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作品 - 20180217_688_10260p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


家族八景

  紅茶猫

ゴミを
投げ捨てるように
言葉を
吐き捨てていった少女
屑篭の無い家では
今日も食卓に
ゴミを並べます
さあ、
いただきます
ごちそうさま

 「屑篭の無い家」


現代詩が鳴ったので
現代詩を止めて
現代詩な時間に起きた。
今朝は
現代詩にハムとチーズを
挟んで食べた。
定刻通りに
現代詩に行くために
現代詩を待って
現代詩に乗った。
現代詩の車内は
現代詩で
大変混み合っていた。

  「#現代詩」


君の気配が僕の街から
消えて
10日目の冬
この地上は
いつもどこかが楽園で
いつもどこかが地獄だって
そう導きながら
遅れて来た明日を
懸命に失踪していた。

   「冬に」


また一つ椅子が減っていく
団欒を囲んだテーブルの
椅子が減っていく
小さな家が
深呼吸した気がしたから
私も一つ
深く
深呼吸した。

    「巣立ち」


ふとした瞬間に
思うことだと
酩酊する言葉に
明滅する言葉に

「さようならは鮮やかに」


上っても
上っても
上らない階段の
中程で
ぼんやり風を眺めていたら
青い空を
魚が跳ねた

  「強風ハローワーク」


根こそぎ
自分を引き抜くように
家を出る時は

   「東京スカパラ」


小高い丘に
一人登りて
帽子深く被れば
星の匂いしている

  「星帽子」

文学極道

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