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作品 - 20150831_436_8275p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


まるで詩人のような雰囲気で

  泥棒

今年の春から
高校生になった僕は
まるで詩人のような雰囲気で
電車通学をしています
窓の向こう
花々は
きれいです
新しい友達は
まだできていないけれど
新しい花々は
もう咲いています
とても
きれいです
僕は
みんなの名前
おぼえられるのでしょうか

最近
駅でよく見かける
きれいな目をした
ショートカットの女の子と
やたら目が合います
でも
よく考えてみれば
僕が
その女の子を
見ているだけなのかもしれない
夏の風が吹いて
僕は映画の主人公になりきって
女の子に
話しかけてみた
女の子は
詩集を読んでいた
チャンスなりっ
僕は
詩なんて読んだこともないし
まして書いたこともないけれど
まるで詩人のような雰囲気で
詩人が主人公の
映画のワンシーンのように
(詩が好きなんですか?
と聞いてみた
女の子は黙ったまま
僕を見つめて
一瞬
笑ってから
僕の顔を殴りつけてきました
そして
僕は前歯が折れました
自分に
いったい何が起こったのか
その時は
何もわかりませんでした

女の子は
空手黒帯で
関東大会二連覇をしているらしい
駅員と警察官が
僕に
苦笑いしながら教えてくれました
悲惨なりっ
誤解がとけて
女の子は
僕に
ひたすら謝ってくれたけれど
僕の前歯は
ぐらぐらして
心は静かに
もう止まっている
冷静なりっ
僕は学校へも病院へも行かず
近くの河原へ歩いて行った
リア充って言葉
誰が言いはじめたんだろう
やりきれない想い
いつもこうじゃん
いっつもこうじゃん
告白する前に
こうなるじゃん
告白さえ
僕はさせてもらえないのか
ツイッターなんて
童貞にとって
本当につぶやきたいことは
おっぱいもみたい。
とかばかり
毎日
同じことばっかり
だから僕は
この想いを込めて
生まれてはじめて詩を書いた
そして
ブログに載せた
中学の友達から
イイネ!と言われた
何がいいのかわからない
なにが、イイネ!だ、ばかっ。
詩なんて
もっとわからない
たぶん
僕が書いたのは詩ではない
そう思った
イイネ!なんて言われたら
終わりだ

川の向こう
花々が咲いている
名前なんて知らない
あの子
誰の詩集を読んでいたのだろう
夕暮れ
もう秋の気配がする夕暮れ
遠くで学校のチャイムがきこえる、

文学極道

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