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作品 - 20151201_193_8466p

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宇宙人が来た

  

教室では制服を着た生徒たちが、先生の言葉を聴きながら
黒板の文字をノートに写し取り、
校舎の時計台は、青空を背景に四角く切り取られ
街の真ん中で、正統を刻み続けている

今、ひとりの生徒の頭の中に、宇宙人がやってきて、新しい計算式を展開している
それは、教室の窓の外にはいつもの街並みが広がっている光景、
その内と外を取っ払うことのできる数式であり、これを覚えると、
隔てるという概念がなくなり、どこでも素通りすることが出来る、
そして、最終的には霞を食べて生きていけるというものだ
さっそく生徒は手を挙げ、先生に黒板の回答には新しい数式があることを提案しようとすると、
宇宙人はそれを阻止した
テストの回答はすべて白紙で、好きなこと書いて提出すれば良いのだけど、
宇宙人はそれも阻止した

授業が終わって昼休み、生徒が屋上で弁当を食べていると、
宇宙人は頭の中からプルルと出てきて、姿をあらわした
そして、弁当のおかずを食べてみたいと言うので、
生徒は玉子焼きを、ひとつ宇宙人に食べさせた
宇宙人は、はじめて食べたその味に、ひどく感動したらしく、
玉子焼きのすべてを化学し解析すると、それを物理に則って空にドーンと打ち上げた

時計台の時計の針が、逆に回転をはじめ、生徒と宇宙人の目の前を、
青い空を背景にして、鶏が卵を産んだ理由が、一本の大木に喩えられた
大木の周りには、今朝、生徒の母が玉子焼きを巻いた理由や、父と母の間に生徒が生まれた理由、
たくさんの所以が、縺れ合いながら葉や蔓や花になり、水を吸い上げ、風に吹かれている
そもそも居るはずのなかった宇宙人の存在をXとして、二乗していくと、
南極で皇帝ペンギンが滑って転んでいたり、ブラジルでオオアリクイがクシャミをしていたり、
ティラノサウルスがアリゾナの大地を闊歩していたりした
真っ赤なマントルが剥き出しの地球、子供のようにか弱い太陽、風は電磁波に乗り何億光年ひたすら遡っていった
それを見て、生徒は肺が広がっているのを感じ、そして息を吐くと、肺はそれなりに凋んだ 
というのが宇宙人が教えてくれた秘密の数式であり、は=である
実体験するには、死ねば解るそうなので、生徒は屋上の柵に足をかけ、飛び降りようとしたが、
宇宙人はそれを阻止した
なぜかというと、玉子焼きの他にも、もっと色々と食べてみたいそうだ

文学極道

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