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作品 - 20151130_172_8461p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


透過するレース

  れたすたれす


彼女は窓に架けてある、白いレースの影にいるのです。
それが私を、朦朧とさせる理由なのです。
彼女は黒ふちのめがねを、手にしています。
それを愛おしむように、いつも見つめています。
セラミック製の鳩だの、烏だの、
陰毛の抜けた老婆らがしゃがんでいろ端会議をしている、
路地などを見ています。
それが私の胸を、少し不安にさせている理由なのです。
彼女は夕食に、肉抜きロールキャベツを食べました。
窓際には透過なラップが張ってあって、
昔にも、将来の彼女にも、すりっとすりかわってしまって、
彼女が無表情なのは、いつでも身体を無化できるからです。
彼女は身体を知りません。
そのことが私を苛立たせる理由なのです。
日常的な暮らしぶりからすると、私は健全です。
なのに、なんで彼女はレースの影で喘いでいるのですか?
時折私を見つめて、赤い目になるのでしょうか?
うん、可能なことです。この階から落ちることぐらい、
彼女はおばさんに、『ばっさん』と言ったとき、
ここから落ちて喘ぎました、
自身が死んだ跡だというのに。
それが不明だと、なはずは無いと思われるならば、
ありきたりの方法ですけれども、
あなたの持っている万能器械の窓を開けて、
彼女、の内部に侵蝕し覗き見して診てください。

文学極道

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