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作品 - 20161101_209_9223p

  • [優]  re:poket - 田中恭平  (2016-11)

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re:poket

  田中恭平


空き缶のふちがキラリと夜の路上で光っているラッパー。背中のチャックを下ろして俺は物真似を辞めようと思った。偉人の言葉を借りることを辞めよう。霊力の力借りてことなすべきか。ラッパーAAA。お前のanarchism。日本の闇の深さゆえか、だから何だよ、通りを歩いていくと、柳の木の下でブルーズマンが歌っている。天より入っている。それは幽霊じゃないぜ、いつかの誰か、俺のことかもしれないぜ。あなたと話して楽になったよ。きみは僕の愛する人のことだ。トン、トン、トン とボブ・ディランらしい大人が、少しずつ私から私の背中のファスナーを下ろしてくれる。ごめんじゃ済みそうにない。ぶちかましてやる。苦味は漫画を現実化することしかできない兄だからだ。悪かったさ。これからも悪いだろうさ。ストローで活字を飲み過ぎたメロンソーダそしてアイスクリームを添えたものをいつか僕は飲んだっけ。大切なことだ。そんなことすら憶えてないんじゃ俺は俺を拒否する。そんな大切なことの為、電話恐怖の俺の代わりに電話を掛ける電話ボックス。 「なあ、あの小説読んだ?面白かった、 目の前の書類をすべて放り投げたいくらいだ、それにしても、足が何もしてないのに疼いてしまう」
俺は、そのままアパートの寝室に戻りラジオを聞きながらギターを小さな音で弾こうとしたけれど全然駄目で、それはまるでギターで宇宙?ふざけんじゃねぇ、すたれたアパートで描くように、己の心臓そのままを放り投げるように歌えたらな、とか信頼を、ぎゅっと握りしめたら、天井の壁の木目をずっと眺める日々か。またあなたを泣かせてしまうだろうか。だってさっき、迷いこんできた犬、その犬から目をそむけて、今ここに俺はいるのだから、噛みついてきていいぜ、ボコボコにしてやる。パーティがはじまる。楽しみには危険がつきものか、ともかく炭鉱のカナリアたちは声を張り上げて諳んじるさ、てっぺん掛けたか、てっぺん掛けたか。全部錯覚だろうぜ、エモーションで手前らを応戦しようとするが、司法はドンと構えている、法こそが問題じゃなくて なさけなさ そのなさけがやさしさゆえと、知れないふりした僕の罪さ ギルティ モアギルティ? すっきりしたいぜ
この芳醇な世界でみんなパン屋になりたいんだろうか?ともかく、この病を治したい。
ポニーが駆け巡っている。草原の中で同じヒッピー、といって色々な考えがあるだろう、純粋に、純粋になってしまわないように人間臭さ、がそこにあるように、匂いに気づかえるように、そんな繰り言だってわかってもらえるなんて甘いもんじゃないんだ。55日間の免停期間も受けたことがない。なにもない場所に、何を置こうか考えることに、僕の首は自然上を向いて歩く。
バタ臭せぇ、とは面白い言葉だ、なんて思う、白い軽トラックからQさんが笑って下りてきた。その映画が終わってしまって、それから俺の人生がはじまる。リトライじゃない、報復とバトルロワイヤルでしっちゃかめっちゃかで、ミュージシャンの階段が外れるぜ。ドキドキするもんだ。この先に何が訪れるかどうか、それがわからないから。「よし、その詩を書き終えたら、俺の役は負えられるだろう? 甘い言葉ばかりで申しわけがないから、しゃべりかけているんだ」 或る録音器は物語る「夢・・・夢・・・夢」
それは「嘘・・・嘘・・・嘘」
……現在時刻 2016.10.28(金)
  20:37
 机の上にはブルース・ハープが置かれている。このブルース・ハープはニヒルな奴だろ、と俺に光っているんだろ。ハープのキーはG。ギターはまずEm、指一本を五弦の2フラットを抑えると、きれいになるんだ、それだけを一番きれいにならせるまでが難しい、なんて話しかけても、話しかけてもきみは眠ることばかりが好きで、逃避でなく、きみをガチで愛し尽くす。ただ眠ることが好きでしかない、何もしないとしょうがない、俺に対して何もしたくない人がいて、当たり前だろうと思ってさ、芝生の草のにほいを嗅いでいる。
ピック三枚、フェルナンデスのギターが好きなんです、くだらねぇ冗談。
 ハッと我に返って影たちが進撃をつづける。日本の雪が被って以来のことです。ザスッ、ザスッと、ただ冬しかない国の中を歩いていきます。連中は。3月があるかも知れない、この国のことをどこかで、胸に火を宿しつつ。それらがなくなり、いいのか、わるいことなのか、きっと我々は音楽家なんだろう。ミュージシャンではないのだろう。今伝えにいきたい人に向かいました。未来長く生きる意味を問い直しつつ、合唱しつつ影たちは前進をつづける。生きるならば燃え尽きるまで長く生きるためにここに文神を殺すぜ。
 ラッパーたちが、フォークシンガーに俺の町ディスってんじゃねぇ?と因縁つけてる。
ディスってんの?ディスってんの? 俺にはなんでそんな諍いがあるのか、重々ぶっこわしていかなければいけない宿業の中で、あなたの声を肯定することのみ、未来、あなたの輝くことを肯定する。メモリーの中で、またブルーズマンが歌い出す。

「到底手に負えた代物じゃないんだ 到底手に負えたもんじゃないんだ 降参しろ 白旗を高く掲げろ もう震えが止まらないんだから いつでもしゃべりつづけてろ でもわかっているんだろう 自分の業から足を洗っていることを それで損しているならお前の方が危険だぜ メール・ボックスが一杯になるぜ」

 ジュークでもう一人の男が歌い出す

「おい、ブルーズをなめるんじゃないぜ お前はできるだろうさ いい手をしてるんだから 女の子と遊ぶためじゃないんだ お前の指は単純抑えが悪いんだ ともかく練習を繰り返すことだ ひたすら弾きつづけることだ 愛の詩なんて嘘くさくて当然じゃないか
嘘の詩が、愛であることだって十分大そうなことだろ、違うか?」
 俺は立ちはだかる。いつでもこの最後の文学の中にいる。

文学極道

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