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作品 - 20170902_997_9879p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


ドイツ・イデオロギー

  

(詩人を拗らせると本当に厄介だね)

今年も夏の終わりと共に
夥しい数の天使の死骸が
色褪せた砂浜へ打ちあげられる
天使なので腐敗することはなく
少しずつ結晶化していくばかり
彼らの心臓はとても繊細で
細い管を挿して息を吹き込めば
びいどろのように寂しい音をたてる

 詩人になりたいなー
 なれないならニートでいいや
 自作の詩をYouTubeで朗読して
 食べていけたら最高なんだけどな
 ブコフのバイトも続かなかったし
 俺って本当にクズだよね
 死んだら地獄確定
 まー、どうせガキの頃から
 神様とは相性悪かったしー(鼻ほじ

(天使の魂を持つ子どもたちは)
(その清らかさゆえ)
(世界の密度に耐えきれず)
(再び天に還っていくのだ)
(遠眼鏡を逆さまにして)
(見つめる世界には音がない)

残暑が厳しい路上には
ころころ転がる蝉の死骸
魂の重さを差し引いても
あまりにも悲しいその軽さ
神様なんて人間の裏返し
それなら天使たちの瞳に
映っているのは何者か

 魔女が馬鹿笑いしながら
 山を駆け下りてきやがった
 頭が痛くて自殺してぇw
 ムカつくから親から盗んだ金で
 朝からファミレスでビールを呷り
 ソーセージを切り刻んで貪り食う
 きっと二時間後には全部吐いてる
 やっぱ無理だわこの人生ww
 何もかもが絶望的に遠すぎるwww

(仔牛とパセリのソーセージ)
(とても美味しいのだが)
(すぐに痛んでしまう)
(ところでそのソーセージ)
(本当に仔牛の肉なの?)

たいていの青春において
疾風怒濤の時代は短い
あらゆる座標での闘争に敗れ
消えていく無名の戦士たち
今日もまた夜が更ければ
どこかで一つの歌が終わる
新たに結晶化する天使
新たに転がる蝉の死骸
新たに切り刻まれるソーセージ
柳の木から落ちて死んだ
狂気の女を真似て漂う
哀れハンスの川流れ

文学極道

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