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作品 - 20170419_124_9559p

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吾輩は猫である

  鞠ちゃん


吾輩は猫である
生まれたときもらったのはある星の名前だった
唯一無二の存在として吾輩は存在しているのだから
あのアイドルに似てるねなどというのは
言語道断の侮辱であるが
吾輩の名前を特別にそなたに教えてあげよう
特別であるというのは
秘密だよと耳にささやく少女たちの約束に似て
そなたの耳をとろりとするだろう
愛を知れと願いながら名づけるならば
すべての名前は祈りだという
愛という祈りが空に咲く花になるとき
泥を食らって蓮がその首をもたげ空を目指すとき
涙が頬を洗ってそれは吾輩が生きるときである
吾輩は雨上がりの花となり
吾輩は夏の夜にそなたの記憶に残る弾ける花火となり
吾輩は尽きるまで燃える星となり生きる
吾輩の生まれた土地には
幸福を希求する権利が万人にあるそうだ
それは幸福になる権利ではないのだろうか?
すべての名前が祈りであり
祈りの花が思い思いにその首をもたげて
無数に咲き誇る野原がある
それが地球である
祈りが神輿を担いで草木、空へ伸びている
神輿に担がれるのは愛であった
愛の女神よ
人の化身よ
それはほんとうは人だ、人だ、人だ
吾輩はずっとこの神輿を担いでいたい
愛は無尽蔵を、万能を夢想する
子供を守る母の顔をして
何度も何度も立ち上がる
風に吹かれていこう
闇に灯る星に焦がれて蛍になるのだ
そんなのもいい
灯りたい灯りたいと願え
飛びたいと願った恐竜は始祖鳥になり
今はあの梅の梢に留まる
ふくふくと丸く優美なメジロだから
さて、野良猫諸君
君の名前を聞かせてくれたまえ

文学極道

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