そうげんに建てた、しろい建造物の、風にはためく繊毛に、眩しさのあまり暗い、まなざしはからめとられ、規則ただしく、満ちる、けれど、喋らないでいる、全体図が、らせんをえがくように、いつしか、とうめいの層になって、うちがわから、消える、わたしは、模写していた、日記帳のさざめきから、よるの、台所のさざめきまで、網羅しておきたい、羽ばたくそぶりで、題名をあたえ、風をすく、草花には、柩がないから、ふしぎなことに、あいすることができない
あるいは、ポケットのなかの、貝がらとか、お家、のようなしろい化石から、猫をつれて、そうげんへ出かける、打ち捨てられた、日傘のしたの、蟻の葬列、それは、たちのぼる、あまい、梨の匂いにも似た、あまい、逃げ水の、その向こうにあるそうげんへ、つづいている
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選出作品
作品 - 20151015_591_8372p
- [優] minus - あやめの花 (2015-10)
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minus
あやめの花