ぼくは犬のかわりに扇風機を飼っている
ハチと名づけた
家のなかで動くのはハチだけである
いま
ハチは雷が鳴り始めたベランダで首を振っている
頼もしい
ハチに怖いものはない
ある日
ぼくは死んだ
ハチはそんなことを知らない
ベランダで首を振り続けている
嗚呼 忠犬ハチ
扇風機だって犬だ
愛があってなんの不思議があろう
ましてその扇風機が
わたしであったとしても
なんの不思議もない
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選出作品
作品 - 20170711_985_9758p
- [佳] あとがき - 阿怪 (2017-07)
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あとがき
阿怪