満天の星空をつつむ静寂の下
潮騒を聴きながら横たわる身に纏う砂粒
はてしなく投げた仕掛けを海に任せて
ケミカルライトの点る竿先を微かに揺らし、
甘い潮風がコーヒーの苦味を慰める
アタリなく、瞼腫れて
ふたたび巻く糸の手につたう空しさ
針に残る、細かなイソメ
――食逃げしたのは何処のどいつだい!
無惨な餌の痕に、ひとり愚痴をいう
渚を這うように現れては消える灯光
遥かとおく、明滅する航路標識の夜明かし
つかの間にわが身を曝すかと思えば
やがて水際に足元を濡らしては退く、竿立と椅子
硝子瓶の酒を手にして浅く眠り
ふと目覚めれば水平線に望む曙光
星々は滲み、東空に孤高にかがやく星ひとつ
欲深な釣人が不愉快なのか波音も高鳴る
白濁を集めては崩し、
はやくも海は荒れはじめた
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選出作品
作品 - 20151010_472_8365p
- [優] 星と砂粒 - atsuchan69 (2015-10)
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星と砂粒
atsuchan69