針金の母の底、逆しまに
しずめる太陽を摘まむピンセットの先
時制を反転した記憶に凍てつき、染まる
その色は、(((Echo-Noise)))
掻き消された、音のなぞる形も
きっと、無かったことには出来ないの
と
二十数年後、レストランの窓際の席で
あなたは逆光に塗りつぶされて、黒く
何でもないように笑う。卓上、
置かれた一枚の写真に、私の
見えない兄弟、あるいは姉妹が
沈黙している。退屈な笑顔を浮かべ
整列する私と家族の背景の庭に
しずかな重力を加え、歪む、
その形は、(((Echo-Noise)))
視力が落ちて、滲む景色の
溶けかけた輪郭をなぞるように歩く
「その時間が、慰めでした」
針を飲み下すような顔で笑う、私を
曖昧な消失点の彼方で、じっと見つめる
(((Echo-Noise))),うらめしいかい?
背中を丸めた私ですらも、
「どうしておまえなんだ」って。
最新情報
選出作品
作品 - 20180319_827_10326p
- [優] (((Echo-Noise))) - NORANEKO (2018-03)
* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。
(((Echo-Noise)))
NORANEKO