電車の中で本を読んでいた
次から次へと人が死んでゆく物語
恋人は僕の隣で眠っている
本の中ではもうほとんど誰も生きていない
海へ行くつもりはないけれど
この電車はきっと海へ行くのだろう
夕暮れが優しく恋人を照らす
髪が茶色くきれいにひかる
最後のページを読む前に本を閉じた
僕も目を閉じてすこし眠る
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そろそろ海へ着くだろうか
もしかしたら
恋人はもう死んでいるのかもしれない
僕はどうだろう
このままずっと
海に着かなければいいと思う
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選出作品
作品 - 20181029_317_10848p
- [佳] . - 泥棒 (2018-10)
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泥棒