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作品 - 20171201_681_10059p

  • [優]   - 深尾貞一郎  (2017-12)

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  深尾貞一郎

異教徒の女から、
火葬場の右手のちいさな汗だまりは
汗の滴はつっと、
散って
わたしの左目にはいったとき、
目から
骨の各部のあじを薄く云う。

わたしは
あのひとの笑みをうかべて、
むぞうさに
数日まえに足のうらにはられた
ひふのなかの瞳たちと、
ち、ち、 ちち、ち、 ち、ちちちち、と。

タールをぬる
ふたつの蝶のなまぐさく、
下駄箱の蛇のように恥じた
リチウムイオンで、
いつも白い肌をおおうハツカネズミ
は頭のなか
いっぱいに拡がり、
すこし傾ける
と産まれてすぐの
雨に濡れない手をすりつぶし、
ほんの
煎餅のように小指を噛み。

運動靴のなかに
雨に手掴みにして、胸のなか
にできていたものを、
踏みつぶしてしまった。
生身のそしきだったものをぱりぱり
と割り、
そこに
入れた。

文学極道

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