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作品 - 20170701_310_9717p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


Grimm the Grocer (back to back)

  アルフ・O


「足りないわね。
「ええ、勿論、
「全く舐められたものよね、
 あたしたちも。

紙袋を抱えて
いつものごとく並ぶ、
マンドリン、クローバー、その他諸々が
きゃあきゃあと折り重なりながら
足元を縦横無尽に駆け抜ける
、14時

「舌に合わないとまでは云わないけどさぁ。
「コームいつの間に変えたの、
「え、それくらい許してよ、
「暑いわね。
「みんな持ってるよね、そのラメ入りの雫、
「貴女も似合うんじゃない、
 白くて消えそうな身体だから、ぴったり。
「―――ばか、

口癖は、当然
彼らの意識には、残りもしない
いよいよ母胎の中で
ゆるやかに発酵してゆくだけ、
(でも
 人待ちに見えたらしいわよ、って、
 うそぶかれる。
まだ新しい内腿の噛み痕に
つと身体を震わせ、記憶が明滅する、


「どうしても好みのミュールが見つからなくて。
「おかえりなさい、
「背の高い花は、今日までだったよね。
「水のような開放弦のファズ。
「この石鹸ロシア生まれだって。
「とんだ時間泥棒ね、
「メイクまで面倒見てあげるわ、
「今、虹を吊るしたところ。

それはあまねく、

「深海を漂流する、
「露の匂い。
「イメージは緑。
「シャンプーくらい置いてればいいのに、
「あとレンズ豆ね。
「土に還る植木鉢も欲しいな、
「見抜ける?あたしの思想、
「はぁい、ご給仕いたしまぁす。
「甘いのと、冷たいの、みっつずつ。
「人魚の鱗入りで。
「エスコートお願いね。
「膚の下へ、と、潜る光を見つけて。
「そうね、
 貴女だから心配はしてないけど、
 待ってるって伝わるよう、祈ってるから。
「またのお越しお待ちしてまぁす、

それはあまねく、
夢も現も、枷と糧。

「せっかく材料全部用意したのにね。
「頼む相手盛大に間違えたのよ、
 見破れなかったあたしたちも悪い、
「ねぇ、そんなに感傷っぽかったかしら、
「あの厨房じゃそうなるでしょ。どうしたって、
「あーあ。結局ぜーんぶ、バクテリアの世界。
「それにさ、空調ゆるくなかった?
「せめて今度の雨は砂糖少なめがいいなぁ。
「予報外れてばかりだものね、

少しだけ、脱落したことを
気にも留めずに
荷は詰め替えられてゆく

故に、
故にそれはまた、
何処かで人知れず翻っている、
貴女の唄に帰結してゆくのでしょう。
こうしている間にも
ラクレットのごとく削られて
絶えず意図せぬ地平へ堕ちまいと、
抗っているのは、
もうどうしようもなくて、
ただ、

「さよなら、ね。
「あたしたちこんなだから、
「飛沫のせいで脚見えないね、
「別に消える気はないけど。
「でも、本当に、あと少しでいいの。
「魔法と疑わずに済むのなら。
「だから、薬屋さんによろしくね、
「きっとお互い、いなくて困ると思うわ、
 これからずっと、

文学極道

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