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作品 - 20180409_381_10369p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


モーニングスター

  


誰もいない食卓につくと
清潔な白磁の器には
電子パーツが盛られている
潮の香りがする朝刊を開けば
たちまち燃えあがって戦争がはじまる

言い訳を舌先で転がしていると
プチッと潰れて意味が溢れる
本来なら生きるという行為は
省略も延長も許されていない
本当のイコールなんて
滅多にあるもんじゃないし
そこにたどり着けたとしても
今さら埋葬された靴たちが
再び歩きはじめるわけでもない

「彼女」がリボンを振るたびに
警告音と共に世界がジャムる
鯨のヒゲで稼働する案山子が
クラウドバスターを空に向けると
スポイトの一滴から始まる連鎖反応が
僕たちを背中から手遅れにしていく
(だから鏡の中で振り向いた猫は
 殺したはずの女の目をしている)

だいじょうぶ、
だいじょうぶ、

「彼女」が母親の声で囁くから
空の半分はママレード色で
まがいものの安心が満ちている
みんなも残り半分から目をそらし
だいじょうぶ、
だいじょうぶ、

笑顔で傾いている

なんて素敵な一日の始まり
なんて言葉を彼らは吐き出す
子どもたちはいまだに
廃園のあちらこちらで
パチパチと音を立てて
燃え続けているというのに

文学極道

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