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作品 - 20160407_771_8746p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


春から夏へ、聴こえくる、

  


〈森〉


蜜蜂の羽音よりも微かな振動が
辺りを震わせています

木々は丸屋根のようにかぶさり
円い水色のレンズのような
空を指しています

わたしは今、
からだを土に埋葬された
一揃いの眼のような
ひとつの意識です


芽吹きのときです





〈木蓮〉


裸の枝に純白の、繻子を纏う花嫁たちの、

花開く、宴の時は短くて、

はたり はたり はた 

湿った音をたてて地に落ちて茶色く焦れて、

私の足元を汚します

けれど、許してしまいます

見上げればもう柔らかな、緑の子らが遊び、

つかの間のみずみずしさです





〈清流〉


新緑の木々の陰

滔々と流れる色のない水

角のとれた川底の小石

音もなく水面に載った木の葉

   滑るように視界から消えて

水音は止むことがなく





〈夏の駅〉


降り立つと
凛々と鳴る無数の風鈴
くるくると翻るよ青い短冊

売店に並ぶ土産物
荷物を持った人影はまばら 

ふわり 夏の風が渡る
並列するホームと錆びた線路





〈海〉


   風がやんだ

   海が凪いだ  
 

 
         蒼い




*

文学極道

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