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作品 - 20160113_200_8567p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


未、未成年の詩

  泥棒




あなたが
手のひらに海をつくる
わたしは
迷わず魚になる
夕方からは
豪雨になるから
花々は
その前に閉じてゆく
わ、わたしは
それを
ゆっくり
こじ開けてゆく
その時のわたしは
魚ではない
きっと
夜の街で
死にかけている
17才



部活帰りの少女たち
コンビニ前は
春の極景
夕方5時から6時までの
巨大な比喩に
誰も気がつかないまま
次々と
ペットボトルは潰されて
誰も主役ではないまま
信号機だけが
規則正しい
ギブスをしたひとりの少女が
ひっそりと
主役になる夕方の終わり
自転車の電気が
揺れながら
消えてゆく先に
それぞれの
物語があるから
そこで
みんな主役になる
ギブスの少女だけが
ここで
このコンビニ前で
朝をむかえる
今日は
ギ、ギブスの少女だけが
17才



死ね、
その言葉だけでつくられた
高層ビルがある
この街は
見上げた場所に
赤い光が
たくさんある
星は
自分でつくらなければならない
それを
集合住宅のように
夜空の
あらゆるところに
できるだけ集め
星座をつくれ
き、きみだけの星座をつくれ
大人になったら
もう
二度とはつくれないよ
まして
詩なんか
いつか書けなくなるかもよ
17才



街が斜めに見えるなら
君は
できるだけはやく
飛べるようになった方がいい
それ以外は
何もできなくていいし
何も知らなくていいし
世界とか
関係ないし
鳥は
青空に
青空そのものになりたくて
でもなれなくて
花になったと
仕方なく花になったと
風のうわさで聞きました
海が
どこにもない
陸も
ひとつもない地図を見て
何か書かなければならない
き、きれいな何かを
書かなければならない
そんな日が
いつかくるよ
17才

文学極道

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