いつの日か
彼女の手を愛した
何かを一つ奪うように
愛の欠片でも
彼女の手はいつも僕のポケットにあった
枯れていく日々が
今よりも愛しく思えるなら
砂漠の上の砂は
毎日形を変えている
彼女の足を愛した
雲よりも巨大な太陽が
西日の姿へ変貌する
白いベッドの上で
彼女の足を
指でなぞった
時計の針は着実に
時計の針を腐らせている
彼女の唇を愛した
冷たい
冷たい唇に
何度も唇を擦りつける
真夜中
ガードレールの続く海沿いの道
外灯の光に
彼女の頭の
小さな影が伸びている
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選出作品
作品 - 20160729_587_8989p
- [佳] 彼女の名前は愛という - おでん (2016-07)
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彼女の名前は愛という
おでん