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作品 - 20180910_136_10732p

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半端な歌

  氷魚


がらんどうの指先、ぱくり裂けた無花果の襞に、欠けた海月の膜の、ぷるん、とした溶けかけの部分、その影をマッチの火で灯す少年、可哀想だなと思いつつ、恋慕を抱いたようなそうでもないような気がしているのです。生きることすら億劫で、銀蠅の葡萄を口に含んだ黒髪の、いじらしさがこうべを垂れて、撫で肩に仄かな光を見たのち、てんでダメで負の遺産になるしかないのです。散り散りと、言葉が降ってきて、どうしようもなく、汗ばんだうなじと、腫れた瞼が「もういいかい」と言うので、私、てんでダメなんです。ぷくり、膨らんだ水蜜を啄んで、彼女が「ごきげんよう」と言うので、たまらなくって、「おやすみなさい」と返すも支離滅裂で、てんでダメだった、負の遺産になるしかなかった、という嘘を繰り返し繰り返し、して、もう一度もう一度して、私、子どもでいたいのね、サイノーない方が丁度いいね、なんて負け惜しみを、毎度するなら死んだらいいよ、君も私も。そうやって詩未満を大量に生産して気づいたら年老いて、色褪せたカーディガンが、女の子の特権になるんだって、怖いね。馬刺しはエロいものだって、みんな知ってるの、我慢してぎゅむぎゅむしてるの、不得手だって言い訳ばっかでまるでピクルスね、お先真っ暗じゃん、オタク、ああ、ダメダメ末期。宇宙人がムササビになって深夜徘徊するのを、特にマスコミは取り上げたりなんざしないけど、馬鹿っぽい方が丁度良くないですか、なんて言って、金平糖で虫歯が痛くって、別に痛くないような、苦しいだけなようなそんな。だから、てんでダメなんです、んで沈むんです、言葉にね、埋れて、本望だよきっとね、そう言いつつぷるんとした海月の膜の影に、あの少年がいるから、死ねないまんまマッチの火になりたかった、ああ、やっぱ、てんでダメだ、やっぱり馬刺しはエロいのね、もうやだ、ほんとバカで、死ぬかもしれない(嘘)、もー、ぎゅむぎゅむ。

文学極道

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