傷つく才能が無いと言われて__
地上3メートルくらいを
ひらひらと
時々、大気圏の外に突入している
自分を思った
傷ならば無数にあると言っても
消えてしまったものには
何の説得力も無い
表層の下に眠る
忘れたものや
忘れた人たちは
あまりにも大人しくて
今でも真っ直ぐに棘を生やしている
そんな聞こえない筈の音が
時々している
もうだめだと
思った瞬間
世界を呪う私の肩に
私の肩に
花びらひらりをりてきて
夢をどっさり乗せたなら
あとはよろしくと
私には世界を呪うことすら
許されていないらしい
不幸は時に甘美だね
死滅するほどに鋭角な
その甘美さに
かろうじて耐えられる
不味い酒に酔った頃
暴れてみれば
私の表層の下のものたち、人たち
床下の小人くらい
ふくらんでさ
私にはいつも見えているし
聞こえている
話せないものと
話してしまったら
棘はますます体の奥へと潜り込み
離せないものを
離してしまったら
足元がいきなり、ふわり
浮き上がって
大気圏の外へ__
運べなかった
地上3メートルくらいの空だった
帽子の下
共感に飢えた顔をして
一体どこへ行くのだろう
最初は上手く操っていた筈の
自分の言葉に
殺されていく
そんな感触の
ショールームみたいな風景が続いている
最新情報
選出作品
作品 - 20170302_583_9468p
- [佳] show room fantasy - 紅茶猫 (2017-03)
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show room fantasy
紅茶猫