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作品 - 20180301_137_10277p

  • [優]  sukuware - 田中恭平  (2018-03)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


sukuware

  田中恭平



日常、

不在性を
置いて
皿の上
春の雨がふりしきり、跳ねる
私はそれを
視ていなかった
聞いてもいなかった
ただ
とおくある
あなたの声を
聞いていた、
霊性が踊る、
よじれる
笑う
途端
トタン屋根に打つ雨の音が
近づいて
視れば竹たちは元気です

いって
この語り部を
信用してはならない、
大分
弱っちまっているからさ、
ノイズ
の所為で
頭を
掘った穴の中に(ほんとうに?)
入れたいくらいなのさ(やれやれ)
かよわい動悸で
火にゆるされる
その火は
鬼火だった
その夜に
救出されて
川辺はきれい
輝いていたから
ふるえて
たゆまぬ努力も(ほんとうに?)
無駄ではなかったが(していたの?)
救われて
それに酔うということはできない
それはゆるされてない
ただあなたの笑顔が
ズームに記憶され
くりくりの眼が
うれしかった、
ので
喪服のサイズを確認し
目にとめたボタン
銀のボタン
ではないが
においを
喪服の匂いを嗅ぐと
落ち着きます
も、
濡れて
漂着していた
カムパネルラ
じゃないけれど
さよならも言わずに
猶予だけ
与えて下さって有難かった
雨は更に
近づいて
溜息は
壁の隙間に入り
もう出てくることは
ありません
いつまでも
平穏無事ではいられない
だって
力が
尽きていくから、
カラーフィルムの
世界を丹念切ってゆくと
母が
居た
それは欲しいものだったので
ポケットへ入れて
三日の内三日寝る
起きると
まだ雨が降っていた

文学極道

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