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作品 - 20171209_934_10085p

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十二月

  maracas


駅にある店で、一万円札を両替してもらおうとすると、おじさん店員にブチ切れられた。ガムを一つ買って一万円札を崩そうとすると、おじさん店員はさらにブチ切れた。おじさん店員は私の一万円札を精算台に叩きつけたあと奥へ行き、しばらくして戻ってきて、ガムと九千五百円を叩きつけた。ガムと九千五百円は地面に散乱し、私は周りの人々の注目をあつめながらそれらを拾った。

帰る方法がなくなったと思った。気を落ち着かせるために、一駅分歩いた。知らない土地だったが、線路に沿って歩いていれば着くだろうと思った。途中、広くて平らな砂場があり、なにかのイベントをやっているのか人がたくさんいたので、近づいてみた。人々は、砂場に描かれた幾何学模様の線の上を、歩いている。線はかき消されるが、ふたたび自然に浮かびあがってくるようだ。人々は線の上を歩き、どこかへ消え、どこからか現れるのを繰り返していた。私ははじめ不安に思ったが、知らず知らずのうちに、歩きだした。

日は暮れはじめた。次の駅、次の駅と、歩き続けた。あたりが真っ暗になると、初動受胎、初動受胎と言う声が聞こえてきた。聞き慣れない言葉に戸惑いながらも、歩くしかなかったので、歩き続けた。

文学極道

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