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作品 - 20170812_545_9845p

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(遊泳の為の)リハビリ

  田中恭平

 
熱っぽい体、──煙草止めたんだ、
何も想起されて現れない空を飛んでいる、
自由は寂しさに似て。

クーラーの螺子が
水を発し、
ギュルギュル回転する音。
 ブロウ、するマイルス。

私は濡れていて一人だ。

分解できるくらい一人だ。

湖水。
カワセミの白と青が反転する。
湖水は空だった。
私が倒立していたから。

樹をよりどころとして
よりどころは樹しかなかった、
嗚呼、父なる樹よ
呼んでも黙し
揺れているだけの樹よ
枯れる樹の
枯れる前の樹よ。
母はこわいと言っていた。
だから地面が心臓を握りつぶした。

私は
電話の向こうのあなたがこわかった。
──うん、煙草止めたんだ、

冷夏じみた午後に、
「枯葉」が鳴っている、
僕は中空で眠らされている水か
脚がムズムズする、
足らない鉄分

欠損は世界の至るところにあり光っている。

きれい。

八月の郊外の夜
マンションの廊下、
また蝉が死んで落ちていた

 

文学極道

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