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作品 - 20170627_222_9709p

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夏越の祓

  atsuchan69

数多(あまた)の田は
既に水が張られ
夜ともなれば蛙が鳴き、
やがて狂おしいほどの肌の火照り、

野鯉を釣った後の
烈しい血の騒ぎも抑えがたく
儀式は、六月のうちに
さも義人を装って

氷室の白い塊りを
派手なゆかたを着た妻が砕き、
削った荒い氷の欠片
酒は微かに牝の匂いがする

生暖かい闇に
冷たさの角が光る
――夏越の祓。
水無月豆腐を肴に呑む

ひとり縁側で
碧い硝子の器を舐めると
じんわりと汗が滲み、
腕や太腿をやぶ蚊に刺された

あ、あれは土間からの水音 )))

杉の盥(たらい)で踊る、
巨きく真っ黒な魚が一匹――
きっと明日にも捌いて
ふたり、酢味噌で食べよう

文学極道

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