#目次

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アルフ・O

選出作品 (投稿日時順 / 全54作)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


乾坤一擲

  アルフ・O

街中を
チェーンソウが走る
なだらかな坂を
転げまわるように走る
オイルの残量を
少しだけ気にしながら
身に纏いつくもの
全て切らんばかりに走る

夕刻
知ってるだけの土地を
網羅し終わると
チェーンソウは
乾坤一擲とばかり
茜空へ向けて
跳びあがった
空を切る音は
半径十キロまで響き渡り
あるアパートの住人が
意思表示として
掌ほどの石を投げつけ
それがまた
見事に命中したものだから
チェーンソウは
オイルをまき散らしながら
弧を描いて
落ちていった

ちょうど誰もいない
疏水沿いの植え込みに
チェーンソウは
深く突き刺さった
どう足掻いても抜けないほど
激しい速さだったので
結局それが彼の
墓標となったのです


百合 #7.1

  アルフ・O

「予報は。
「雨のち晴れ。
「のち曇り。
「ついでに雪。
「また咲けないね、
「茎も葉もそろそろ限界、
「誰も来ないし。
「時折鷹と鳩が来るけど。
「ついばんでもらいなよ、
「やぁよ。
「雲に触れそう、
「水脈に届きそう、
「諦め悪いね。
「他人事、お互い様。


log

  アルフ・O

(彼は
 いつも
 こんなふうに、
 細胞一個 残さず
 つらつらと
 なぞる
 染み付いた痣を
 全部溶かして
 消そうとする

浴室の雨、42℃
叩きつけた唄と除光液


粗末なプロペラ

  アルフ・O

プロペラは自作の
とても粗末なものだったので
すぐに壊れました
あいつらに砂を噛ませることが
僕の願いだったので
むしろ喜ばしいことでした

これから幾度となく
罵声を浴びせられるでしょうが
僕はその真ん中を突っ切って
駅へ向かうでしょう
そしてホームからするりと降りて
線路の中をずっと歩いて行くでしょう

1キロほど離れた
トンネルを抜けるまでは
続くと思います
そしてあいつらを振り切れると
判断したら
列車に出くわした瞬間
線路から茂みに飛び込んで
雲隠れ
そのままのうのうと生き続けるでしょう

粗末なプロペラは壊れました
僕はそれだけで満足です


Aug. 28

  アルフ・O

「元カレ?
「全然知らない人。
「ふぅん、
「あ、くそっ、電池切れた。
「ご執心じゃん、
「うるさい。―――空、分解されちゃったね、
「また掻き集めればいいじゃん、あたしらで。
「そのあとは?
「知らない。燃やしちゃえば、
「……はらいそ。
「え、なに?
「『楽園』だって。
 ぴー・えー・あーる・えー・あい・えs
「あはは、なんだか分かんないよ。
「ちぇ。眠い?
「眠いね、
「ねよっか。
「うん、


そどむ

  アルフ・O

きる。
やけどする。
まねする。
とっちらかる。
とれない、ずつう。

こわす、くみたてる。
あざける。
いみないって、うそぶく。
ほんとになる。

しらないふり。
どくそう。
ちが、めぐらない。
きづかないふり。

どくはくでしか、こころをしらない。

しばる。
ふみつける。
ほほをたたく。
もとめる。

ある、どようびの、よふけのこと。


Orpheus

  アルフ・O

歪みのない
レンズでできた街
太陽との縫い跡が爆ぜて
同化しかけている

繭に閉じ込めた眼から
散らばる化石共
(ガーゴイルが飽き始めたから、
止まない雨のせいで半数が透過
する間もなく外壁だけ崩れて

「相殺されないまま
 プリズムで裁断されてゆくんだ
氾濫する熱を纏う白が
分け隔てなく
矩形波で空を
手繰り尽くすまで


六花少年

  アルフ・O


m.

どうせ手に負えないのに
帰ってきてと呟く
隠すには余りある痣と火傷と
切り傷を引きずり
黒い双葉に怯える
結局耐えきれず摘み取ったけれど
身体は何処も溶解しなかったかわりに
足元の土が裂け始めた
その瞬間 同時に
俺は緩かに朽ちていくのだと知った
受け入れたふりをして
声を潜める
傷は消え
毒は伝播する
誰もがそれと気づかなくなるまで

- p.v.

「埋めるでも、覆い隠すでもなく、
 のみこんでほしい。その白に、
(そう口走ったのは多分ウイルスのせい
(空中分解した複葉機にまざった雪の結晶のような
「ふざけないで。何にも例えられたくない、
「未だ魔法が解けないから、実を熟れたまま遺しておけるの、


シノニム

  アルフ・O


  どうして思春期なんかあって
  恋なんか知って
  性なんか知っていくんだろう
    ーーー小野塚カホリ『NICO SAYS』

逢魔が時を過ぎてなお
すぐ下の階の部屋で
顔のない占術師は
香を焚き続けている
数日前に拾った黒猫は
それにつられてまた
目を覚まさないでいる
自分は、といえば
あまり意味を望めないまま
ノートをヘアピンで纏め
そのままくずかごに放り込む
見慣れた爪の噛み跡
「作業中は音楽聴かないんですか、
(……歌詞があると、気が散るから。)
(でもそれすら口に出せないんだ、
(帰ってきてしまうから、
(幾重にも縫い合わせた
 つぎはぎのシェルターの裾が
 そこから破けるように
でも他に何をするわけでもなくて
何かできるわけでもなくて
「あたしらどうせ捨てられるんなら
 「死んで生まれたほうが
  「よかったかもしれないね
と、結局フラッシュバックする別れ際の言葉
(歌い続けてるんでしょうね、
 貴女は今も
煙と一緒に無理やりのみこむ、
長らく錆びたままの
ムスタング
の弦、の向こう
、で
潜り込む
背中
触れる
忘れる
掴む
壊す
もう音なんて要らない
混ざる香りと
呆れるほど似た顔と声の所為にして
「呪いに加担させるんですね、そうやって、
皮肉ごと海に沈めるように
柔く口を閉ざす
触れる/触れないは漸近線の如く
分布の如く
似ても似つかぬ身体は縫い上げられることもない
意思のないシーリングファンに
魔法は少しずつ解けてゆく
いっそ泳げと
抗うのも無視して


Dicotyledon

  アルフ・O


醒めた顔を隠す、でも抽出する花。
(肩をそっと掴まれ
 見えない弦が鳴る、)
 不協和音)
甘えてなどいない、よ、と
助手席に爪を立て(割れる(人じゃない、音
(聴こえる?
 今流れてる作りかけのこの曲も、いずれ袋小路だってさ。
 知らないけど。気休めの契約だし、
絶対なんて求めてない。求められない、って、
(みたいな、
 、みえない、箒星)
(血の透ける腕を、
 摘まれる)擦れる。(消される、
(切る、
 (切る、
  (切る、
無数の五線譜。
突き当たりで駐まる。
(アイビー、アイビー、
このまま、何処へでも手を引かれ続けても。
いずれ羽根が生えてくるまで
たがいにしばりつづけること、全部知ってる。
(いつかのゴミ置場のマネキンみたいね。
 体温あるけど。
 せめて、唾を吐く、抵抗、
 指を強く咬む、かむ(プラネタリウム、
(アンプリファー、花粉を震わせる、4時、
(裁きの如く物語の侵食を告げる警報を
 掻き消すように喋りつづける、
「汚されたい。
「汚されたいよ、ねぇ、
「半分の月が翳る、
「LEDが交錯して、
「バンビが空を駆ける。
「壁の星を剥がしながら。
「テンションコードなんて思い出せない、
「タトゥーシール失敗しちゃった。
「うまく溶かしてよね、この腕を、さ、
「持て余した鉄パイプが目印になるよ。
「黒いパーカーも、
「ビスクドールみたい、その仕草。
「破かれた絵本、鉄格子の中の。
「あふれる、あふれる、
「あたしたちいつまでニセモノなんだろう、
「少し大きなデタラメを言った罰。
「あと10秒あれば。
「期待させちゃったかしら。
「ねがいごとに嘘はない?
「雨も風も雷も去ってしまった、
「こんなに傷む術を持ってるのにね。
「血管が渇いていくの、
「天網恢々疎にして漏らさず、って。
「報いかしら。
「破るためだけに交わす約束、なのに、
「まるでサクリファイス。
「あるいは針をなくしたレコード、
「花火が上がる。
「穴だらけの夜ね。
「これ以上曖昧な関係でいられないの、
「その胸騒ぎが、本当になれば良い。
「そしたら蛍を放そうよ。
「閉じ込めてるありったけをさ。
「弾は二発、
「信号が点滅に変わる、
「口を噤むナトリウム灯。
「あなたは怖くないの、
「キスさせて、
「なら、顔を隠して。
「みなそこ、
「せめて笑って、よ、
「一緒に、死ぬんじゃなかったの、
「こんなので繋がりたくない。
「そう、
「それじゃ、お先に。
「うん、またあとで、ね、
「燃えるよ、サイレンの中、
 エンジンもシートもクラクションも、何もかも。
「その頬を撫ぜる掌、は、
「もう二度と開こうとしないの、
「ブラックサンダー買ってきて。
「痩せたいから。
「どうせ胸の鍵は開かないままだから、
乱暴に閉じられたドア。
1ミリの真空。
グライドする視界。
知覚する、
傷口に張り付いていた
棘の群れが
幾つも重なり
中に押し入ってくるのを。
とうに錆びきった
柔い壁はたやすく溶かされ。
これ以上身体が千切れないように
長く息を吐く。
黒い。
黒い。
黒い。
黒い。
黒い、
肺の中。
グライドする視界。
(アイビー、アイビー、離れないで、
意識はピン留めされたまま、
土に還ることもなく
羊水に踏み潰された蝙蝠が溶けてく、


Dry/Slow/Anchor

  アルフ・O


静止する、

辿り着く気もしない
煉獄の岐路にて。
氷は融けず渇いていく
緋色の爪を削る羽根
何か云いかけては
口を噤みを繰り返すマーブル模様
の、背中。
やっと帰ればシャンデリアは人の身体で
まばらにろうそくを灯していた

静止する、

貴方は昔ミュージックビデオで
幻影となり
屋上からフェンスを越え
仰向けにゆっくり墜ちていった
それは時に使い捨てられる
ストラトキャスター型のギターにも似て
数年後貴方は
本当に赤いストラトを携えながら
冬眠したり
突然起きては深呼吸したり
水鉄砲にはまだ手を出せないままです

正視する。

羅針盤の鎖を解いて錨を下ろす夜。

目を背ける、

パーキングエリアで倒れ込んだ、少年
その遥かに上空で
観覧車からマフィンがバラ撒かれては
ベルボーイが鍵のないオルガンの蓋を
律儀に閉めてゆく
そこに否応無く佇んでいる筈の
光について、

再生する、

みずうみ、みどろ。
ねむりにつくまえに。
あなたのなをきかせて。

再生―――。


Grimm the Grocer (back to back)

  アルフ・O


「足りないわね。
「ええ、勿論、
「全く舐められたものよね、
 あたしたちも。

紙袋を抱えて
いつものごとく並ぶ、
マンドリン、クローバー、その他諸々が
きゃあきゃあと折り重なりながら
足元を縦横無尽に駆け抜ける
、14時

「舌に合わないとまでは云わないけどさぁ。
「コームいつの間に変えたの、
「え、それくらい許してよ、
「暑いわね。
「みんな持ってるよね、そのラメ入りの雫、
「貴女も似合うんじゃない、
 白くて消えそうな身体だから、ぴったり。
「―――ばか、

口癖は、当然
彼らの意識には、残りもしない
いよいよ母胎の中で
ゆるやかに発酵してゆくだけ、
(でも
 人待ちに見えたらしいわよ、って、
 うそぶかれる。
まだ新しい内腿の噛み痕に
つと身体を震わせ、記憶が明滅する、


「どうしても好みのミュールが見つからなくて。
「おかえりなさい、
「背の高い花は、今日までだったよね。
「水のような開放弦のファズ。
「この石鹸ロシア生まれだって。
「とんだ時間泥棒ね、
「メイクまで面倒見てあげるわ、
「今、虹を吊るしたところ。

それはあまねく、

「深海を漂流する、
「露の匂い。
「イメージは緑。
「シャンプーくらい置いてればいいのに、
「あとレンズ豆ね。
「土に還る植木鉢も欲しいな、
「見抜ける?あたしの思想、
「はぁい、ご給仕いたしまぁす。
「甘いのと、冷たいの、みっつずつ。
「人魚の鱗入りで。
「エスコートお願いね。
「膚の下へ、と、潜る光を見つけて。
「そうね、
 貴女だから心配はしてないけど、
 待ってるって伝わるよう、祈ってるから。
「またのお越しお待ちしてまぁす、

それはあまねく、
夢も現も、枷と糧。

「せっかく材料全部用意したのにね。
「頼む相手盛大に間違えたのよ、
 見破れなかったあたしたちも悪い、
「ねぇ、そんなに感傷っぽかったかしら、
「あの厨房じゃそうなるでしょ。どうしたって、
「あーあ。結局ぜーんぶ、バクテリアの世界。
「それにさ、空調ゆるくなかった?
「せめて今度の雨は砂糖少なめがいいなぁ。
「予報外れてばかりだものね、

少しだけ、脱落したことを
気にも留めずに
荷は詰め替えられてゆく

故に、
故にそれはまた、
何処かで人知れず翻っている、
貴女の唄に帰結してゆくのでしょう。
こうしている間にも
ラクレットのごとく削られて
絶えず意図せぬ地平へ堕ちまいと、
抗っているのは、
もうどうしようもなくて、
ただ、

「さよなら、ね。
「あたしたちこんなだから、
「飛沫のせいで脚見えないね、
「別に消える気はないけど。
「でも、本当に、あと少しでいいの。
「魔法と疑わずに済むのなら。
「だから、薬屋さんによろしくね、
「きっとお互い、いなくて困ると思うわ、
 これからずっと、


リッサウイルス

  アルフ・O



「やっちまえと空砲が轟く
 ボイラー室の吹き抜けで
 反響音に首を締め上げられる
 懺悔に足るってことらしい
 中空からスコールに襲われながら
「それであたしはいつしか
 腕をクロスしてTシャツを脱ぐ、
 「彼等にそんな方法を
   覚えさせられたんだ、
不名誉なんかなくて
ただ、戯言が
宙で潰れるのを眺める
(洒落たロンサムスピーカー、
「相対化なんて言葉では生温くて、
「マラカスの音が止まない。
「だから、
 あの星ごと叩き落としてやるの、
「何を買い被ってるのか知らないけど、
「ねぇ、逃がしてよ、
「悩むのが上手いのね。
「片眼でこっち見ないで。
鐘と共鳴して、
デブリを撒き散らして、
けたたましく笑う
サイレン、

crack, crack,

心底めんどくさいなぁ、と呟く
がれきのでたらめ
叫び声を掬い上げるに値するかと自問して
旧校舎をふと、仰ぐ、が、
「何を期待していた
「何を渇望していた
口にするには耐えがたくて
圧縮されればいい、と思考を止める
少し油断すれば才能なんて
中身のない単語に置き換えられるから
「貴方達にその自由など与えない
枷の繋がった両手を見下ろす
淀む水底
胸の識別票が鳴り
明日はまた、二枚舌で着飾る手筈を
(吐き捨てたってどうせ菓子屑
 都合よく下がった体温を言い訳にして)
(幾重にかけたフィルターを
 すり抜けた砂粒を手にして
 何が視えたと宣うのかしら)
「仕掛けが間に合わなくてごめん、
「それは手首の導火線とか、そういう類?
「さっき、眠り姫と擦れ違ったの。
「多面体で昨日を占いましょう、
「瑠璃色は敢えて選ばないで。
「種の群れが薄く淡くタペストリーと化してく。
「ネグリジェを引きずりながら、
「壊れたハンドカフス、
「木星まで連れてってよ、
「蛍が2本の指に灯る。
「馴染まないパルファン、
「バルコニーからピアノ線で繋いで、
「アヴェ・マリアを口遊む、
「lamb.
逆流する、
調理前の心臓と、
(そう、たとえばこの地下街跡に、
 今こそヒールを叩きつけてやりたい、
(分解した光に磔にされて、睡れ、
 二度と醒めないように。
所詮そんな生き物なの、
だから、噛み砕いてあげる、
「此岸の淵こそ我らが舞台、って、

crack! crack!!
click? crack!!!

傷痕に呼ばれて、
赤い靴に急かされて、
お願いだから、始めさせて、



睨んでいた。隕石が降ってきたらいいのにって願ってた。本当に呼ぼうとして丘に駆けあがってなけなしの灯を振り回したりもした。羽虫のもがく様。つられて存在しない翼をばたつかせる。数十年ぶりのスコールが来るなんて予報は当然のように外れて。相変わらず湖に沈んだナイフをぐるぐる二人で探し続けている。でも、平気なの。それがお互いの身体から奪ってできたものだなんて、彼等は絶対知るはずもないから。

**

睨んでいた。浴室から綾を成し五線譜と棘の群れを往なして飛散する羽根を。両翼は朽木に挿げ替わり泥を飲み込んで散大した瞳は自ら爆破した羅針盤の切先を縫い合わせてゆく。円を描く時。歯車は淀みなくピアノの白鍵をばら撒かせながら扉は頑なに閉じようとしなかった。刺青に埋もれた彼の指が非常通話のプラスチックを破る。Darryl、触らないで。傷と誇示するには浅いって云うなら。塒を巻く花。筆の海を泳ぎ切るのに酸素が足りないって云うのなら。なんてこと。なんてことなの。もう既に疑いようもなく血は凍りきっているのに。どんなに探しても墓守は見つからないまま、LED灯の下に繋がれてあたしたちは二度と動けなくなるのだろう。だからさよなら。
……でも、本当にさよならするのは、ずっと先の話だけど。そのときはもっと、困らせてあげる。ふふ。



「―――報いかしら。
「キズの舐め合いよりもっとひどいのかも、
「まだ、傘はさしてくれないのね。
「Happy birthday. まだ、弾除けになってくれる?
「......今日のコトは忘れて、


The Dead was Born

  アルフ・O


降ってこない、降ってくる
流転の繰り返された心臓
抵抗を強めては
身体の中で錆びた螺子が
舐められたと騒ぐ
堰き止めることに慣れたんだって
生贄と電線が笑う
とりもなおさず
「今のお前は使い物にならない
危惧される謂れは無い
不眠?不朽?不屈?
棄てちまえよ 棄てさせてよ

―――定点、

「唐突にオメガ扱いしないでよね、
「じゃあ、噛みつかせてよ。
「蜂蜜の溢れる、斑らと、
「感応しなくなっただけのアンテナを
 薙ぎ倒す仕事をあげる、
「やっべーよ、進入禁止?
「カラコン似合ってんじゃん。
「どうしても“匂い”に落ち着くんだね、
「平行線、エモい。
「調子狂うな、
「産卵と大して変わらないだろ。
「苗字は覚えなくていいよ、
 普通読めないから。
「2ml。もう少し頑張りなよ、
「体質だから。
「白衣着ると印象全然違うね。

―――不定点。

代替品の蒸気
それはおそらくは、
もがく度にみずから
ヤニを塗り固めていくかの如く
そしてとうとう無関係の
時間軸で
無関係の音沙汰が
還るのだ、と
宿主に諭すかの如く
(だから、返すの、
(だから、返すの、
(返すの

―――定点、

「Speed of flow.
「鍵よこしな、突っ切るからこの群れ、
「泥濘に舵を取られて、
「女王蟻の階層まで、あと、
「そしたら当然俺らはお払い箱ね。
「伏せてなさい、
「切れたらそれで構わない。
「尻尾巻いて逃げたっていいんだ、
「押さえてりゃ治るよ、
「どうせ単細胞だって侮ってんだろ。
「Drive my fate.
「それはこっちの合言葉でもあるのさ。

―――不定点。

(僕達が要らなくなるまで
 あと何万年かかりそうなのか、
 訊いてみたかっただけなのにな
風の止んだこの要塞で
浅葱色に覆い尽くされるのを
待ち焦がれている、猫、

―――不定点、

「甘いところ、視せてよ、
「うるさい、舌噛むよ。
「臆病な魔法使い、
「でも起きているよりはマシだよね、
 ずぅっと、
「すぐ帰るのになんで縛るの。
「どうせまた、今日も吐瀉が始まる、
「トラウマ二人がかりで消せないのかな。
「賽の河原行き最終。
「拾われたのが運の尽きだったね、
「あ、飛ぶっ。
「身体だって手放すもんか、
「耳が良いね、うんざりするくらい。

―――定点。

「How silly?
「何かがまた流れ落ちてる、背中に、
「折れたんじゃない。
「まごつくなよ、大将、
「使い勝手悪いったらないね。
「君たちが満足しないからでしょ、
「それじゃ忠誠誓って寝てればいいわけ?
「How silly? (reprise,
「りぴーとあふたーみー。
「プリズムに封じ込む深緋。
「ごめんね、また同じ話してるよ。
 だから構わないで、
「provoked,
「全部リセット。
「このまま色彩を失っても、

堕ちていく
堕ちていく中で、
気休めに
最後の契約を交わして
眼を 閉じる、
いずれ
死にはしなくとも
折れて、崩れて
無感動に拾い集められ
似たような形に
磨き上げられるから


A couple of

  アルフ・O


“応え(こたえ)から一秒遅れて吹く風に、カーディガンすら甘く弾けて”

 「そうね、みなしごだって思うのあたしたち。貴女のイニシャルが施された胸の印を鏡で見る度に、屋上の柵の上に立って歩いてみたくなるわ。今なら俄か雨だって操ってやるの。広すぎるこの天蓋をすぐさま地上に引き摺り下ろすだけの力も、呪文も、貴女は知っているのにいつまでも使ってくれないから。鼓動が共鳴しているのが判ったってどうしようもないじゃない。ねぇ、だから抱き締めていて、もっと強く!」

“むつごとは羽根を散らして果てるのみ君の名の海はなほ遠のきて”

 残骸が散らばっている。ガラスの空の残骸が。竜骨を蝕まれながらこの船は何処にも到達しないことを、ふと想う。傍には自分よりはるかに、さらさらと光を含んだ、長さはお揃いの栗色の髪。血の代償を省いて徒らに虚無を孕んでゆくこの身体に、できることなら君を触れさせたくなかった。けれど、もう遅い。もはや私は私に、呼吸すら赦していない。バイオリンの声を永遠に穢したのだから。抱き留めるならそのまま心臓を潰してよ、
 
“底に降る雪を掬いて灌ぎける融けきるまでの熱の交換”

 「息を殺さないで、ただでさえ凍え死にそうなのに。泣けなくなった分だけ感情が貴女の身体から逃げ場をなくしているのなら、あたしの胸に直に触れて。そうしてお互いに脈をコントロールしてしまえばいいわ。知ってるでしょう、愛は無限に有限なんだって。折りたたまれたページにそう書いてあったわ。あたしもその言葉をたよりに生きるから、ねぇ早く、彷徨っているあたしの半身をここまで叩き落として」

“傷負いて疾る君の背を見送れり口つぐむべしナトリウム灯”

 そしてこの廃屋でどれほど立ち尽くしていたのか。みずから揺らし続ける視界はもはや数年経って咲くはずの花も迷いなく腐らせている。(砕ケ散ルホドノ嘘ヲ私ニ施シテクダサイ)。耐えられなかった君。幸か不幸か空を飛べるように契約したから、これから手渡せなかった魔法を振り撒きに行くよ。Maybe it’s raining as saying farewell.


  アルフ・O




「眠る仕度を始めてる、
「細動する複眼。
「贋作だって知ってるくせに。

「両手でその血を受けてあげる。
「棘だらけの心臓に、
「音も無く氷柱が立つ、
「架る吊り橋は解体されてゆく。
「見たくないんでしょう。
「受け入れるの、
「あたしたちかしこいから、

「使い終えた魂を削ぎ落とす、
 役割だから。
「必要悪だから。
「施さないで。
「待ち人のもとへ帰って。どうか、どうか、

「春は奪われた。
「それも、嘘?貴方の、
 
 
 


Honey conscious honey

  アルフ・O

 
 
青褪める唇、
密度の濃い蜜蝋でふさぐ、
互いにしか通じない
そんな関係。
意識するもされるも、気づいていて、
今は半目で揺られている、
汚す月。
掌に収まる鏡は、互いの顔の為じゃなくて、
増幅する依り代でもなくて、今は、
絶えず重ね合わせて
脈を行き来させる最終手段、
不完全で打ち棄てられた、駒だから。
独り言、そのすべて
回収されて
思念の森に分け与える、
これは挑発。
知らないと思い込んでいる奴への。
意識をぶれさせ、
介入を干渉を遮断する。
「悪趣味正当化してるんだから
 それくらいで困らないでよね?
分け合ってひととき完成させて、
あたしらはまた
噂をかいくぐり
種を求めていのちを振り回す、
 
 
 
*Inspired by MAGIA RECORD
 


The Wagtail Calls

  アルフ・O

 
 
(The mourning bird,)
(The wagtail calls)
(Wagtail/Mourning Dove/Turtledove)
(and more,)

黒い地平を電子音に追われて疾る
歪む音に、上から下から
1×1の縦横線と無色透明の夢
質量を持たない夢
質量を持たない羽根
三叉路の交点で繋がれた身体は
そのまま3つの無感情に分割される、
「間に合わないね、あたしら、
「傷口だ、
「魔女狩りそのもの。
「自決するにも向かない得物しかないや、
「壁を越えましょう、さぁ、
「ひかりふるまで、
「あとどれくらい動けるの、
「深く呼吸を、潜らせて。

それは、治りかけた
瘡蓋を引っ掻かれる感覚に似て
「洒落にならないからやめてね、
「あたし、してないから。
「割れた胸を晒すに値することかしらね、
「それでも、帰り路だけ明るいの、
何年経ってまた、
 亡骸を回収するために
  甘い針に刺されたとしても、
「声なら自分で抑えられる、
 構わないで。

「でもただ冷たいだけ、
「意趣返しには丁度いい夜じゃないかな。
「ねぇ、お供は要らない?

雛もランタンも自分で引き離したから
あの扉は開かないし
『ベアトリーチェも、もう二度と起きない。
何処かであたしたちの知らない
猫が、この蛇に睨まれるまで
「治癒魔法だけではままならないものね、
「それだけじゃないもん、
海のような闇のような
降り立つ術も見当たらないまま
時の隙間を歩く
「あの曲に、“未来”とか“永遠”なんて名前を
 誰がつけたっていうのさ、

(Missing,)

形を保つことがかなわない
霧の中では、
嘘だけが対価になると説かれて
「泣き虫をよくそこまで隠せたものね、
「他に方法を知らないから。
「『冗談じゃないわ。ただの嘘よ』、
いうなればハサミの刃の片割れだと思う
睡りを促すように右手を翳し
空中庭園の外に追われそのまま
蹴り倒したキャンバスの中へ幾重にも印を刻む、刻む、
「……これで、血を失わなくて済むならば、

「夜啼く鳥は、
 実在しない筈だった白い花の代わりに
 湖に次々に沈んでゆく、」
(はりつめる、
 いつからか覚醒するたびに
 頭上を1発ずつ、号砲の
 音のみが掠める理由を知るために。
 抉りだされた感情の糸を
 眼を閉じて、
(付け焼き刃の堕落論を皮膚に携えて
 傾ぎ始めた螺旋階段を這うように昇り続ける。
 武装は解かないで、お願い、

無限に殖えつづける季節にそれはよく映えて、

「Kill not the goose that lays the golden eggs,
「……要するに、
 この徒花たちは叛逆の証なのね、
(臆病な、魔法使いさん、トカゲさん。
「いつからそんな、悲しい夢を見続けているの、
「畏れるかのように、耳の輪郭をなぞられ、
 少しだけスパークして暴かれて終わる。
「もし、あたしが赦さなかったら、
 どこへ行くつもりだったの。
「受け取れないのならそれは無に等しい。

「―――次のクリスマスまで待ってて。
 灰で飾られた翼をばたつかせて
 重力を抱きしめながら、今度はあたしが
 迎えに行くから、
 シャーロット、
 
 


Bijou in a beehive

  アルフ・O

 
片眼鏡の貴女が云う
「深呼吸するには
 少しも向かない街だね、
アッシュグレイの髪を
機械のように掻き上げながら
テレパシーの混線する音が
方向感覚を今も狂わせている
やや間をおいて首肯する、
そして問い返す
「私は良いサンプルになり得たのかしら
Yes/Noで答えられる問いであれば
貴女にはより好まれることを知っていたが
返ってきたのは曖昧な微笑と
困ったような仕草だけだった

(「克服あれ、と
 叫ぶ聲を聞く
「ヤー。必ず、


中枢に届かないと知ってなお
細胞は平常通り分化して
フラスコ代わりの穴を埋めていく
左眼窩を犯されてから
一夜明けたけれど
予告どおりの惨状を
直視できるくらいには
感覚を失っているらしい
閉ざそう
ハツカネズミの本能で
足跡から根ひとつも遺せないで
群がるしかないんだって
「でも匂う闇を〓ぎ留めるに充たないよね、

(眠り方を忘れた時はいつも
  貴女は飽きるほど
   この頬を撫ぜてゆくから
  それに甘えてしまう、
心臓に繋がる鎖は
いずれ幾重にも編みこまれ
手首から離れなくなる


ゆるさない、
  」

(十字路に無数のクローンが詰め込まれ、
(疑心暗鬼の挙句、コキュートス行きの
 片道切符ツアーと
 ユーズレスペイン、
(脚はもう硬化しかけていて
 鍵を呑み込ませる喉
 目減りする復元力
 頬に血の気が戻り
 掴まった壁を壊す
 砂嵐に蟲が暴れ
 とうに摩耗した感情をカップリングして
 呼吸する度
  黒と白が踏み砕かれて循環
   針状結晶も摩擦しながら循環
 サーキュレイト
 そう サーキュレイト

 %^}
∽ 〜

(鎖を、ひっぱる、
 見開いた眼に、よく似たお互いをいっぱい映して。

これから今のままじゃ薄着過ぎるからと
徐ろに手に取ったモッズコートが
貴女のキャラをもってしてもあまりに厳つく
袖が余っていて
「逆に、少し近づきやすくならない?
滅多に見せない困り眉で
循環から鮮やかに掬い上げられる、意識
あぁもしも、私がその臍になりたいなんて
燻んで捻れきった願いが叶うならば、
「──いいんじゃない、一着くらいなら。
同時に振るいつく、
弾ける、クロエの香り、

(』》

  “【

 「ねぇ。
  闇って決めつけちゃえば、楽だと思わない?
 「あたしの汚染、消しに来てよ。
  今度は消波ブロックの先端で待ってるから、

$

ゆるさない、

(ゆるさない。「
  )ゆるさない、赦すものか
』 ゆ【るさ、】ない
ゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさない克服あれゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさない必ずゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさない償いなさいと彼女は云ったゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさない細い指とアップライトベースの嬌声ゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないFC世界の魔女を刺すことができないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさない そして このなかの かたくあつくたぎるもの ゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないどぼぢでごんなごどずるのゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさない首吊りの庭ゆるさないゆるさないゆるさないヤーファーターゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさない

(神様、知ってる?
 今、ようやくこの手の中にいるんだよ、

[◎
〓 @

(終末時計が鳴り
 克服あれと叫ぶ聲がする
((ヤー、
 
 
 
 
*Partially inspired by “EUREN SPIEGEL” , Tow Ubukata
 


Fixing you, messing me(Wilder than heaven)

  アルフ・O

 
 
 
掴めば壊れてしまう程の
細い手首
耳鳴りにもう飽きてしまった
不感症に
つける薬はないと吐き捨てる
灯りを消してみる夢と
消さずに見る夢
「まだだめよ、って
 声が連なって聴こえる」
彩度まで揺らぎ始める
平行線の上
何をすれば喜んでくれるの、

「キーワードは?
「風紀委員とかドレッサーとか、
 うーん、それくらい、
「まだあるでしょ、リンゴとか
 カボチャとかラズベリーとか。
「あと2人無視しないでね。
「逃げ回ってるだけの人に用は無いよ、
「孵化できないことにも気づかないでいる、

(懺悔は砂時計の後に。

(眠りに就くアメジスト、かしら、
溢れる淀みの中で
彼女たちの影だけが芽吹くのが解る
(浮腫む花、
 フィルムにも映されずに唄う、
(骨になっても介錯してくれるのね、
「貴女のいる地獄に
 この手は届きそうにない、
 何度繰り返したって、
そう呟く背に
含み笑いが応えた気がして
振り向くけれどその合間に
理は(貴女に)
(もしくはあたしに)
都合よく収斂され
変性されて
綻びは書き換えられてしまった
(噛み砕かれ、
残っているのはその
耳飾りだけ、

(歯車の軋みに気づかないふりをしてる、
(貴方だけね、剣を突き立ててくれたのは
(迷わないただ一つの方法は、迷い続けること、
(埒あかないね。
(あたしにその勇気がないから、

「天気予報は外れ、
「切れ端の散文が夕闇に溶けてく。
「もう誰にも読まれない、
「彼女の言うことが本当なら、
「遠くない将来、
 あたしたちもそこに回収される、
「壁の外側から
 干渉の外側から
 また聴こえた、」
(そして“もう大丈夫”と
 彼女たちは
 闇を裂き天を射抜く)
湖を揺らす音が
解いた髪とリボンを伝って
肌を断ち切るように
並べたひとりがけの椅子が
朽ちてゆくのを拒むように
 
 
 
*These words are dedicated to H.A., K.S. and...

(ねぇこの但し書き、必要?まぁいっか。)
(ずいぶん野蛮で、身勝手な楽園ですこと、)
(頼んでもいない時に限って、空は美しくなるよね。
 いっそ、いっそのこと、
 塵も残さないほど葬って欲しいのに、)
 
 

 


Flatline

  アルフ・O

 
 

(The void,

溢れない、
死なない、
そして誰からも呪われないし
蔑まれない。
彼らの捌け口になる予測を
散大した瞳で見据え返す。
「分かりやすいって?
「そうかもね。でも触らないで、
「エゴで産まれるならせめて
 飾りつけくらいちゃんとしてよね、
「中指、第二関節で刎ねとくから。

shiver,)

飽きさせない保証があるなら
影共と、森に住んでも悪くないかな、
なんて。
星みたいな髪色の彼女が
たん、たたん、たたん、と
踊るから
「だってあたしは、
 喋れば喋るほど退屈するんだもの。

gravel,)

さよなら世界、と
もがく羊に吐き棄てる
もしくは、吐き棄てられる、

(placebo,

バタークラッカーの枚数が
際限なく増えていって、
傷口を圧迫し
「結局出来上がったのが
 その形而上(ゴミ)の山。
善人凡人遍く意識を押しつぶすつもりで
Alligator installationと名付けたそれを
余さず五月雨に溶かした。

(Dear my GREAT dictator,

「ザマァないわね。
「褒めないでほしい、
 これからのあたしを、
「その名前は捨てて。
「いびつに編み込む毛先に魔法を施す、
「触れるくらいが好きなんだよね、
 噛むんじゃなくて。
「輪郭なぞるだけで満足すればいいわ。
「意図の薄れた泉に沈まないように、
「声を、出せないでいる。
 冬が終わる頃から、
「chain,
「散乱する死体の怯えた目を伏せる順序は、
「気にする価値もない。
 だってあたしたちには
 結局害しか及ぼさなかったし。
「暴動だって胸張って言える?
「chain,
「期限切れの呪文を何度繰り返せば気がすむの、
「逆立てた棘を燃やすのに必要な、
 その捻れきった意識を、こっちに寄越しな。
「空想と寝室の堂々巡り、
「自家中毒だから笑ってくれていいよ。
「宿主に振り回されて、
 もう、あたしたちは永久に
 静脈で幾度もすれ違い続け二度と
 結合しない
 
 
tacet.
 
 


Laid back ALF-O

  アルフ・O

 
 明日が今日よりいい日でありますように
 なんて祈る事しか出来ないけれどさ
  ───TRICERATOPS / GOING TO THE MOON


# b

フレッシュを入れ過ぎた
コーヒーが冷めるのを待つ
風のとても強い春の午后
「遠回りどころか
 到達もしないんじゃない?
ハニートーストが品切れになってしまって、
仕方なく時間外手当の使い道を
ガソリン代とかそれ以外で考えることにする
「体のいい逃げ口上ね、
視界をチラチラするのは
切りそびれた前髪だけじゃないんだろう
と、カフェインが効かない
(都合よくそう言い聞かせている)
身体に囁く。
やせ我慢にまた蜂蜜入りの体液を混ぜ込んで
3人掛けソファーに沈み微睡む夢を見る
「ギチギチするのはそれも貴女の
 深層心理とやらの反映?くすくす。
日向が少しも暖かくならない庭で、
どこまで肋骨を切り崩せばいいのかと
誰にともなく問う、
「肩身狭いね。自業自得だけど。
「水も食糧も嗜好品もカテゴライズが遅過ぎた。
「貴女はあたしの夜で、
 あたしの昼で、
 あたしの月。なの。
「見えない左眼、直接回線繋いじゃえば。
「断頭台の刃をそのまま得物に
 使った彼女を見習って。
「いや本人の意思じゃないでしょ。
「ほらまた老人共がアレルギー起こしてる。

いつだって、深い睡りに飛べるよ。
今でも。───多分。
「緑柱石に埋もれない限りは、ね。


# q

鍵穴を閉じる。
居着いた蟲が飛散しないように、
6帖の部屋を満たすソーダ色の香りは
貴女の細胞、身体一式に絶えず濾過され
上塗りされ
抗いようもなく、
気怠く対流している。
「あたしを呼んだのは、そのため?
「1人だと間に合わないもの、解るでしょ?
マーブル化する夢を見る、
貴女の声を聴くと、いつも。
「貴女がアポロンで、あたしがクロノス。
「微妙に対になってないんですケド、
「だって語感で選んだから。
対流しつづけ、幾千度目かの飽和を迎える
合図の紫の雨が降り
あたしたちは、一様におしゃべりをやめ
決してマーブルにはなれないと知りながら
互いに漂白を始める
「この方法しかないのかしらね。
「それ、本当にそう思ってる?
───俯く。「いじわる、

(締め出せばいい。
 なればこそ、彼等のコントロール下から、
 僅かにはみ出していればそれでいい、
叫ぶけれど貴女は応えない。
解ってる。
解ってる───。


# o


(空白)


(空白)

(空白)
 
 
   


crush the sky, pop'n'sky

  アルフ・O

 
 
黙ってないで
そらをうつ
闘わないで
そらをうつ
どうして貴様等は、足を引っ張るのばかり
得意になってしまったんだろうと、
鏡の外で真顔になる
笛吹き姉妹が見下ろしてる
「もう熟成のしようがないんだって、
crush,
ガス欠になるまで踊り続ける
隙を見せたくないから
分配され損なったキャンディも今
天井に叩きつけられ
crush,
crush!
「ねーぇー。今話題の繊細チンピラ狩りにいこーよー。
「バスソルトと吸入器大量に買っちゃったしさー。いこーよぉー。
「だーめ。後先考えずに残骸ごと飲んじゃうでしょ貴女たち。
 下弦の月まで待ちなさい、良い子だから。
「けちぃ。
「いーもんいーもん。友達にわけちゃうから。
「わけちゃうから。
crush,
crush!
crush!!
「本当に嫌いになっちゃう前に。
 フランジャーオン、
「じゃけん喉潰れるまで叫ばせ続けましょうねー、
「神聖なる裁きの場でなーにやってんのかなー?
「徘徊するだけ。汚泥を擦りつけてそれ以外何も残さない。そんな生き物。貧乏神。
 はい、心当たりのある奴は挙手、
「コンプ噛ませて、
「プロテインか硫酸ぶっかけるよ。
そして沈む
チョコレートの海に。
貴様等から意味を引き剥がして
泣き喚いて土に(もといソースコードに)
還るまで煽るのをやめない。
cruuuuuuuuuuuuuuuuuuush
cruuuuuuuuuuuuuuush
cruuuuuuuuuuush
「ステープルとピンネイラならどっちがいいかにゃー?
「そらから血を流すのはどっちが綺麗かってはなし、
笛吹き姉妹が眼を逸らす
嘲りを残しながら
「だって時間は有限だもんねー。
「ねー。


Ooze

  アルフ・O

 
(Take That, You Fiend.)


# hair


抱き寄せる、肩と
少なめのトリートメント
意に反して移ろう眼を隠す為の
ビジネスホテルのツイン、午前0時
意識を取り戻せばまた
ハニーマスタード入りのアボカドサンドを
ぱくついているのだろう
「日常だなんて大見得切っちゃってまあ。
幾何学のテンプレートに
賢くおさまった屋根は、あたしにとっては蜘蛛の糸
エセポケットコイルのソファに飛びこむ
彼女に勧められた練り香水と
ハネムーン土産のチョコレートを長期記憶に追いやりながら
「急に貴女がついてきたんだもの、
焼きすぎたスコーンにリップティントをのせてみる。
「ストロボライトみたい。
「荊の刺青は赤い糸の如く時空を超えて。
「経血に混ざったイエローダイヤモンドを舐め回している。
「悪趣味、
「他人のこと言えた義理かしらね。
「ほら、音に逃げるな。
──脱色、
2度と消さない為の。


# mouth


童貞と口走ったら
それは比喩?と混ぜかえされて
お揃いの中指と薬指にマスターボリュームを操られる
メタルフレームとセルロイドの眼鏡が
険悪そうに摩擦音を紡いでいる
「綺麗な舌ね、
「おかげさまで。
貴女はスキニージーンズを脱がない。
瘡蓋を敷き詰めたような
心に直接
この持て余した犬歯を突き立てられるのなら、
「俄雨を少しだけ細胞が受け入れるから。
「そのあとは轡を嵌めて。
 軽蔑したままで視ていられるように、


# legs


ハッピーバースデー、の葉月。
梔子を咥えて待ってたのに融けてしまった
明るい水音を立てて歩く切り傷だらけのオープントゥ
「傘は全部神様によこどりされたよ、
「双眼鏡と一緒に。
「汚い涙なんて矛盾を抱え込んだままで。
定点観測された噴水の裏にたどりつく
そして季節外れのオーナメントをひとつ
盗み出し
涼風を掬い上げて貴女は呟く
「大丈夫だよ。
 いつまで経っても言いたいことなんか
 これっぽっちもないんだから、


# membrane


「回り続けている、サウンドトラック。
泳ぐ
回帰する
強い相関を示して。
迎合しない暗がりで。
「遠心分離する、デジタルディレイ。
見守っていて、黒猫。
吐き出す溶解したモニュメントに
エーテルの底を映し出す
映し出すの、
「それは目隠しされた貴女の
 見る夢に干渉するべく、
皮肉と復讐に塗れたままの
リターン。


# throat


.


Peeping muzzle

  アルフ・O

 
 
- Sep. 16
銘柄不明のブランデーで
爪先まで記憶を殺し切った翌朝にも
貴女は体液を分けてくれという
ここ数日 決まった時刻 決まった部屋で
「その沸きあがった感情が欲しいの、
自身は其処彼処から
本来が誰のものともつかない念を漂わせて
硝煙に織り込み
繭のように纏うから
ひとときだって正気でいたことはない
あたしは泥同然となった身体を這わせ
蜜に導かれるかの如く首を絞めにいく
アルコールをたくさん染み込ませられるから
天使を独り占めした優越感に
黙りこくってお互い浸っている
唾液はおよそ秩序とは程遠い成分となり
ケミカルな色と香りを撒き散らして
ふたつのピアスの上で冷たい音を立てて
混ざった
窓の外から行進曲めいた
甲高い、スタッカートの効いた声が


“Rrrrattatataaarrrattatataata!”


- Oct. 2
幾ら勧めても
貴女はそのアンティークソファ以外は
受け付けないという
眠れないのだと
あたしはその肘掛の下で
ガスマスクをようやく外し
幸いにもまだ出番のないマシンガンを下ろし
うずくまる
湿度の低い沈黙が流れ
貴女はいつの間にかヌワラエリアの紅茶を
2人分注ぎ
肘掛にもたれて微睡んでいる

(この、双子星を、
「綺麗に断罪してくれるなら、


“Rrrrattatataaarrrattatataata!”


- Nov. 11
「投光器が根元から折れてる。
 もとより主戦場だったから生存するはずもなかったけど。
「弾薬の匂いを落とそうとするとさ、
 不意に海へ行きたくなるよね。
「“Flicker,” “I'm here,”
「……下手なんだからじっとしてなよ。
「結局最後までそんな評価なのね、
「どうせ消えるなら疎まれる幻覚も味方にして、
 離岸流で行方不明になってしまえばいいよ。
「ええ。信じて、信じないで、
 嘘も本当も半分ずつ溶かしてしまえばいい。

((そして、音も無く、))

(パワーコードに乗っかって酩酊
(ゴミみたいな流れ作業をこなせずに
(またダストシュートへ放り込む
『思春期同然の反駁ね、
『必要悪だって、強がってよ。
『スカートの七つ道具でさえもう用済み。
『今はバランスチェアにひっついてるけど、
(アンチドート、と唱えてみる
(貴女が音もなく倒れる
(それも両腕を広げたまま
(ひしゃげて飛び散って
───それでまだ私刑だって喚いてるわけ、
『いつも言ってんじゃん。
 餌をやる道理はないって、
『あーあ、また醒めてく。
『しょうがないよ、これはあたし達ふたりのために
 犠牲になってもらうための、リフレインだから。
 
 
 
 
 


Yellow?

  アルフ・O

 
 
美学を持ち寄っては時間が足りずに
瞼の下から腐って溶ける
しつこいサステインを延髄に磔て
操られたように関節を軋ませる
(ごめんね、
 種も何も出ないから寧ろ安心していいよ
互いに交わす斧は
首の皮すらまともに切り離し損ねて
意識ごと醜く脆く
折れた

逆算する感情はいつも
媚薬で埋め尽くされ
不純物を吐き出し漸く欠陥品と扱われる
挙句
悟性悟性と怒鳴り立てられ
(iconoclasm,
これは効き目のない呪文と化した
しまいには教祖まで自らを
偽物と断罪する始末

「死んだ方がいいー?
「この視線がお好みなら、幾らでも。
 もう独占はできなくなるし。
「海月を沈めた水槽を磨いて呑み干す、
「まだこんなに暑いのに何処で捕まえたの、
「生まれ変わったら絶対
 グリーンのアイシャドウが似合う人になりたい、
「拾い物だって
 消化液に浸ければ別物なのにね。
「狡賢さの集中力ロール用意、
「意外と運任せの道のりじゃないかもよ、
 演繹してこれは必然。

自分ですら
意味の読み取れない微かな笑みが漏れ落ち、

「咀嚼しないの、わざと、
「そのスイッチを押すことを、
 もう何年拒否しているの、
「……あ、もちろんミスリードだよ。
価値をよこせと喚き散らす
それはあたしらも同じか、と
悟ったところ
壊さないで
壊さないで、
その眼をそのまま
塗装の剥がれたジャズマスターの傍に棄てて
そのままそして
(意地汚くも夢を見させてもらった)と、
一方的に別れを告げる。
さぁ
その口を塞げ

行け 遣れ
血まみれで復讐を遂げろ
 
 
 
 
 


Violet pumps, stompin' the floor

  アルフ・O




(レム睡眠の内わけ、
渡り鳥とレンズフレア、
音をたてて、日向の風が凍る。
長すぎるマフラーに
貴女の声が滲んでは消え、
それに合わせて、ただ、
いつか覚えた
何処にもないことばをつぶやく
そんな、まひるのそら。

……そしてそこから12時間かけて
奈落を突き破って
ステージに叩き落とされる夢。
“Anonymous Prohibited,”
“With Blasphemy,”
「あたしたちに、そんな結論は要らない。
「認めて“あげる”側だった人間に
 そっぽ向かれる気分はどう?
──野良犬め。
 ええ、触れてみなさい、
  その指から解体してあげる。
「レーダーを探したって無駄よ。
「勝手に毒を食らって、
 勝手に絶命しては如何かと、
恩を売るなら相手が違うよ、
瓶詰のまま火口へ棄てて。
っと、いけない。
唆されるところだったわ、

煉獄からまた、暴力的な音量での通信。

(手を振る、
(其処へ落とす腐りきったリンゴ、
(今更驚くことかしらね。
“(neither) Gifted,”
「貴女の知る限りで良いから、
 魔法陣を埋めて。灰になるのを遅らせて、
(平等?
「知ったふうな口きくつもりなら、
 形にしてよ、
 あるいは無い物ねだりの片棒担ぐの?
(どれだけ抵抗を続けてきたのだろう。
(眠れる森。
 朽ちるそばから星の核まで根を延ばす、
(どこかで捨てなくて良いものを
 捨てたのは他ならぬ貴様等、
「補償する?
「なら、対価をよこしなさい。
「それがあたしの覚えている
 唯一の、ルールらしいルール。
──ねぇ、その酸素はいつ切れるの?

(……ド畜生、
(LEDで失明するくらいなら
(流砂に眼球ごとくれてやる。
忘れかけていた自分の未熟なる絶叫を誘発され、
思わず苦笑する。
「だってね、のーみそが必死に
 ダメージ拡散しようとしてんの、
 お互い解るんだもん。
「冠さえ被ってりゃ愛されるのになー。
(──切断。)
「真正面から熱を上げられる、
「それはあたしにだけ使える魔法。
(思い上がりだ、
「呑み下すカフェインの塊、
 血に混じって潮風に消えた。
「特定不能の合図。
「もう探さないでよ、むしろ。
(フォント次第で
 この声の印象も変えてしまえるのに、
「まだ手は繋がってる、って解釈しても?
(たぶん許されてる。
「……プレッシャー半端ないね、
「掻き消して、
(揃って冬眠するために。

(ジャンクを掴まされて喘ぐ冬に
 ハツカネズミは嘆く
 もはや鉄の棺を待つしかない我が身を、
「夢診断?
「そんな大層なものじゃないよ。
(そう、だから貴女でもいい。
 汚れていても血が欲しい、
「困ったなぁ。善悪の判断も人任せなのに、
“broken chord,”
「集中する神経に首輪を掛けて、
 奪い取って育ててよ。それが本望。
(際限なく吐きたくなるほどに)
「灯芯がもうすぐ絶えてしまうから、
(それであたしにはもう、
 無責任な声しか聞こえないの。
(“誰もが発言権求め 人はみな平等
 怠惰もいわく平等”──ふふ、
 その通りね、

「ユニコーンは絶対にあたしたちを襲わない。
 だって違う生き物だから。
「だから安心して股から血を流す、
“Peek-A-Boo,”
「イキってる割に“ソコ”はお粗末なんだねぇ、教祖様?くすくす。
「ほらほら、いつもの調子で唄ってみせてよ。
 声がよく通るスイッチ押したげるからさぁ、
──焼け付いた罪状が影を伝って追いかけてくる、
子宮に繋がる地下水脈を
蛍光タンパク質で染め尽くし、
呪いを薄めようと未だ足掻き続ける。
So, I'm just breeding you, murmuring
“You and me. both evil but that's all”
“We have the enemies, and also you have enemies”
「だからそいつらをぶちのめしたら、
  舞い戻ってあげるわ、
   本当の色と、 一緒に。

 
  
 
*Partially quoted from...
“AMATERRAS”(KARAKURI)
“The Crow”(a crowd of rebellion)
 
 
 
 
 
 


Evil Holy Raspberry

  アルフ・O




「今しあわせ?
「思考力失うほどには。
「浮腫む花の持つ意味も変わってしまうね、
「気にしてないよ。全部裏表だから、
「意味不明なんて知るもんか。
「沈む船からローレライ達を引きずり出して、
「笑ってよ、今くらい、
「正義の味方、残機99。もはや暴力。
「思想なんて聞く耳持たないし、
「だから認めちゃって。
  逃げる勇気もないんだって、
「予言者は錯覚を愛してやまない。
「それが彼らの言う可能性、か。
 やっぱり時間の無駄だった、
「あははっ、それじゃ出撃しよっか。
 冷却機関だけフル稼働させて、
 お揃いの刺青を対になる胸に施して、
「それが聖者の証だって嘯くのね。
「汚したくて汚そうとして未遂に終わる、
「その事実だけ槍玉に挙げられるのも
 よくあることで。
「トレブルの切られたこの声ではどうしても、
 伝えることができないのに、
 

 


2:12 AM

  アルフ・O

 
 
「飛ぶ夢をよく見るの、
「知ってる。落ちてくる貴女を
 受け止めるのは、いつもあたしだから。
 
 


Clockwork screaming kiss her kiss her

  アルフ・O

 
 
 
鳴る、
軋む、
爆ぜる。
私の中の、歯車が。
およそ誂えたとは思えない速さで
チクタクチクタクと
叫んでいる。
呼んでいる。
まだちいさな双子のように。
変わり身の、
正反対の、でも
揃わなければ朽ちてしまう
片方を呼んでいる。
くいちがい
くいちがわせ
遠ざけて
外して
それでもなお
私の壁を貫き祈るように
呼んでいる。
いつもよりも、遥かに強く圧縮する
内燃機関、
(あるいはルミネッセンス、のような)
重力を打ち消すのと同期して
私の隅々から
歯車が爆ぜる。
積み上げきった嘘とともに。

(プリンセス……否、私の愛しいキジバト、
 間に合って。どうか、どうか、
 愛と国とともに消えてしまわないで、
 どうか、どうか)

次々に爆ぜる
爆ぜる
届いて、
手を引かれて
落下する壁をかいくぐり
歯車はそれでも回り続ける
呼んでいる
叫んでいる
届いて、
(与えられた使命など、)
届いて!
白くなれ
白くなれ
離さないで、
白くなれ
白くなれ、
白くなれ!
壁を超えて
今度は貴女を
地に降りて迎えるために
──いつか、
重力に逆らわずとも
白昼の下で
並んで立っていられるように、

 
 
 
(Dedicated to Ange le Carre)
 
 
 
 


Underground Broadcast

  アルフ・O

 
 
 
過渡期だって言い訳すれば逃げ切れると思ってた
勿論それは単なる延命措置
舌足らずは罪を重ねて涙腺回路を誘爆することすら許さない

(知ってる?
 あたしの婚姻色は貴女にしか視えないの、
(不死身になってよ、

残留物不純物をバスタブに掻き集めてその中で耳を塞ぐ
何周目のループなのか
思念は大理石で乱反射して浴室は愈々ジャンクの海となる

「嘘つき。泡になんて変わってないじゃない、
 救われたがりのくせに。
「んー、だからこれは……
 ハマるとヤバい自傷行為、みたいな?

回収される 回収される
賭けてなお挑む暁は此処からが本番 見逃さないで
後には粘性を持て余した情報の欠片が無秩序な統合を始める

(つまりは上位互換。
「ねぇ、もしかして関係ないなんて思ってる?
 すり潰すよ。ナメた真似するなら、
「解ってんでしょ、計画なんて計画通り進みっこないんだって、

それでも闘う、と、抑制する鈍らな牙に
これからやることは全て裏目などという呪い
掌を開けないまま這いつくばって
どうでもいいからさ、貴女の金の翼を頂戴よ。

「首だけで夢でも見てればいい、
(怒り、苛立ち、自尊心。)
「大口叩いた割に消える時は一瞬だったね。カッコ悪。
「軽さ?価値の軽さで言えば
 その隠したメモに勝てるものなんてないわ。異論ある?

立ち向かいなさい、と、背に幾度も鞭を打たれ
“伝令”の名を持つ彼女の分身に全ての願いを預ける
愛の 愛の 愛のため、
意味がほどかれなくても、それはそれで、

機械の少年の声、加工して展延してなおも摂取し続けて、
(どちら様、庭の骸を踏み荒らすのは、

「彼等の瞼を下ろすのだって数えるのを諦めるくらい。
(破れたワークブーツ、何十年も形見として、
(この身体が調和するはずだった時計の針から
 縫いこぼれた色を拾って息を継ぐ。そんな自罰。
「揺られるのは惑星、真夜中の。中心に捧ぐ、
(Hello

 
 


Needles

  アルフ・O

(吐きそう。)

 「次の離陸まで人工衛星とともに回るつもり。糸の切れた風船のように。獣じみた砂糖菓子の包みをひとつ、ふたつ、発射台に丁寧に重ねて導火線を擦ったら最後、竪琴の弦を切る為だけにのばした爪が爆散して甘く苦く日付変更線一帯の大気を支配するだろう。そしたら貴女を連れてありあまる魂を盾に概念の棲む虚空へ跳ぶ、跳ぶ、滞りなく。邪魔しないでって抵抗されるのは当然解っているけれど、灰になるのが確定している以上、せめて最も有意義な方法で迷路に風穴を開けたいの。理解して。

(あやめる、)

 『これは生きることそのものへの叛逆なんだと認めて、だけどプロトコルなんて存在しない。「君たちは全員閉鎖回路の末端分子なんだ」などとマスターの遺言じみた演説をうっかり聴いてしまってから、瞳の色は一定しないし遠近感は日に日におかしくなってくるし、で、いっそのことこの全身の火傷の痕から古い童話みたいに猛毒を帯びた体液が死ぬまで垂れ流され続ければ幸せなのに、って妄想してる。今やあたしには、殺めるべき相手もいないけれど。彼女に逢いたい。誰よりも速く、叛逆を完遂した彼女に。

(Piece of art,)

 例えばデニムパンツにTシャツ1枚で日本刀を担いで立ち向かっていくような所業。……ってまぁ、実際正装はそれに近いんだけど。臍の下で収縮と発光を繰り返し絶えず存在を主張する蜘蛛の刺青は、もうその色が紅紫を呈し始めてから幾年を経たのか誰も覚えていない。烙印を施した当の雇い主ですら。このビルを不良サンプルもろとも解体している間にも彼は私と共振させるための電子ドラッグを飽きるほど煮詰めていることだろう。方々から強奪したり取引したりあるいは探り当てたりした素材を、常人には理解の及ばぬ調合レシピで惜しみなく融かした結果、寿命は毛ほど延びた程度に過ぎないがQOLはもう誰が見ても嫉妬心で気を失うくらいなのは認めざるを得ない。……帰還してからの新しい皮肉を用意しておかないと。つと眼を伏せ、無駄に潤いを増した長髪を振り払い、耳の奥のホムンクルスに限界までオーバードライブを踏ませる。慣れた金切り声、

(───Injection.)


Smells Like Betrayer.

  アルフ・O

 
 
 
それなら無限にガラスを割りながら
時間を精製していくことにしようと誘った
(何も亡くしていないと暗示
幕を引くことだけに躍起になって
ぶち撒けた吐瀉物を見ないフリの元老院
体良く無視するのもお約束だから
ここで気がついてあげる
精製した時間を肺の奥に押し込めて
「効果のほどは?
「多分そこそこ。もしくは上等、

安売りするほど血は残ってないのよ
汚れた旋律が少しだけ見えれば満足?
それとも同じだけ
意味をなさない文字列で逃げるのかしらね。
変態。
(inside, outside,
 (my baby crown,
  (it's a kind of cure for you,

振り切って此が答えだと思う様後ろを向く
潔癖に過ぎるのはお互い様だろうと
壁を重ね
踏み抜く
だって
そうでもしないと理解すら出来ないまま
彼等は天使の皮を被り続ける
その妄想が消えないから
レンズを壊す
それくらい簡単な印象で
『願クバ、ソノ呪イガ貴方ニ跳ネ返リ、
 一切記憶スラ残サズ雲散霧消センコトヲ。
 
 
 


手放しでしあわせになれないヒトたちへ

  アルフ・O




挑発
挑発
また挑発
喩えるならギザ十の山から
いたく了見の狭い
当人にとっては深淵を覗くかの如く
その怯えた眼が
此処からは面白いほど良く視える
(Yes, I'm Flicker,
相討ちで済めばいいのにね。

寸鉄だと思って拵えたそれは
ジークフリードが指で弾いて消し炭になった
崩壊する言語中枢、と、
(馴染まない解読者の睾丸
空間を攀じ登り制圧した蔦が
前から後ろから一斉に開花を迎え
真ん中で拘束されたそれを無限に搾取する
で、反応を再開する言語中枢
(Big crunchからの、Big bang
……あーもう、あなたがたはもはや
エサにすら足りないってさ。
(The things will never be seen anymore,
そしてこの物語が全く求められていないことだって
百も承知と
画面を叩き破り
種の保存を試みるのだ、と

(ボクのミサンドリーを差し引いても
 云えることは唯ひとつ、
 貴様らは吐精する以外に能がない。

 せいぜい、何処やらへの着床を夢見て
 毒を浴び続けるがいい、
             )

空は人間であった頃の記憶
永遠を真っ向から否定しては咲き乱れる信天翁
幾つもの長い長い軌道の果てに掴んだ旗はそのまま
衛生砲の理解を超えて女神の視界に届くほど
その全身を震わせている
時空を超えた恋人の如く。

(どうせお互い無機物であるならば。

砂になれ
マグマになれ、と
統率を失った細胞が次々に喚く
黙って代謝を続けているがおそらく次の雷が限界だろう、
然らば問う
火傷もしない手をいつまで隠し続けるのか
救わないのは果たして誰の咎なのか
(って、マジで聞いてないよねどう見たって。
これが最後、と全員が全員
嘘をつき続けて
幾年経てばきっと
望まれた調和の世界が此処にも、
 

 
 


Dryad

  アルフ・O

 
 
 
自ら朽ちようとする意志に
用意していた毒舌の多くはその毒性を
ありふれたものに変えて沈む
赤紫の闇へ
疲弊したモチーフにスラップバックを
産まれたばかりの絵画に祝福を
「やーいやーい、にんちてきふきょうわー。
『やーいやーい、にんちてきふきょうわー。
「やーいやーい、にんちてきふきょうわー。

……そっかー。
ポンコツは俺/ボク/あたしのほうだったかー。
あっはっはーだ。
「で、ともかく最後まで付き合うけど、
 危うく死にかねないプレイは別料金だからね?

「そう、延々と降ってくるのは貴方がたの不始末。
 そしてあたしたちは、無遠慮に蔓延る
 それらを、
 消化しきれないまま延々と生を全うするのだと、
無言で拡散し続ける。
センセイたちの真顔が少しだけ崩れて
ものすごい勢いで顎を掴まれる
あたしたちは平然と分裂を繰り返し、
都合のいい真実で一斉に敵の呼吸を止める

鐘を13回打った彼女が
外套を翻してこちらにゆっくりと跳び降りてくる
「綺麗な、ブーツ、
「せめて声帯だけでもシャッフルできたらいいのにね。
 技術ならあるのに、
「時空だけじゃ不足?手厳しいなぁ、

「早くしないと、
 こいつも裸なのがバレちゃうって、
「それって致命傷かな?
朦朧とした意識で
枯木に繋がれたまま犯されたあたしは、
最後の抵抗で犬笛を吹く
時がこのまま凍りついてしまえばいい、と

「どうすれば上等の太鼓持ちになれるか、
 せいぜい俺を見て学ぶんだな。
「心配すんな、
 今に貴女の偽られた墓標だって
 お仲間達の記憶から葬り去ってやる、

あぁ、おめでとう。
───そして遺された僕たち/あたしたちは、
次々に望まれざる鬼子を孕みました。
産んでは棄て 産んでは棄て
いつしかそれらは勝手に親の体積を
追い越していきました───。

 
 
 


眠りの季節

  アルフ・O

 
 
 
君たちは知らないだろうけれど
眠りの季節というものは確かに存在する

絶え間なく毒矢を浴びてきたその在り様
そこに内側から矛盾が生じる頃
そんな時に顔を出す
ぐうの音も出ないほどに鋒(きっさき)を叩きのめすべく
意識の裏側に張り付いている

そして
これから先 逃げ道は余計に複雑になる

君たちは知らないだろうけれど
眠りの季節は存在する
必ずくるよ だから
探しておいで 時の止め方を
 
 
 


Satellites

  アルフ・O



 
デブリを撒き散らしては
枯れて芽吹いてを繰り返す
そんな生物なんだろう
(いっつも思う事だけどさ、
 「食う」って表現、
 あれ食われてるのはこっち側だよね、)

明滅するんだ
脳の奥底の星が
何をもたらす訳でもなく
理性の壁を引っ掻いて
中も外も汚していくんだ
思考は沼に沈んで
嘘ばかり吐かれ続けるから
気持ちよくなんてない
醒めた時はいつだって飢えてるよ
だからって許してなんて言えないけど

デブリを撒き散らしては
死んで産まれてを繰り返す
僕らは
そんな生物なんだろう
(見つけないでね
 二度と死ねなくなるから




*As the answer to the wandering dark star.
 


肋骨

  アルフ・O

 
 
 
ねぇ 多分
この肋骨に埋まったファスナーは
君に開いてもらわないと意味ないんだ。
いくらお揃いの宝石を欲しがったって
最後には誰かが能動的に
使わなければ意味はないのさ。
びっくりした?

「不安にさせてどうするの」って
君は問うけど、
離れていく人にかける情けは無いよね。
花火を燃え尽きるまで掲げるだけさ。
ほら、信号の点滅が止むよ。
 
 
 


Tag, You're It

  アルフ・O

 
 
 

(つーかまえた、つかまえた♪)

泡の外側を反時計回りに回る
皮肉交じりに吐いた愛の言葉の断片
集めたポストカードがひとりでにボクを取り囲む
その感覚に、また疼く裂け目へと手を延ばす
あとから買った、カンバスに描かれた半裸の少年が
すべてを見張ってる気がして

(つーかまえた、つかまえた♪)

趣味の悪い自浄(自傷ともいう)行為だ、
って自分で断罪しちゃってどうするんだろう
心臓を刺すこともできないくせに
鏡が多ければ良いって問題じゃないさ
破れたTシャツに、貴女は自分をなぞらえて
キッチンで崩れ落ちそのまま3日眠り続ける

(にがさないよ?)

「もはや会話ですらない、って言ったよね
 だからウイルスソフトで綺麗にしたよ
 ナイトプールに行こうよ
 お揃いの黒の水着でさ
 間接照明がボクたちふたり以外の眼に
 スクリーンを掛けていくのを夜通し眺めていたいな
 お互い以外を拒絶する隙間を分け合ってそのまま
 このワンルームに帰ってこようよ

(こわい、かお。)

触ってるうちに空白でいっぱいになっちゃってさ、
保証期限の過ぎた身体というのは嘘じゃなかったんだな、って。
ck oneでもBVLGARIでもMARC JACOBSでもChloeでも
纏ってしまえば一緒だって無茶苦茶なことをいう
その必要もないくせに
眠くなるまで喋り続けたなら
もう捕まっちゃっても良いかな、って結論にしよう
外注したリビドーは、脳血液関門だって簡単に黙らせちゃうから、

(ぎゅっ。
 
 
 


Fanfare stomps and landslides will occur

  アルフ・O

 
 
 
I hate the parade
I hate the parade
The sound of trumpets brings me desolation
and the line of drums seems to refuse me

I fear the mountain
I fear the mountain
The color of the forest makes me insane
and the river at the valley is so horrible

Today
The fanfare stomps
and landslides will occur
I know
It is unavoidable
and I have to overcome all of them


パレードは嫌いだよ
パレードは嫌い。
トランペットの音色でボクはみじめになるし、
太鼓たちはボクを壁の外にはじき出そうとするから。

樹海は嫌いだよ
樹海は嫌い。
だって強すぎる緑がボクをおかしくするし
そしたら沢の流れにも怯えなきゃいけないから。

今日は記念日。
傲慢な楽器たちが
のさばる自然への叛逆を完遂する。
笑うしかないよね、
戦場にボクも放り出されちゃうんだ。
死んだら感謝してよね?でも、
生き残っても、恨まないでね?
 
 
 


Here Comes the Morningstar

  アルフ・O

 
 
 
憑依するにも根本で食い違ってる
仕方ないからせめて目元と唇に
藍と紫と碧色を塗って
「立入禁止。
「立入禁止だって。
千切って捨てる程の肉体ならこれでもくらえ、と
2人分の呪いを、ボクをチャネルにして昇華
多分
手の甲に蜘蛛を宿すよりは健康的だと思うよ。

(うでをたたんで
 まあるくなって
 おやすみなさい
 またあうひまで

(──二徹後の悪夢に
 臓器を上も下も限界まで振り回されて
 でも半分現実が紛れ込んでることに気づき
 ただうなだれている
 「ヒーリング錠どこー。
  ブームで品薄なんだから買い貯めといてくださいよぉ。
 ……これはとりあえず伝わっただろうか、

(なんて無防備な逡巡を繰り返しているのだろう。
 100パーセント嘘だなんてあり得ないのに、

「他所を向かないで抱きしめて、よ、
背中一面が猜疑の目に覆い尽くされたような
どうして弱点を増やしちゃうんだろうねボクは。
鈍くなれたらよかったのに。
今心がけたって遅いよ
背骨にワイヤーが埋まってるんだから。
そして
腹の底で鳴り止まない
何十年も前のほろびのうた。
情念のうた。
裏返しの慈愛のうた。
実体がない故に、焼却炉にも投げ捨てられなかったうた。
意味も知らずに震いつくしかなかったうた。
毒消しのように
レインコートを纏い叫ぶロックスターをダブらせたり、
形而上で誰かの四肢を切り刻んだり切り刻まれたり。

……あー、
信じてもらえないだろうけど絶望しちゃないのよ。
だって、完全な拒絶にまではリーチしてないからさ。
変身願望も、捨てたもんじゃなかったな
こうしてまだ羽を休められるのなら。
ジャズピアノが味方してくれてる、
おかえりなさいって、
だから、

ボクの所為で、不幸になってよ!
ボクの所為で、不幸になってよ!
ボクの所為で、不幸になってよ!
ボクの所為で、不幸になってよ!
ボクの所為で、不幸になってよ!
ボクの所為で、不幸になってよ!
ボクの所為で、不幸になってよ!
ボクの所為で、不幸になってよ!
ボクの所為で、不幸になってよ!
ボクの所為で、不幸になってよ!
ボクの所為で、不幸になってよ!
ボクの所為で、不幸になってよ!
ボクの所為で、不幸になってよ!
ボクの所為で、不幸になってよ!
ボクの所為で、不幸になってよ!
ボクの所為で、不幸になってよ!
ボクの所為で、不幸になってよ!
ボクの所為で、不幸になってよ!
ボクの所為で、不幸になってよ!
ボクの所為で、不幸になってよ!
キャハッ!
キャハハッ!
キャハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!
 
 
 


Show Me Your Fact.exe

  アルフ・O

 
 
 
「黙りなさい。

ボクがよく知る魔女の顔で君は叫ぶ
ミスリードを気にも留めずに
それを右眼のコンタクトに記録している
所詮年老いた情弱どもの慰み

「もっとまともに演技してよ、

矛先の拡散した苛立ちが
ディレクションに滲む
解ってる
ボクだってこんな売り方したくないから
契約にない部分はせめて目一杯
事実を増幅させて塗り固めてやるんだ、

「で、自分から怒りを摂取しに行って
 結局何がしたいわけ?
「そんなのわからないの、

(Please don't kill me softly,
(そう、貴様らが掲げる闇など
 束になったところでたかが知れている
 それを認めなさい さもなくば
 自らの死の舞踏で徒らに
 衰え朽ち果てることになる 私たちに
 この塵芥ほどの影響すら与えずに

     )

自己矛盾の筏を組み上げて
異国にしか居座ったことがないと嘯く
嘯く 否 嘘じゃない でも
それを言い出せば石ころすら踏めなくなる

事実なんてまともに使えなければ
ボクらにとってはただの燃料と同義。
少し膨れた太陽に、
胸の針を引き抜いてかざし、人でなくなった証を

(実行ボタン。

終わらせたい
あぁ終わらせたいさ
この悪夢を終わらせたいんだ
鍵付きのチェストを投げつけ
逃げ切り奪い尽くした輩に
呪いを千倍にして返す
それが
それこそが事実だっておそらくは
誰もが知っている終わらない
このアザミ達と同様
(今更他人の魂擁護して
 あわよくばその身勝手な美学のために
 鏡像破壊でもするつもりか?自分の触手でも食ってろよ。
バリアの中に押し込まれたボクらはただ
息を潜めて
息を殺して
同じ卵から這い出たさだめに、従う、
聞かないふりの外の情弱どもに
声だけで纏いつき暴れるよう、従う。

「黙りなさい。

つくりものの顔が笑う
 
 
 


Paralyzed

  アルフ・O

 
 
 
(とっても個人的な話をするよ、

彼等の理解が即ち無理解ということを悟ってから幾年経ったか。肉体だけじゃなくて精神にまでバリアを張られるどころか根性焼きまで初めて食らってから幾年経ったか。兎角この吹き溜まりにはあらゆる意味で資源が流れてこない。誰かの自業自得を強制的に引き受ける形で。当然秩序からも程遠いからたまに通り過ぎる人が鉄骨の美しさだけを評価して足早に去ってゆく。知らなかったけれど地獄行きの切符が毎朝そこのダストシュートから溢れかえっているのが、運が良ければ(悪ければ?)お目にかかれるらしい。勿論未使用の、ね。
区画の隅にねじ込まれたように建っている詰所の戸を蹴り開く。よく育った海月がいる。身体を預け無理やりに意識のスイッチを落とす。

(何の話だと思ってた?
(今や劣化が進んでいいだけはつられた記憶の自動翻訳だよ、

 
 


The Variance

  アルフ・O

 
 
 

見かけ倒しの幸福論を
羽の生え損なった構成員たちに据えて
女神は叫ぶ
がらがら声でわたつみへ叫ぶ
肉体を仮託したあたしたちは示し合わせたように
未完成な全ての門を閉じる
 
 
 


磁場を形成する羽根

  アルフ・O

 
 
 
ボクにとっての素敵なモノ
それは立っていられないほどの熱
手に入れた魔法を渦にして
無秩序に分配してゆく
半端にモラルを伴った人たちの足元を
かいくぐって
這うように魔法を滑らせ分配してゆく

“Don't worry, you isolated girl,”
磁場を形成する羽根の導く先まで
細部に言及する兆しを振り払う

“Don't worry, you isolated girl,”
もはや追いつけなくなる寸前の循環から手を離して

ボクにとっての素敵なモノ
鋏で短く詰められた時間
どの次元の軸にも属することのないまま
核を失った無い物ねだりは続く
 
 
 


ありあまる時の聲

  アルフ・O

 
 
 
黙っているのが正解なのかと
仲間などと称する輩へ問いを投げつけ
致命傷を負わせないよう互いに神経を削って
終わりの見えない唄を絶つ
「ごめんね、
「やっぱり彼等から学ぶコトなんてないや。
「次第に速くなるリムショット、
「そして痙攣、
ありあまる時の聲が反響する

眠気覚ましを摂取し過ぎた水曜日に
鷭は前史の夢を見るから
致命傷を負わせないよう互いに神経を削って
終わりの見えない唄を絶つ
「ごめんね、
「やっぱり彼等から学ぶコトなんてないや。
「次第に速くなるリムショット、
「そして痙攣、
ありあまる時の聲が反響する

虫喰い、虫喰い
回折して惑わす真理を突然変異が嘲笑う
(そっちの水は苦いぞ、
(こっちの水は甘いぞ、
白黒蜂蜜の三点セットで
彼等が二度と到達しない真実をチラつかせて
僕達は次に向かうんだと
「もう、近寄らないでって喚かなくても、
「続けて、
「思い通りに腐っちゃった。脱いじゃお、
「蜘蛛の巣。
「だって残り時間は3倍以上あるんだし。
 無視していいよねこのアドバイス?
「抱かれて漏らしてしまった花粉を、
 あたしはそのまま、
 咀嚼しなければならない。
「生命って感じがするのこの匂い。
「まだ動くの?
 お古は視界の外に繋いでてよ、
「漂白。
「漂白。
「必要悪としてのノイズ、

ありあまる時の聲が反響する
 
 
 


Burning petals fall into the huge well

  アルフ・O

 
 
 
君らは直ぐに
裏を取りに奔走する
感情的には間違ってないけどもうたくさんだ

君らは直ぐに
ありもしない施しに縋る
本能的にとても正しいけど
代わりに地獄に落ちた僕はそれなら
とても強いって考えてるんだね

ここからは見えない
幾万幾億もの閉ざされた扉
締め出された動物たちが全て
正気を失ってこの庭まで駆け寄ってくる

撹乱の絶えない土
何度も何度も踏み荒らされた土から
数え切れないほどの月日を経て
数え切れないほどの花が咲いた
今 そして僕は
そのいくつかを抱えてトーチに見立て
羊飼いであることを辞めようとしている

トーチの光をめがけて
動物たちが相変わらず突進してくる
残念だったね
庭から続くこの階段は 今や
人間以外が足を掛けようものなら
もれなく崩れて呑み込んでしまうのさ
施しはもう終わりだ
あとは君らでなんとかしろ

……それでも
最後に敢えて言うよ
這い上がって来い、って
その力があるのなら
そこからでも振り絞って来い、って
優しさを
全て突き放した声で
 
  
 
 


Speed Kills

  アルフ・O




「概念を手繰る線の上から、華麗に落下する、
「今くらいは、“ことわり”に意識を預けてかまわないかなって。
「酸欠を誘導する、そのスピードをふたりとも超えてゆけるのなら、
「必然性の海を廻る幼い細胞たちへ、誰よりも遅い祝福を。
「そして発火点に、彼等のどうしようもない呪いだけが残る。完璧。
「───いい気味よね。はっきり言って、
(wave.)(shut out,)
「虹色の蛇にこの穢れを託して、生殖能力も何もかも捨てて、
 あたしがここで守り神になるの。今決めた、
「異存はないよ。金輪際、壊疽が到達しなくて済むならね。
 知ってのとおり、僕等───否、彼等は、
 呆れるほどに身勝手だから。
(shut out.)
 


Today

  アルフ・O

 
 
 
気づかない
気づきたいよって
何にともなく手を振る

貴女の声以外は全部
聞かないって
宣言する

「あたしのこと何も知らないくせに、
 勝手に雨に打たれに走ってさ、

種が殻を破る
私たちの時が始まる

この空に 異なる種を宿すこと、
 
 


Alter Ego

  アルフ・O

 
 
 
それこそ機械に考えてもらえ、と戯ける
両立できないなら降りかかる雑務は
並べて悪にしか成り得ないのだと
(汗の量が減らない。
空想の輪郭を二転三転しながら
売り飛ばす手段を何十年も何百年も考え続ける所業、
「さて死んだのは誰なのか」
喧嘩をばら撒くコトすら
たやすく考えがちな少年少女に憑依して
逃げ道を絶ったように見せかける術も堂に入ったもの
「さて死んだのは誰なのか」
恥ずべきとは笑わせる
持って回って馬鹿な手間をかける大人の真似など、しなくて良いのだ
それこそ機械に考えてもらえ、と戯ける
「時は流れた、
君たちが手垢を忌み嫌わずに済むほどに。




*7行目および11行目について、池田晶子「墓碑銘」より引用 
 
 
 


Eve

  アルフ・O


 
 
僕は貴女のことは知らない
でも
同じ子宮を持って産まれたことは知ってる
その鉄塔を含む景色も
麦の焼ける匂いも
何月何日の夕方に雨が降った
そんな瑣末な記憶すらも
風を伝って受け継いでいる

何処にいたって剥がれ落ちる組織
その生命活動として比喩する間すら
顕現したばかりの余所者の概念が嘲笑って
僕と貴女とそれに連なる幾多の記憶を上塗りしてゆく

「聞こえる?
「星の胎内までは私が案内するわ、
 君が望んでくれさえすれば、

貴女のことは知らない
同じ子宮を持って産まれた
その事実だけで
世界を肯定する理由は流れて止まない
 
  
 


邪道幸福論(Theoria)

  アルフ・O

 
 
 
存在がだぶついてるから
気にくわないね
いけ好かないね
湯水のように魔力を滔々と放つその所作が
奏でる音色は
無条件の夢を前提とした
見るも無残な毒の沼
(冗談じゃない私は帰る、

不運は受け付けないから
気にくわないね
いけ好かないね
貴様らの祈りに付き合わされるくらいなら
なんて、どうしても逃げられない
湖の淵で誰も気に留めない
涸れた生命をさがす
(矛盾に引っ立てられる、

(蛇の道は蛇、
(求める素振りさえ、貴女は、
騒々しさの裏で溢れる時の奈落
(必要ないなら遠慮なく回れ右してね。

見捨てられた、要らない答えを集めて、不特定多数の敵になる
ラーニングしたことの全て
 
 
 


III

  アルフ・O






「止まり木になりたい」が口癖だった
通り雨を待つ明日
針よりも細い月を狙う
春にしがみつく無垢なる身体
ハート型の神経衰弱に
1枚だけ黒が混じる
ざらざらと溢れる
粘液の多くは回収されず
それでもまだ生きることは
許されている


某月某日 快晴
そんな昔の走り書きを見つけた
今日の天気と重なって
そのまま日記に貼り付けようかと思った
よく考えれば自分が
惨めになるのは当然の結果だった
それを無理やり納得せざるを
得ないことも
今 会えたとしたら
あなたは何て言うだろう
どんな言葉だったとしても
多分ちょっと笑って
返すと思う
あなたの何を嫌いになったんだろう
ささくれだった胸の内
それと呼応するように
雨雲が東から伸びてくる
今 会えたとしたら
あなたは何て言うだろう
どんな言葉だったとしても
少しうつむいて
多分ちょっと笑って
「おかえり」って続くのを
ずっと待ってる



“Eli, Eli, Lema Sabachthani”
【^/
扱える武器が足りないと嘆いて久しく
二人の身体の中で暴れないで
救いを求めるだけの業を抱えるか否か
「振り向かないと知ったなら、
 さっさと寄越せよ、って言ったのに
錨は長く冷たく、
記憶は混ざるばかりだ。
愛を与えるだけの血を有するか否か
(偽光に縛られたまま静かに眠れ、
 二度と醒めないように。
そう、過去に呪った。それは憶えている、
(cyanosis,
あぁ、これからは腐敗した記憶が吐き出す、
絶対に私たちに味方しない
事実の氾濫ばかりだ。
(drain away,
役立たずの血を棄ててしまえ。
外来の化学物質が誰にともなく呟く
体温は下がってきて
神経尖らせた方々に噛み付く隙はない
滅菌されるような管理ではないこと、
蛋白質の融ける匂い
生存からあぶれる
式蜘蛛を燃やす
「淫血症、。
灯は虚ろに面を覆い、叶わぬ時を還す。
その記憶。
蜘蛛の記憶、
--.
「根が張る、
「うん。
「石畳の下に根が張る。
「なにが、
「ほとけさくら。
「え、
「この木。ほとけさくらって云うの、
 千年近く此所に%居座り続けてる。
「下には屍体が埋まってるとか、そういう、
「うぅん、いるのは胎児。
 ここの亡骸たちは、
 みんなこのさくらに、みどりごを
 人質に捕られてるの、
「どうして、÷
「知らない。気に入られたの。
「赤ん坊が土の中で育つの、 \5^
「見なさい。
 腹の中/外のちがいはあれど、+
 そこかしこに眠っているわ。
 ──いずれ、あたしも。
「いつさ、
「遠くない将来よ、
#\2>○
 この躰にやどれば、それと違わず
 さくらの根にも。
 そうして、地上の子供から、肉親から、
 思うさま精を奪ってゆくの、
「それを知る君が、気に入られるもんか、
「気に入られたからこそ呪うの、もう遅いのよ、
「そんなら、その呪いに加担する。
「──来て。
   |\^,][::
「君の背中に、みどりごたちが光を放ってる。
「きれいね、
・<>5|.,)$

……ね、
行き過ぎたって
(焼け焦げたって
知ってるでしょう
(知らないでしょう
ただじっと待ってる
(暴れ終わるのを
  眠りに就いたなら
   胸にさしてあげましょう
何よりも正直な
蠱毒の針を深々と
露命の羅針盤を
(反羅針盤を、
夜叉に繋がる鎖を解く
浮かぶ側から沈んでゆく

<-Who may circulate us,->
「愉快犯相手にドコまで本気になる?なっちゃう?」
《……ね、繰り返すけど、そんな貴方の眼の前で街灯を捻り潰した女の子が分裂して、なおかつ両方とも血を吐いて突然死んだわけ。プラスチックな所為だよ、根性入れて拵えたらしいこの通り全面がさ。そんでさ、蘇生法は習得してるのかしら。まさかコロッセオで何も学ばなかったわけじゃないよねそんな場所じゃないなんて言い訳は通用しないよ。そこのジープ乗り回してる4人組からオートマチックの一丁でも分捕っとけば良かったのさ毎回毎回陳腐だ陳腐だってそこから一歩も動かず一ミリも考えずガタガタガタガタ吐かすくらいなら。掌硫酸で焼くぐらいしないと正気に戻らないのかな他人に溜め込ませたヘイトを引っ被る気分はどうよ。ええ。それに貴方の用意した船だってそうだ喫水線がまるで見えやしねぇ。中で泣きながら歌ってるぜ雇われたハーピィ達がバイオリンの声を隠しながら。いずれ気道も塞がれて貴方が仕組んだ子育てゲームが自壊するのもそう遠くないさ。狙ってるんだろ、彼女たちが、銘々積み上げていったスーツケースも一緒になって腐り果てた血の匂いを纏い始めるのを。せめて名前ぐらいつけてやったらどうだったんだよ。どうせ拾う気がないなら最初から手を出すなってんだ。》
(Fool enough to blame yourself, abandoned your head. Fxxk off, you shallow w---.)
『で、改めて問うけど世界をどう解釈するの?』
</-Who may circulate us,->

「今、壁の向こうで
 冬の花火が上がるから、
 逃さずにプリズムに閉じ込めるの。
 貴女の想う何よりも、
 遥かに高い場所で、」

軸を持つ者全てに戒厳令を
決して止まらぬよう号令を
帰らぬ者全てに魔女狩りを
決して残さぬよう声明を
未だ震えて待つ
暴れ終わるのを
そして
眠りに就いたなら、
今度こそ刺してあげましょう。
あげましょう。
あげましょう。
あげまs


●擦過傷●刺創●汚染創●咬傷●挫滅創●広範囲熱傷
 

 


Cleanser

  アルフ・O





「雨雲を思うさま吹き飛ばして
 (得られた景色を僕にも見せてよ
 長過ぎる肯定までの道のり
 長過ぎるその先
(...Frightened wizards said,)

そうやって、
彼女が転生の祝詞を仕上げて出て行ってから
キャラメイクは概ねSTRガン振りになった
種族はエルフ
瞳の色は深緋で固定
特にそこに意味はないって悟られぬように

「貴方たちがついてこようとしないからだ、よ。」
【ハロー。
 ハロー。
 ハ、ハ、ハ、ハ、ハローー。】

(理解の果ての果てでスカートを蹴り上げている、
(それはお前のものじゃないと諭す、
(粗雑極まる正当化のメソッドに慎み深い一撃を。
(貴方がたの理論武装よりは継ぎ接ぎ少ないのは確かだね。

……結局いつだって、こいつらにトドメを刺すのはあたし。

さぁ、
掃き出してしまいましょう
救いと嘯き大勢が残していった
唯一のプロトコル、とやらの顛末を
(結局あたしからぶっこ抜いただけだったね、
(ステータスがリアルと連動してること、
 常識になってくれればいいのに。
説明されたところで
彼等は言い訳探しに終始するのはわかっているけれど

「試すか?どっちが先にロストするか、
「交わらぬ世界にいつまでも夢を見た、老いた輩の後始末、
「だからこそ、この特異点は彼等の誰にも見抜けない。そう、誰にも、
「バイバイ、回復魔法。
「バイバイ、補助魔法。
「バイバイ、空間魔法。
「リンクの途切れた朝と夜を幾千繰り返してその心から錨を降ろす、
「試すか?どっちが先にロストするか。
 ……なんて、もう分かりきってるのにね。

次は、次があるなら
運ばれてくる生贄をひたすら生き返らせる
娼婦でありたい、と、

(ね、だからさ、
 的になれよ。あたしの。
((的にしてよ。貴女の。




 

文学極道

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