帰らなくとも
家はいつまでも家
冬至が過ぎて
まだながく続く冬の
片手をそっと引いた
町がひかりを区切り
高いところで
飛行機がちいさく移動していく
冬の空は色が薄いので
はさみで切った紙のかけらが
はりついていてもわからない
ね
わたしたちはそのまま
落下していく夜の水辺に星は
かがやきやがてすべてはがれおちて
しかたがない と
口に出して
名残の日々がいちめんに満ち
作業だけがかたちをのこす
あまりにも暗い
朝のなかもはや知らない
風景のなか
わたしたちはいつでも
学ばない水位のあがった川の
したいきたえたひとたちによびかける
冬のきまりにしたがい
枝と葉は別れをいいかわす
最新情報
選出作品
作品 - 20171230_346_10133p
- [優] 挽歌 - 軽谷佑子 (2017-12)
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挽歌
軽谷佑子