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作品 - 20180202_192_10221p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


カラスがコケコッコと鳴いたから

  白梅 弥子

カラスがコケコッコと鳴いたから
僕は時間の狭間へ落ちていく
デメキンがおよぐ深い星空には
控えめな太陽が光っている

ぬるりとデメキンの背ビレが頬を撫ぜる
その気持ち悪さに吐き気はしない
僕は狭間の中で星空を眺めながら
思考の果てにも落ちていく

ぶん殴ってから絶交したあいつは元気だろうか
あの娘に言った言葉は間違いだった
お母さんにもっと優しくしてあげればよかった
もっと勉強すればよかった

ああもうやめてよデメキン、僕は考えてるんだ
何がいけなかったんだ
やめろよデメキン、胸ビレで慰めるな
このまま落ちていけたらどんなに……

何がいけなかったんだ

元はと言えばあいつがいけなかったんだ
あの娘だってそんなに可愛くなかった
お母さんにはできる限り優しくしてあげていたはずだ
それなりの大学にだって行ったじゃないか

やめろよデメキン、尾ヒレで叩くな
僕をこんなにしたのは誰だよ

何がいけなかったんだ
こんなこと考えてしまう僕が嫌いだ
このまま落ちていけたらどんなにいいかと考えてしまう僕なんて要らない

そうだきっと
元はと言えばカラスがコケコッコと鳴いたからいけなかったんだ

カラスをぶん殴った

僕は学生になって、目の前にはあいつがいた

文学極道

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