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作品 - 20180901_439_10702p

  • [佳]  あッ! - 田中恭平  (2018-09)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


あッ!

  田中恭平


朝が
朝帰りして
朝になった

俺のロード―の
半分は終わっている
汗している
血は
流れつづける
踵に痛みが
ズキン
ズキン
と響いて
この交響楽団は良い

サウンドトラックを
聞いている
寝室。
空に謝りたい感覚。
何を待っているの?
弥勒菩薩を。
大丈夫
生命線がけっこう長い
白い薬も飲んでいるし

許されない
体を酷使して
どこまで疲れられるのか
人体実験
瞼が震えている
地球も震えている
から
気にしない
というか
麻痺してしまって
細胞よ
いい方へいってくれ
ここちよい方へ
非生産的でいい
反生産的なのは駄目だ
幽霊になったことがある
俺だからいう
戻れなくなる
変質を用意に受け入れると
後悔する
涙流れる
新古今和歌集は
ミントの香りがする
風は涼し
障碍者手帳酷い証
ピッコロの練習がはじまりました
となりのマンションから
弾き語りビビったり
はじまらないな物語
あッ

と思ったら
飛散している
思考
脳が
分解されて
あッ

ヨダレ。
被爆の外を
走っている
一心不乱に
腐敗も
道の

気にせず
走っている。
俺は病者だ
病巣を掬って
食べている、
お前らと
いっしょなんだよ
洞窟に
病巣を
掬って
食べている。
フェードインする
ユニクロで
コンバースな

海の匂いがする
から
海が近い
んじゃなくて
きみが海だ
お前が海だ
見つけたぞ!
何が?
どれくらい酷いか!
あはははは
笑うな
はい
銃を
こめかみに
突きつけている
男が
世界の
極北にいる
イメージの
現実の
なかで
腰を下ろした
*どうしてもっと楽しく生きられないんだろう?
粉末をこよなく愛するフーリガン
とても遠くにいるリチャード・ブローティガン

TEL
もしもし
もしもし
聞こえてますか?
死後の世界に
僕らの声は
届いていますか?


血を
溶かす。
ホワイトチョコレートを
噛み砕いて
胃の中を
白くする
パサ
っと。
胃の
上部まで
痛みだしたら
病院に行こう
それまで


底煮え。
*詩は安定をもたらさない
書いても
書いても


響いてしまう
音響設備
耳に心地よい
ことしか書けないのか
お前は?
俺は?
俺の場合は
統合
する為に書いている
昨日を
未来を
今に
キャッチ
して
キーボードをぶったたく
キーボードは死ぬ
骨を叩く音が響く
嗚呼

*それは本物のおと


のらり
くらり
暗闇を
歩いてきた
誰にも理解されない浜辺で
ビニル傘が吹き飛んでいった


少し出た
今日は
よく眠れるだろうか
きみも
友人も
入れない
この
王室

俺は
ジャンキー物の王様
本物の粉は
持っていない
持っていないよ
二回言うと
本当は持っているように響く
この喉は
煙草で焼けている
のだ
のだ
嗚呼
、、、
俺は差し出すもの
価値をつけず与えるもの
名を恥じないもの
天を侮蔑したら
雨が降ってきた
きみがよわいときは
俺は呼ぶな、

また
きみを残念がらせる
言葉を語った
舌を
俺は
信じない
ただ
使われていれば
いいのだ
舌は。
鐘が鳴る
日本列島は
耳の形をしている
その中で
バラバラな
音の粒子だ
僕らは
競争も
平気面してやる
昔から
気になっていた
*なぜもっと愉楽できないのか



なぜか
夏の坂道を下る
自転車で、

イメージが
来た
拾い上げて
脳に嵌めてみたが
その熱さにこめかみを
火傷した
燃える十字架
人類最初のバイオテクノロジーは酒
ペスト
からくじが夜空にまかれ
俺の男根は
天狗に盗られそう
うう
腹が減った
うなるのだ
うねるのだ
苦行の果てに辿り着いた
いつもの部屋
何を
しているのだ俺は
きみの眼が欲しくなって
また何か忘れそうだよ
嗚呼
体に
平穏が訪れない
煙草を盗んで
(ないよ
 ないよ)
喫ってしまった罰だ
捨てても
捨てても
余計なものに
溢れた
部屋
そこで俺は
気分を害したまま

詩を書いている
痩せた体に
肥った霊魂が
書かせる
欠かせる
欠損させる
出たものを
俺はひとに捧ぐ
霊魂は痩せてゆく
この行為を
繰り返していけば
言葉の前に文化はない
俺はできるだけ読んだ
不純なものも
清潔なものも
好奇心で
ひとは死ねる

知った
寂しかった
家には誰もいない
マンネリズムで
死んだ家
まだマシさ
色んな家をみてきた
闇を暴露する活動をしてきた
ような気がする
あッ

耳鳴りがする
ヒー
ヒー

やはり
疲れているんだろう
だから語ってしまうんだろう
くりごと
ひとりごと
してしまうんだろう
ノートが
キャンパスノートが
余っている
いつもそこにある
それが俺を苛々させる
ゴーストノートを
追っている
ジャズを聴きながら
軽快な指使いで
放置していた
この詩のつづきを書く
ピラミッドは好きか?
俺は好きだ
ピラミッドの建設で
ひとは労働の
なんたるかを知った
のではないか

考えている
電話のベルが鳴る
はい
もしもし
父は今家におりません
失礼します
と電話をすると
なぜかくらくらした
血が足りないのか
血が余っているのか
わからない
近くの家の
葬式準備の夜
夜は怖ろしい
考える時間だからだ
嗜むものは断った
時間が永すぎる
眠剤でエスケープ
いつも
いつも
血ではなく
今日は
汗で書いている
楽しみは希少
退屈に身を委ねてしまった
ルーティンだと思っていた
マンネリだった
文章はhighにさせてくれない
文章は、
鎮静化させる
獰猛な動物でないと
俺は否定できる
物を書いているから
物を書きすぎているような気もするが


悪くなってしまって
必死で小さな文字の
「地獄の季節」を読んだ
なかなか好みだったが
悪徳に足らないような気もした
後半に美しい詩が一編出てくるところなんて
ちょっと笑っちゃった
はは
お前はもう
語るんじゃないよ

語っている
ひとりごとは
ノイローゼに良いらしい
俺は妄想する
統合失調症がなくなった俺を
ニコチンが抜けきった俺を
下らない買い物を
しない俺を
神は死んだ
として
長い
長い葬儀だ
埋葬だ
お赤飯を炊く
風呂をピカピカにする
時間が過ぎ去ってゆく
今さえ過去に過ぎない
みんな思い出だ
思い出のなかで息をしている
動悸がする
まだ
「疲れ」

とれていないのかな
普段は避けている音楽も聞ける
おかしなことに気づく
今日も自分という謎にぶつかった
肩が当たって
謎はポケットからペンを落としたよ
そのペンで
俺は物を書く
爽やかな風がぶわっと吹く
紙がばさばさと飛んでゆく
部屋中紙まみれさ
気にするな!
ここはまだ峠ではない!

疲れた体は
もう駄目なのに
・・・
・・・
水は冷たく呼吸していて
「はあ」

溜息をついて安心した
水で
手を
丁寧
洗い
ノートパソコンを開いた
老いが病なら
皆病人なわけで
その治療法は
自殺しかないと
どこかで読んだことが
まだ
頭の片隅で響いて
天体に願いを
太陽に讃美を
素直に贈れずとも
そして
ライフラインに感謝を
俺は冷えた部屋にいて
きみの返信を待っている
あッ

もうすべては
書き届いてしまった
シンプルにした思考の
すべて

書きつけてしまった
絶命
詩の
絶命
南無妙法蓮華経
母は
近所の葬式に
かかりっぱなし
俺は部屋に
ひきこもりっぱなし
聞いた危険な話
煙草は脳に悪いんだってさ
他者暗示も悪い方へいって
本当に脳に悪いと思えてくる
から
疑いをもって生活に
取り組まなければならない
俺はよわきさ
円環する塔を
三歩昇って二歩下がる
臆病なのさ
それにおだてに弱い
いつも体調が悪い
へへ
笑っちゃった
もうこの詩の構成とか
どうでもいい
この飛行機は飛ばない
飛んで
必ず落下するだろう
というか
落下しているんだ
終わりの気分が大好きで

身もこころも快楽に捧ぐ
ギリギリ
死は避けられている
時間の問題さ
きみとか
大切なものと
快楽
どちらを優先すべきか
嗚呼
脳が冷える
カッチンコッチン
ニコチンに浸った脳が
カッチンコッチン
ひゅー
ドカン!
今2900文字書いた
目的の
3000字を前に
詩は
飛行機は
墜落してしまった
痩せた体の
肥えた魂
八月の
*意味深長な郊外の雨の夜!
不出来さ
夢を観ているみたいに

書いても
書いても
発話の不自由性にやられてしまう
でも
練習しているんだ
自由に飛べるように
何より次の飛行機が
落下しないように
くりごと
ひとりごと
以外は
寡黙な実験はつづくのだ
俺はしつこいよ
悪徳に関しても
徹底的だよ
良くも悪くもあるよ
大体が駄目だよ
勝手に書いてることで
劣等感は抱かないよ
燃焼してゆく
飛行機
エネルギー
諦めないよ
きみを刺激したいよ
気づいたら、
俺の痛みはもうないよ

嗚呼

終わりの気分が大好きで
それが劣等感の原因なのだが
蜜柑を頭の上に置いて
真剣な話し合いに参加している
ようなものさ
デ・ジャヴ
俺は思い出のなかに生きている
息をしている
タールのない
加熱式煙草を喫っている

雨だ
狐の嫁入りだ
うつくしい日本語
使う
欲を抑えた人々
俺のように
快楽を第一に置かない
ひとびと
眩しいよ
眩しいから
断食でも
それは文献に則り
してみようかと思う
休日には
嗚呼
すべての生命が
弥勒(救世主)でなければならない!



 

文学極道

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