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作品 - 20160922_239_9117p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


グッドレビュー

  鈴木

彼女は、よみふけった。言葉を一切合財打ち捨てて
それだけの理由で長い旅に出た。最初にたどり着いた国で
顔のよい男と恋をして、そのあと三人の子供に恵まれた。
彼女はそれからもにんしんをして、男の寝る部屋のまんなかのベッドに
たどたどしい足取りで近寄った。
「きっと同義語のはなしをしたがっているに違いない」
と言われた気がした。
妻殺害の容疑者だ。
逃げるように姿をくらませ別の男と暮らし
まったく不発におわった未完の処女作を執筆して
いじげんに行った。


幼少の頃、
自分は完全に満足が得られない、という理由でこの国のあの人が
実在的なものとして体験され、
麻薬は一切使用しない、という約束さえも一方で破棄し
彼女は、放列する視線からは決して目をそらさなかった
というか、ていうか、
太陽の光のつまらなさ、と先ほどのつまらなさを頭上でブン回し
それらを等価に混合して彼女の今を探索しようにも
これはやはり性的な情緒が非なんとか的に解釈され
移転もままならないとわかったからだ
誰がって、彼女が、だ。


きっとよくない話に導かれて
やわらかな移動力もなくして
変位の代数に閉じこもった脆弱な続がらを幕切れに、彼女とその仲間は
所定の時刻になると素振りがくるったように
頬笑みを唾棄した人たちの記憶を横滑りさせ
それは、まるで内圧からあるように、突然、そして、激しく、
いきおいはもうボロボロと、
ハワイの観光を題材にした処女作のタイトル
「大丈夫です、つまらない駄作です」を不慣れなフランス語にして
むやみに誰かに語りかけたりしながら家の壁に自分を立てかけて
暮らした。
うまれてから今までずっと。

文学極道

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