怖気づいた僕は呼ぶ、
お父さん、おとうさん!
ぬかるみはうつくしい蓮の華を咲かせた、
夏も終わり
終わったんだよ
恋焦がれている、オン・ザ・道路
説明書を読まなかったのかい
説明書は読めなかった、
日本語って難しくて
ぬかるみだろ、
ザクザクと裂かれて落ちる新聞紙
自由、
より甘い言葉知らないよ
この世、はあの世
否、
あの世でこの世は地獄だったって気づくのかなあ、
一切皆苦、瞑想のようにギターを撫でて、
ギターの愛液に蜂が寄ってきます
秋の蜂が寄ってきて、
その眼のなかに
すすきっぱらと秋津蜻蛉の群れが飛んでる。
僕はピーッとハーモニカの高い音を出す、
夕暮れ、
青春の終わり、
どこまで走れば。どこまで走れば人に会える?
いい人に、良い人に会いたい。
水晶世界の洞くつで死んだように眠る、
毎朝毎朝、夢をたべて生きる、
書けるよ、読めるよ
ともだちできるよ
人生変わるよ
ハハッ、すくいの言葉は苦行の顔を連れて
あお鯖のようにそれは煙ったい、
くすぐったい。
さやさやしているから、すやすやしているから
落葉のなかに宝物を隠してあります
それは死です
おとうさん、おとうさん!
詩ではありません、と忠告する詩人
飽和する粘菌、すすき野原に雪の気配、
お祭りがあります、
僕は労働しているのでいけませんから
人生をお祭りにするばかりです。
仮装しても
制服を着ても
正しい自分にかえるだけ、
だからといって裸になると捕まりますので、
川魚を釣って満足するのです、
電子タバコを吸って
満足するのです、
できっこないけれど、だからああ苛々する
あそこの樹に苛々する、
人間に苛々する、
自分に苛々して、
日々に苛々して、朽ちるときとても後悔しそうなので
寝室をきれいにして
キース・ジャレットを流して
一抹、
一抹の安心を中くらいまで大きくして、
鏡の向こうの鏡
出られそうか、
生きることが難しくって、
息ができれば奇跡だぜ──ボブ・ディラン
ヒートしていく自画像、凍傷で、
黒い色をぶちまけろ
夜の花より黒く!
一匹の蚊への謀殺が人生にオイルを塗ってしまう、
もがく!
ぬかるみ
信仰していますか、あなたは信仰していますか
行と信ならばどちらの座敷に座りますか、
このフェーズで
生きているだけでいいという境地に僕はいますが?
最新情報
選出作品
作品 - 20171009_480_9943p
- [佳] #10(キープ・ザ・ローリン) - 田中恭平 (2017-10)
* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。
#10(キープ・ザ・ローリン)
田中恭平