#目次

最新情報


選出作品

作品 - 20160721_319_8977p

  • [佳]  改装 - 赤青黄  (2016-07)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


改装

  赤青黄

 ストーブを付けても、くしゃみが出た
 だから毛布を取り出してくるまっていると、雨の音が聞こえ始めた
 窓を開けると風を感じた
 そして、雨と共に沢山の卵が落ちてきた
 割れた卵の中には沢山のこどもたちが入っていた

 これらは雨。
 そして僕たちは12歳だった。

 僕たちっていうのは、僕と弟の事だ。
 病気がちで、痩せっぽっちの弟は、真面目な父と母によって大切に育てられた、人間だった。
 灯油が切れ、途端に冷めていく部屋の温度、の感覚、
 みたいな、



―ガソリンスタンドへ行って灯油を貰ってきなさい
―上手いやり方は何かの本に書いてあるはずだ
―金はポケットに入っている
―弟が凍ってしまう前に、何か出来る事がない訳じゃない



 顔がこちらに向いてきたので、
 なんとなく目を逸らした
 人の肉は溶けて骨ばかりの手と僕の掌は繋がれた、
 鎖の面倒を見ている優しいお兄さん、
 家族、
 みたいなものの裏側に潜んでいる
 醜い表現が、弟を形容する
 具体的には、
 アメコミで覚えたファックを脳内で乱射する
 なぜか?
 暗く冷たい、凍り始めた小さな世界、
 みたいな物がここにあった。
 とてもとても
 小さな世界、
 たとえば、穴蔵から見上げたそらのように、
 そこは何もないくせに、手を伸ばせば何かあるはずだ、
 考えても考えても自分に萎えてるばかりの感情の《吐露と圧縮》
 うげぇ!
 きもっつ!
 そんな事しか言えねぇのけ、
 なぁ、
 おい、と、
 つまらないな比喩。 
 そして、それらは適当に結びつき、
 お花畑になった。
 flower
 顔を両手でがっちりと掴まれた
 説教としての花束、
 コンプレックスの解決を計りましょう、
 先生がいっしょに付いてあげるから大丈夫よ、
 僕は最高に恵まれている、
 故のコンプレックス、
 兄として、
 僕は弟の手を握っている。
 そして灯油を買わなければならない。
 仕方のない事ばかりが、転々とそこにあった。
 本はゴミだ、
 音楽もゴミだ、
 全部ゴミだ、
 でも、救われないから、助けてください。
 そんな物、どこかにあるんやで、
 この際あたって砕けよう、
 うんこうんこ、
 みんなうんこ、とても綺麗で優しい縮れ気味のうんこメロディー
 清潔なうんこ、気高きうんこ、
 うんこラプソディー、うんこコーラス、うんこヒップホップ、
 喉元で焼ける乳牛と炭酸で目が焼け死ぬような精液、
 セックス、
 当たり前のように愛を求めて、灯油、
 つまり to you ふぉーゆー、
 汚ったねぇな、 
 と、
 正に即興のフレーズとメロディー
 で、雨の中、を
 誰も何も聞いちゃいないし、なんならクソで、隣人はキモっ! て電車の中でキモっ! ていうようないい迷惑で、
 音楽は
 やっぱりくそじゃなくて
 俺がクソだったのだ、
 という、
 弟をソリに乗せてガソリンスタンドへ向かった、
 白身の雪は冷たい、灰色の羊水の中で、
 黙って何もかも聞いていた、
 弟は、という悲しみが残り、
 そして金はある、
 必要な物は全てここに揃っていった、
 ここにあるから、
 俺に灯油を分けてくれないか

 …というオチもうんざりだ、
 何が灯油だ、
 こんなもんしか書けねぇのか、
 弟は、墨汁の出汁みたいなもんだ、
 俺の書き初めの質、 
 その前に書き初めのできちゃう余裕、
 汚い筆使いとか、
 そ〜ファーそ〜ファー、半音で移行しちゃう?
 的な散漫ポエム、チャック開いたよナ、ズレかかった思考、とか、
 キモくてダサくて、
 俺死んじゃいそう! 悶えちゃうぅ! 死んじゃいそうぅ!
 もう何も書く事がないなんてっていう喜び、慈しみ、悲しみ、これくらいしかないの、
 僕の比喩は生ゴミだから
 弟を利用しました、
 楽しい懺悔とつまらないネタばらしと、もういい加減終わって欲しい気持ちと、
 つまらない映画見てるみたいじゃん、きんもいよねーとかなんとか同情しちゃう感じ でそんな貴方にキュンキュンきちゃうよみたいな、これはメンヘラだ。
 何も書く事がないのに書いちゃう自分とか灯油みたいに綺麗になりたいし、燃えたいよね、焚き火っぽい浪漫はいらないから俺に何か食物をよこせ、ください、僕にください。必要な物は全て、どこにもここにもありません。
 こんな物誰が読むんですが、
 ぼくがですか?
 きいちゃいられねぇな、他をあたれよ。


〈しつもん〉

 たすけてください

〈アドバイス〉

 当たって砕けろの精神ですけど、んな物ゴミですよ。ある程度戦略性みたいなのは必要です。まずはプレゼンをしなければ、伝える事が重要なのです。そもそも伝わらなければお話に
 ならないのです。そこから勝負は始まっているのです。自分の希望だけ唱えるだけじゃいけないのです。誰もあなたの事を必要としないのです。あなたの人生は有能ではないのです。ですから、それをどう上手く着飾るか、ただそれだけなのです。偽装するのです。他に何もいらないのです。


と、
あなたは、
と、指さされて、
げぼみたいな説教で、
と、僕は弟の顔を見た。
そして、新しい雨ha降る、
he、
それでも生きている、
四肢の無いからだ
声もなく
つまり言葉のない、
瞳の色はなにいろだ、
ha^
 to  息継ぎして
 唇の開く音、
 だけがそこにあり、
 俺は聞いた
 聞かなければならぬ、
 吐息の音が詩、
 それゆえに詩だと思いました、
 生きるように詩
炊飯器の炊けた音がして、蓋を開けました、
ストーブはやめだ、
電気でエアコンだ、
パソコンでテキストエディターを開き、
思考停止、
長々と同じ物を書こう、
つまり娯楽だ。
人生には娯楽が必要だった
人を笑わせたい、
誰かの為に、
日常を楽しさで彩りたい、
それは単純に良いことだ。
笑いは人を救う。
定義などくそくらえで、
明日の前に今を、
どんな土砂降りでも、今が楽しければ、
それでいいのだ!
と、そしてそれらは、希望に繋がるのだ、
という虚飾と私で、
だからつまり、ループする、
私の創作は弟であり、
弟は私の創作だった、
こんな事、
友達に言っても笑われるだけで、
全て凍える吹雪で、
中二病なんでしょう。
それでも私は書いた、
声の鳴らない弟の為に、
文字を費やす事で大人になった、
恵まれない弟は
恵まれた私の創作

 灯油を棄て吐いた痩躯、で斧をひとふり、で、ストーン、と真っ二つ、に、割れた、私の皮膚、は比喩で、ニキビ、やアザだらけの、美しい細身の青い眼の破片、つまり四肢をもがれた弟の体、瞳は、言葉を持ち、それは私の創作、私の創作、私の創作、呪文のような言霊は繰り返しのメロディー、ゆりかごから墓場まで、私はソリを曳き、乳母車を押す、刀は常に折れたサムライのように髷が常に弛れたまま、私の創作私の創作、

 つまりそばかす、
 染みだらけの言葉、
 熱湯じみた言葉
 両親心配、
 皮膚感覚、
 鳥肌と嫌悪感で、
 適度に温めたレタスのようなしんなり感覚
 で、射精する、
 井戸に向かって、
 白い雨を降らせる、

 ガソリンスタンドは潰れるんや、
 もうすぐエコの時代なんや、
 コンプレックスはとうに消えかかった青二才のペンは
 もうどこにもならないまま、
 冷え切った雨が止まないなら、
 書くしかないのか?
 もういい加減辞めたいので誰か止めてください。

 ヤンデレかっ! ヤンデレなのかっ! かまってちゃんなのかっ! でもそういう弱さも世の中で認められるべきだ。甘えるな! という事も可能だ。 とても素晴らしい気持ちで皮膚感覚で、やはり再度脱皮するしかあるまい、何を迷っているのだ、弟など殺してしまえばいい。創作の中で、再度殺すしかないし、殺せばいいと思う。仕方のないことだし、犠牲はつきものだ。戦争は起きるし、力は暴走するものだし、権力はどこにでもあるし、有能な奴は最初から有能だし、無能はかすでごみはくず、
 弟は君にとってゴミだし、必要のないもので。
 全き存在としてのゴミ、である事になぜ気がつかなかったのだろうかと、余計な足枷じゃぁないのこいつは、お前の健康人生を狂わせた原因は全てこいつにあるし、お前も確かにゴミだがこいつもゴミだ。お前以上にゴミだと、質素倹約をモットーに生きる人間の鏡みたいな君を締め上げる嵒でありクズ、寄生虫、カラスであり野良猫野良犬、野犬であり駄馬駄馬ダバであると私は君が思っているのに言えない事を言ってあげたい。君の代弁をしてあげたい。君の変わりの言葉を用いて弟を批評しよう。


 薪の爆ぜる音で、長い説教から起きた。
 僕は12歳で隣には弟がいる。
 僕たちはいっしょの毛布に包まっていて、
 同じ時間、同じ季節、同じ年に生まれた、双子であり、ただ、四肢だけのない体。
 声を持たない喉、ただ瞳と耳だけがあり、
 それらは僕に語りかける? 
 わからない。何もわからない。そして、僕は弟がいる限り未来に苦しむ事がわかっていた。
 12歳の冬のよるに、両親は誰かの葬式でいない、冷えた部屋の中で、
 俺は弟をここで殺すべきなんだろうか、
 昼間に探して隠し持っておいたアイスピックを胸に突き刺せば全て終わりだった。
 土砂降りは屋根を叩く、
 明日は俺たちの誕生日だ、
 弟の目は俺を見つめている、
 雨の音と弟の瞳の青色や、
 卵の割れる音、
 胎児逹の鳴き声は
 ぎゃあぎゃあと窓の外で聞こえない。
 土の上で孵った、
 聞こえるはずのない音、
 開音節の鳴き声で
 しかし、
 僕は弟を殺せなかった、
 つまり私は、
 単純な感じで改装に失敗する、

文学極道

Copyright © BUNGAKU GOKUDOU. All rights reserved.