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作品 - 20160511_704_8814p

  • [優]  無題 - zero  (2016-05)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


無題

  zero

僕は生まれ変わりました、
生まれ変わりは一つ一つが音符のようで、
人生は生まれ変わりのメロディーが錯綜している大音響です、
僕は何か遠くの方に不穏なものが墜落する影を目撃しました、
社会が墜落してこの地球に文明が誕生しました、
歴史が墜落してこの地球に時間が誕生しました、
文学が墜落してこの地球に感情が誕生しました、
僕は永遠に苦しむ者、
永遠が瞬間を宿すことを苦しむ者、
森羅万象の苦しみを包蔵した苦しみをさらに苦しむ、
社会というものは人間とは複雑に異なった愛憎の対象となり、
無数の人たちの顔が集合して超越した無名の巨大な顔を持っています、
僕の庭には雪が降り陽射しが乱れました、
そして虫が言葉を運び鳥が意味を伝えました、
僕は庭を広げてはたたんで、
自分の庭がうまく敷ける整った土地を探したのです、
僕の庭は生まれ変わりました、
それまで自然の洗練するがままに広げておいたのですが、
いつのまにか種や苗が植えられ、
未来と終末とが親戚同士のように肩を組んで、
色濃く影を落とし影は種や苗に吸収されました、
僕の庭は風雨の被害を受けそれに耐えるだけの風景ではなくなった、
風雨を糧として花や作物を育てていく架空の庭、
この世ではだれ一人助けてくれない、
この事実は層状に連なる複雑な化合物、
最終的に頼れるのは自分一人、
いつまでも硬直した鉱物性の根拠のようなもの、
迫害、磔刑、火あぶり、魔女狩り、スケープゴート、
人間の永続的に狂っている部分が獣のように欲望してやまないこと、
人生は獣だ、社会は蛇だ、
荒れ狂う衝動と狡猾な計略とそのすぐ裏側に貼りついた愛と、
そこから僕は生まれ変わったのです、
同じような思考のパターンを繰り返しながら、
いつの間にかそのパターンがより繊細かつ優美に変化している、
僕ら進化するミニアチュール、
束ねた花束の数は必ず刻まれてある、
打ち捨てていけ、最も貴重なものから順に、
僕は生まれ変わっていたのです、
僕は生まれ変わることを強いられたのです、
僕は好んで生まれ変わったのです、
内容も理由もいらない、
ただそこに裂け目を超えた跳躍の軌跡だけが残っている、

文学極道

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