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作品 - 20161208_280_9336p

  • [佳]  hana - 田中恭平  (2016-12)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


hana

  田中恭平

 いってきます。おざなりにされた希望たちへ。一見変哲もなくこころ澄み、過ぎたものたちへ。僕らの春は残酷に富み、越えて夏の渚を夢見、歩きつつ、しかしこころ枯れるは自然ではなく、冬には蜜柑。未・完成のまま孤独を離れ皆の中に帰す。みんななんで物を書こうなんておもったのだろ? 
 今、放たれたる聖なる言葉の子供の言葉、是は落とされて割らされた陶器の灰皿、そのときも過ぎ去り。
(灰皿をのけようと思えば落葉と灰が一緒になっている)
 見つけてほしいよ。お父さん、お母さん、いつのまにかぼくらは病みすぎた夕方の為に
反対、純に澄みすぎてしまって融通が利かぬ。まるで吠えることしか知らない犬のように。
(しかし犬の総ては知れず、なにものの総ても知れず)
 そして子供の語る聖なる言葉のように、力なき言葉に、価値なき言葉に、ラアラア、精を出しては恥ずかしいよ。
 花は花としていつでも、今、そこに、あるがままにあって。ほほえんで下さるでしょうか。
 きみの挑戦に未来、拍手がなされますように、そして今日もテレヴィで黒煙を見るのかな。
ねぇ?読んでいる?未来の子供たち、未来人へ。僕は今をかえりみないから、悪くて、散々悪い文句を書いてきて、仕方がないから、今この記述をラッピングしないそのままに。
 嗚呼、枯れていく僕らは今に於いて勝手にしろ、という声も聞いたが、この不条理な今に於いて「さっぱりとした手相だね」という彼女の言葉、彼女も花の、胸に誇らしくいつか空へかえり、土にかえり、川へかえり、海へかえり、いいたかった、おかえりなさい。

文学極道

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