焼菓子割れの影に、硝子の落ちる声を利用し、幼女達は横目で示し合わす。
靴形滑り台に、肋骨作りの硬い鞦韆、牛肉色の鎖から垂れた振子家の中では一種類の四人家族
が長方形の食卓を囲み、あらゆる、過去形を喰らう。四人は複製画みたく同じ顔をし、〓でありながら口だけを静かに動かし合う。
部屋の隅には古い銅製枠の鏡台がありそこに示し合わす幼女らが写り込む。
「あれは常芝居だよ」
一人が言う
「余りが居るみたいね」
一人が言う
食卓から少し離れたところに、四人とは顔の違う女が生えている。
片側の眉は剃り落とされ、外斜視、髪を後ろで一つにまとめ、大袈裟に何度も唾液を飲み込む女は鏡台の、可動式の鏡を何度も動かし、小さな窓から差し込む光を反射させ示し合わす少女達に当てへらへらする。
女はその差し込む光の正体を知らない。
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作品 - 20170807_351_9832p
- [佳] 公園 - 北岡 俊 (2017-08)
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公園
北岡 俊