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作品 - 20180201_125_10215p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


吐息に赤が混じって終わった

  田中恭平

 
雨がひどいね
置いて帰るね

酷さの中を
歩いていた

口の中が渇いて
才能の枯渇は目に見えていた
元々
そんなもの
無かったのかも知れないのにね

見たことがない
植物を捜して
あたたかい
あたたかい地へ
行った日もあったが
結局は焼け爛れた
腹の底から
血を吐くに帰し
にやにや笑って終わります
今日という日も徒労に終わる
物が腐った匂いがする
冷凍と
冷蔵を
間違えてしまえば

置いたのは心臓
山羊の頭蓋
歌が聞こえます
聞きたい
歌が聞こえますか?
装填して
裸の
下半身は
雨に濡れています

という
想像、

どういうことか
休めということか
昨日は休みすぎた
一昨日は歌いすぎて酔っぱらっちまった
前頭葉、

損傷しているかも知れないと
己に知らされて六年
筆を休めたことがないことを
密かな誇りにしています
(ほんとだよ)

こんなことは言いたくなかった
こんなことは書きたくなかった
雪がふって
楽しいだなんて
生活主義者として
言いたくはなかった
雪をのぞんでいることさえ
この谷では罪になるのか

おもうと


断固真実の言葉を書け
俺の財布を盗ったのはどこのどいつだ
呪い
なぜ俺が汚くなっていかなくちゃいけないんだ
いいや愛している
みんな愛してる
ほんとだよ
ほんとだよ

あったかい月
眠るに勝る楽はないこと
皿に、雨
本当に参ったことがあったとして
その原因は捨て去った
たださびしいこころがあるだけだ
花の名前を一つ覚えた
嗚呼、血を吐くようにうつくしい
でも、花は強い
わたくしは弱い

手紙を下さい
この孤独なわたくしに
あなたの言葉をください
簡単な言葉の方が届くとして
ただ愛してるみんな愛してると大書して下さい
馬鹿者よ
と書いて下さい

僕はボクサーパンツ一枚で震えている

最近は
文字だってうるさくなっている
血を吐けば
血を吐けば
血を吐けば
忘れている
また読んでしまう
余りにとおくへ
それはあなたの近くへ
来たものだが
今日は帰ってきた
雨の中を
雨の中を
僕はボクサーパンツ一枚で震えている

 

文学極道

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