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作品 - 20171218_067_10103p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


やがてかなしき病かな

  芦野 夕狩

生きることは苦痛ですらなく
秒針のひとつひとつの歩みを数えることで
風はほとんど意味もなく透きとおってしまうのですよ

このアスファルトに雪が積もるためには
地熱で溶けてしまう雪よりも
新たに積もりゆく雪が多くなければならない
誰かがもう名づけたのかしら
雪が積もりだすそのとき
その瞬間の雪の深さを

肺の中に一秒一秒を感じるのです
その一粒一粒を吐き出すたびに
生気を失った時間が
きっと赤紫色をした病の水に
だんだんと浸されていく

だからそのひとつひとつが
ただ無抵抗に溶けていかないで
仮に意味として降り積もることができるのなら
その最小単位の生を
紙一重の深さでいいから
あなたに残ることができるのなら

夕べ
時計の止まる音を聞いた
壊れた、とか
落とした、とかじゃないから
誰も信じてくれないかもしれないけれど
確かに聞こえた

文学極道

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