アスファルトのうえに芽吹けなかったものがひずむ 静寂を描きかけて
やめて熱量がたちのぼった瞬間。目に映るものの すべてに記されたの
が記号でなく水彩画でよかったね 泣いてもにじまないアイラインなん
て風情がないけれど きみが きみ自身が滲んでも滲まなくても 叫ん
だことのある人の顔だからね
流さないでいい想像の中での血は、現れるまで 流れ着くところをえら
ばない 昇華されなかった思いがすべて そこで 透き通って 少女が
踊るのであなたかどうかわからないけれど きれいなひとが 溢れた世
の中でよかった。
そこまで及ばない馳せられた思いも、彼女の嗜好がなんだったのかに変
換され雑誌に書かれていて/
抱え込むようなかっこうで街を歩く 雛鳥をからだ
のなかに 放した 腕の動きがどんなにたどたどしくても、消耗していく
温度を、右手から左手へ 広げながら 深くお辞儀した 骨が見えて
もう雛ではなかったんだ
鋭い目つきでわかった 閉じ込められたこの気持ち ねえわたしが き
れいでいることとなんの関係があるのかしら 路上の測量の読みにくい
文字があらわせた 踏みつけて そういう形になった そんなつもりは
、なかったんだよ 綺麗な少女のふくらはぎが世界を描こうとしている
じゃないか 二つに一つをえらべない時に てのひらに 在ったがもう
すでにないものを、泣き腫らすほどにそう。声にならなかった凝縮され
たものが胸に 垂れていくほどに あたまのなかは重みがかたよったま
ま満ち足りていく
二つの脚に。宿るあたたかさは、交差することを。赦された 偶然だか
らわたしのなかから排除したのは あなたでしかできなかったことなの
に 生きていることを許されたような透明な血液が、透き通ったんだ
そこまでひどく人見知りをする 反面 歪むかもしれないけれど、握り
しめました わたしのものでなかった
あなたの手でした
かなうかわからないことだらけで信じられなくて 滴りに消滅する生
命の。かけがえのない。筋肉の層は、厚くなるだろう、その消えかかっ
た跡のうえを、歩みます。
そこにいるだけです。なんにも 言わないでさ 重い教科書持ちきれないでいる
持たされて まだ憶えていないことだらけが記されている その重さに耐えて 歩むのがやっとでした
最新情報
選出作品
作品 - 20171216_023_10099p
- [優] ひずむ音になれなくて ゆがまなかった - 村田麻衣子 (2017-12)
* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。
ひずむ音になれなくて ゆがまなかった
村田麻衣子