白い花弁に滲んだ色は、
褪めた肌の哀しみにも似て
わずかな岩の裂け目へと根をつけた
くらしの危うさを今も孕みながら
押殺した声の倹しい日々さえ底なしに
やがて崩れ落ちる恋に焦がれて
夢の儚さに立ち向かっては、
微かに残る花翳の匂い
望みなく咲かせた冬空に笑みを返し
吐息にさえ震えるたった一輪
可憐な花の凜とした姿は清々しく
温もりに潜ませた想いはひしと
燃え煌めく、紅蓮の誘い
――ひとときの風に、
あそばれては揺れる白い花の
たとえ奈落に咲いてさえ
美しきその刹那、
みじかくも艶やかに
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選出作品
作品 - 20170411_005_9546p
- [優] 奈落に咲く - atsuchan69 (2017-04)
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奈落に咲く
atsuchan69