽きる


つぶては、なおも美しい。


鮮血の通った
木の葉の譜面に

「sotria」

の刻印

透かせば燐光、
水面の吐息、
爆ぜる氷砂糖に
熟されゆくまりも、
その劣情、
ぽとぽと降りる、
あわ、君の巣。

寝床 □


II

半月状のトビウオの群れ。
ラジウムに君、は射抜かれ
淡く滲んだ月餅は
花の墓を弔っている。

手錠越しの、無、
籠の中の慈悲、
虚な瞳が
君という君に
反射して、淘汰する。

青。
それとも、
白。

崩れた♪記号
ほらよ、
(もういいだろ、)
拙いまま。

眠、
眠、

m、


Hash is money
or……green drank.

Flaut your's gift.
Solitude is more precious…
than passing away.

Blossom's grave,
be content voice a drank ii
is ss ssr …
k
u dy h ax t d
mr ur rr
ss sso
ot t tt
tr iaa
a a
a……


死物

  鷹枕可

炎から炎へ石蕗のくきやかな稜線が鬩ぐ様に、
唯一つの銃眼に並ぶ修道尼達が垣間見た現象の緻密な骰子より遁れる様に
死を忘れた
受難者達、
縺れ縺れた
その褪紅套を夥多凱旋門に杭打たれ
翼人磔刑令の真昼、

青年撓う高跳びの背より
高く飛べぬ
想像の死、
萵苣の鈍血鋼を摘み怨讐を来す
痴人よ、
一世紀毎に血の成果を滴らす、歴史を、
隠匿を
鳩と橄欖は帰らぬ、

総ての喫水煙草、
姿勢は
且て建築を期された
第三国際記念塔の断腸であり、
鉄の嬰児
赤い鋳銅像を
疾駈する想像を視野に価しない
敬虔な華、
鬩ぎ止まぬ死後の未踏線を跨ぐ
脳髄殻への苦悶、愉悦饗鳴

私は外の私を呼ぶが、
私は堰き抑えられた擬膠トルソの様に
硬化胸骨を程無くして開く
喚製静物に遺棄を為されて終い、
普遍‐稀覯に
確たる帰結としての時間、

死が読めなくなり群衆を
俯瞰図に
壊乱し続けているのを、
野棲薔薇を已み頻る振動管、
鉛管振る少年、
遂に自らがドゥーブルの私製児たる冥鏡象より
随腑を略奪するも、


あらかじめ、喪われた《角》へ。

  なゆた創


(非―在)の、あわいに
《角》が、覗く/
振り、返る。/いない、初めから、
私達は、喪われた亡き妻を乞う
((シ))
人、なので、カタチを捧げるたび貴女
からは遠ざかってゆくのです限りなく
研ぎ澄まされてゆく指先の、先、に、
最果ての凍土が、あつく、
(((ふ)))
れる」――遠く、声が響く。
懐かしい、(でも、一度だって聞いたことのない、
貴女の。
。欠け落ちた、カタチの
あわいを、埋めるように、
ふと、(非―在)の息がしている。
それは、(((青)))く、て。
そっと、耳を、預けてみる。

   。

(((青)))、の、





。     (((ふ、。
    。     狂れる)))
階 )きざはし。)の、端、へ
か)駆)掛)欠)ける、爪先
の、先へ、舳先、へ、。
。こ、此処が、水域。
です。裂け/
    /《目》が、あります。
(((圧((シ))域)))の、
め目ま眩いです))。

   。

(((ふ)))れる、(非―
在)の、貴女の、
愛おしい、《角》に、
。零れ、落ちて、しまう。
から、
((シ))の、階―きざはし―
に、あやうく、私は、
また、振り返る/
      /誰も、いない。


不在を訪ね歩いて

  空丸ゆらぎ

断片は…、瀬戸内海に浮かぶ島々。のどかな海原を余白に、漁師の衣食住を――労働を砂浜に託す。


不在をノックする。無言を聴き、沈黙を語る。3・14159265358979… 今日も改札口を往復したが、世界はいったい何が言いたいのだろう。
―― 見上げた途端、空は無口になる。


鳥の声で目覚める。時々、鮮度の良い朝を世界は私に届ける。昨夜の噂話さえさえずりに変換する。地下鉄。ポケットの小銭。無名。曖昧。輪郭。不確定。地図と時計。人工知能を搭載した案山子。光。風。水。土。無人駅。…


死は余韻を伴う。残影の行方は知らない。生が捜索を放棄しただけである。生きるとは剥がれていくことである。剥がれていった言葉は、誰かの心の軒下で雨宿りしている。無表情という原型のまま。


私は時々無題でありたい。死がそう望むから。名前は世界を分断するが、魂を区別する固有名詞はない。飛行機雲と死を混同することもない。黙って去っていく魂を棺に納め、私たちは再び空白に文字を埋めていくことしかできない。また、文字は空白を欲している。


Out of the Blue

  氷魚

あー、うん、だから、あーだこーだ、なんだかんだ言って、あたしら多面体なんだ、とうとさ束ねて立派でいるんだ、っていう妄想、に酔って、酔わされ、火傷したまんま、マゼンタの吐息を、心臓に滑らせて透き通った血管にトパーズを浸すんだっていう。臆病だし、別にいいやって、煙った青色にどこかしら大人びてる、多分生きてる、息してる、完全に青々だから、青々、あおあお、あお。

呼び鈴を鳴らして溶けだした利き手から、青空、手繰りよせて紡ぐのは、恋のようなもので、羨望に似ていて、波止場、時計塔、電信柱にふくろう、さえずるカナリアの夢を見ていたりする、どーしたってマゼンタなんだ、侵されちゃってあーいやだやだ、望み薄だって、抱えきれなくって、似てるね、どうも似てるね、って彼女、今日もマゼンタを着るからあたしは青空になりたいんだよ、

いっそ着床してくれよ、絶え間なく揺らぐ蒼糸、喉につまったささくれ、音符、あー溶けだそ溶けちゃお、半回転して、森に沈んで、種になって魚になって。爛れた金平糖の指先、淡雪に帰したアルバムの栞に青空を見るけど見えるのは埃やら結晶やらで、多分ひとしずくの何とも言えない心からの、つまりもうなんだっていいんだよ、何もかも有耶無耶にして、もうほとんど残ってない「あたし」詰めて、ほらもういっそ、なるようになれって君が言うから、蒼くって、やっぱマゼンタで、とめどなく流れてって、溶けだしてって、

探しているのは水色で囚われてるのはマゼンタで、マゼンタっていうのは君の叔母であたしの叔父で確かなお話で君とあたしの子どもなんだってこと。それはもう仕方がなくって、夜に満ちて、朝を枯らし、星を溺らす間のつかの間だってこと、そんな味付けなんだってこと。

ティースプーン1杯/君の脊髄

つれてって、遠く遠く烟るより、青と、届くようなマゼンタに、あーあと、ほうじ茶プラスとろろ昆布。


月精(あるいは湿原精)

  本田憲嵩

――逆さまに曝された流線型の細ながい肢体。澄んだ水面の白い後ろ影は揺れる。世
界でも有数の赤い夕陽は沈んだ。そののちに訪れる、この心地よい夜の冷ややかさ。
その臀部の心地よいなめらかさ。そよぐ枝葉のように質感のある濡れた黒髪にも、水
の星星は灯る。君という樹木の体幹。透明な空気はその間げきを穏やかに穏やかに吹
き抜けてゆく。
ただの一度としてついぞ開かれることのなかったとされている、その旧い水門、その
錆びた重い鉄扉がついに開くとき、うっとりと揺蕩うように誘いながら、蛇のように
くねりながら、蛇行する水の断面もまた、その月影宿した、球根型の見事な臀部に、
どこまでもどこまでも纏わりついてゆく。たびたびに飛び跳ねる水銀色の魚たち。躍
動する生命たちの煌き。あるいは月の欠片のような迸り。しだいに間断なく跳ねまわ
ってゆく――


そうして辿りつく。魚たちのオルガズムはついに頂点に達する。


その両生類のように暗く湿った彼女の狭い股間。黒い陰毛の換わりには粘性の暗い苔
がびっしりと其処に繁茂していて、むしろ彼女の夜の奥の奥、彼女の毛深い陰部その
ものであるものは、まさに此処、この黒い湿原そのものである。
不意に鈍行列車の汽笛が夜空たかく鳴りひびく。レールを滑ってゆく車輪の音と葉の
ざわめきが静かな伴奏のようにながくながく響きわたる。それを合図として、湿原の
咽せ返るような芳香は濃い霧と結晶して、銀に輝く月はその織りなされた神秘のヴェ
ールを棚引かせてゆく。


耳鳴りの羽音

  帆場 蔵人

こツン、と硝子戸がたたかれ
暗い部屋で生き返る
耳鳴りがしていた
からの一輪挿しは
からのままだ

幼い頃、祖父が置いていた養蜂箱に
耳をあてたことがある、蜂たちの
羽音は忘れたけれど、何かを探していた
耳鳴りは蜂たちの羽音と重なり
ひややかな硝子戸に耳をあてて

蜂になるんだ

やみに耳をあて、描く、やみの先、花は
開き、一夜にして花弁は風にすくわれる
蜂は旋回しながら、花たちに惑う
風はすくわない

どこ?

いつかの夜に咲いた
花の手触りは、あたたかで
一層、孤独をあぶり出し
甘い蜜はより甘く、焦げた
トーストみたいなぼくは
いつもそれを求めていた

蜂になりたい
なんのため?

こころから飛び出した手、だれかの
こころ、触れたい、花から花へと
いくら蜜を持ち帰っても触れられない
こころに触れたい、この硝子戸よりも
あたたかいのだろうか、甘い蜜よりも
苦いものに、このこころを浸したいと
思えたときにはもう遅かった

一輪挿しにはまぼろしですら
花は咲かない、からの磁器は耳を吸いつけ
羽音は吸い込まれ、耳鳴りだけが返される

蜂に……

朝の陽に焼かれて蜂は
ベランダで死んでいた
女王蜂がいない養蜂箱は
死んでいる、耳鳴りだけの部屋


光滲/Blau syndrome/

  kale

運行は拾い上げられて、星のかたちに遊んでいた、密航していく動物たちの、参列はにわかに滲む虹のひとつに、みつけて欲しくて探しあっていた、姉妹のようなブラウの群れに、踏み拉かれる光源に、押し入る彼らは光に紛れる、招かれざる客の手招きに、夜は隠されて、あらゆる光はゆりほどかれた、さあ急ごう、単調な音楽を、追いかけていく、遊びだよ、塞ぐように、いつまでも、交互に押さえて、帰り道、リュトムスの口許にアコードが、汚れる前に帰ろうよ、あちらこちらに隠された、眼差しは赫赫(アカアカ)と、密航者の面差しに幾度も障る、月は何処までもあかるく、窓から押し入り、瞑れていくのに、思い出せない後ろすがたを、いつまでいつまで、と、ブラウは光の深さに、(いきをうずめる、)



Noch ehe Gestirn naht
星月が互いに引き合うまえに

Ihr trautes Schwesterlein
誰かにとっての愛しい妹

schlummert wachenden Schlaf
夢のなかでみた夢の眠りに

Im Hause hat eine Uhr geschlagen...
広間の柱時計は鳴り響き…

Das Wort aus Osten zu uns
東の方から伝わった

Habe ich geschwiegen
言葉は私を沈黙させる


 


氷塊をみがいて流す

  トビラ

氷塊をみがいて流す
また
氷塊をみがいて流す
また
朝から夕までくりかえす

汚れる速度に追いつかないけど
氷塊をみがいて流す

手袋をしても
かじかむ手が
ふるえても
氷塊をみがいて流す

夜は朝
朝は夜

防寒服の下
ぽたぽた汗が落ちる

ゼリーのなかで
色づく花
りんごの匂いのする
その花びらは
噛むと少し苦い

答えを合わせたら
氷塊をみがいて流す

適切な朝を迎えられるように
氷塊をみがいて流す

汚れがあふれても
氷塊をみがいて流す

また
氷塊をみがいて流す
また
氷塊をみがいて流す
また


きみのやわらかな

  白犬

緩やかに溶ける場所で息を/白いベッドに身を投げて/世界を嘲笑う癖。

あたしの魂は吐き出される煙に入り交じり昏い空へ昇って行く。

冷たい温度で君を抱くとき 君の柔らかな心がそっと崩壊していくから

愛してあげるよ、愛してあげるよ、愛してあげるよ、と、耳に擦り込む

愛してあげるよ





.

.

.

昏がりの中では凡てが自由だから

肉が放つ芳香を嗅ぐ犬

あたしたちの断片を彼らは瞳に吸収し 抉り取り 持ち去っていく

良いんだよ、持って行きな

抉り取られる時 抉り取る、の

魂に刺す 染めるの、

それは等価だと「私は思ってるんだよ」



昏い天の中で、あたし達は自由

宇宙の黒に胎児のように 今 身を縮める 君を背中から抱き締め 絡める

夜の透き翅と白い羽根を隠しておこう

てん てん てん と

星々は燃えあがり

あたしは焼けていく

あたし達はくったりと

身を横たえて

スピーカーから流れる声

ねぇ 好きにして良いんだよ

文学極道

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