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作品 - 20171011_539_9956p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


ありがとう、ごめんなさい、許してください、愛してます

  

昨夜は鮫と眠りました。
愛で小銭を貢いだ話を聞いてください。
思い出です、交差点に折り重なるアルバムです。
めくると沸騰します。温泉のような、
湯煙はため息です。声を求めて旅に出ます。
まどろみは、緩やかなカーブで、
哀しみは硬水のように隆起していました。
枯葉の船に乗せた宝物は、
海の骸になりました。深く沈んだ遺言です。
私の遺体を十字架に磔。ください。
ヒノキ、香木が良い。
焼香を終えた後、参列者は磔の私とハグをするようにお願いします。
これを「ハグ葬」と名付けます。
中には拒否する人もおられるだろうから、
私と二人きりになれるよう、個室で行うようにお願いします。
それでも、拒絶する方がおられれば、
「後になるほど、ハグで遺体が崩れてゆく。」
お伝えください。
それは、まるでプラネタリウム葬です。
私をプラネタリウムの天井から吊るし、
空中ブランコのように宙を舞い、
大きく弧を描き、揺れる星空から、
舞い降りてくる私を受けとめ、
そして、
ギュッと抱きしめてください。
私は大勢の、一人一人の方々に、
抱きしめていただき、
喜びでボロボロになっているのです。
ボロボロになった身体は、
グズグズになるまで、
その場で煮込み、
最後は、
私をスープにして飲んでください。
砂漠の赤い月のしたで、
深海魚に片足を食われています。
痛いより重い、
お母さん、こんなに敷居が高いとは、
始めて気がつきました。
見えないから形を知る。
見えないから、
見えていないのではなかった。
見えていないことは、
見えていることを離れられないだけだった。
墓地に座って薄暗く脅えている。
もう、どうしようもない。
山も、木も、獣も、この墓標も、
私が作リ出した、
消しゴムで消せる現象でした。
これから、
愛と書いて消せないならば、
海を削り、
メモ帳へ投身します。
消しゴムで消せない名前、
私を受けとめた人達の胸の内へ。

文学極道

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