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作品 - 20160720_278_8975p

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ポカラ

  Kolya

そして夢から醒める。ひどく蒸し暑い。ファンは回っている。外は風が死んでいる。上等な部屋だが、エアコンは無い。夜のポカラは闇に沈んでいる。俺はベッドから出る。昼間見た、湖に行こうと思った。外は暗い。光が、無い。なるべく気をつけて、メインストリートのほうに出る。人はいない、と思う。確か、こっちのほうだと歩いていくと、前の方になにか、とてつもなく大きなものが横たわっている、そんな気がした。近づくと、どんどんそれが大きくなり、視界にもうはいりきらないくらいだ、と思ったとき、それが湖だと気づいた。ガードレールを挟んで、目の前に立つと、それは完璧に凪いでいて、だんだん目が慣れているのに、そこだけとてもとても暗く、黒くて、まるで大きな穴に思えた。それはなにもみえないほど底深く、すべてを飲み込むほど大きい。俺はその穴のことをよく思い出す。それはこんな風に。とてつもなく大きい。とてつもなく大きい。穴に行こうと思った。光が、無い。光は、無い。闇は上等なベッドから出る。外は死んでいる。とてつもなく、昼間見た風は死んでいる。そんな気がした。それはなにもみえないほど底が深く、すべてを飲み込むほど大きい気がした。穴だけとても暗く、黒く、光が、無い。光が、無い。光が、無い。すべてを飲み込むほど、横たわっている、どんどん大きくなる。ひどく大きくなる。だんだん目が凪いでいるのに、光が無い。闇だ。死んでいる。大きい。大きい。底が深く、とても暗く、黒くて、横たわっている。それが湖だと気づいた。それはなにもみえないほど底深く、すべてを飲み込むほど大きい。俺はその穴のことをよく思い出す。それはこんな風に。蒸し暑い闇は、底が深く、死んでいる。人と光は、前の方に沈んでいる。とても上等で、風が暗くて、黒くて、光が、無い。死んでいる風を飲み込む。歩いていくと、ひどく大きくなる。人がいない昼間と夜が、前の方に歩いていくと、ガードレールを挟んで、横たわる。ひどく暗くて、暗くて、暗くて。すべては飲み込まれている。ファンを飲み込み、湖を飲み込み、ポカラを飲み込み、俺を飲み込む。死んでいるを飲み込む。それはこんな風に。そして夢から醒める。ひどく蒸し暑い。ファンが回っている。俺はその穴のことをよく思い出す。それはこんな風に。それはこんな風に。それはこんな風に。

文学極道

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