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作品 - 20180917_392_10751p

  • [佳]   - kale  (2018-09)

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  kale

夜の裏がわに 棲む という
眠りをなくした 鼠たちは
蠅に群がり 少し
興奮している

水は
触れる前 わずかに
脹らむ
渦は 渦を手招きながら
水滴を求めて 更におおきく
樹(いつき)の夜に 齢を拡げる
輪郭を 確かめ合う
舌と舌
蝙蝠は月の在り処を 舌に尋ねる
数を数えて かたちを 忘れる
 ガラス製の コンパス の製図する
弧の両端に 打ち寄せる
風は はじまりも おわりも 風化させ
やがておおきな 螺旋を 騙り
夜空に雑ざり 滴下する
深水の底は ロゼット状に
 波打つ 疾走する
燎原を 往く
馬の背は 〓く 低い 

重いものから 捨てていく
水は 水に 触れていた
澱は白く 累々と
収束は散乱 に鎮む
その無秩 序な規則 の正しさに
静物は 夢
色彩だけの 夢をみる

羽根だった
白い趾(あしゆび)は 渡りの文化 を
わすれていく
そのやさしさで
水を掬う
ケラチン質の舌が 探る
梢の目指したその先に
蠅は軽さを求めて齢を拡げる
わすれる という
掬いの数だけ風を辿れば

翅だった
舌は舌に触れていた
貴腐化をわすれた
夢は水
始まりさえも 存在しない
水は 水に 触れる前
わずかに 少し
脹らむ

文学極道

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