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作品 - 20150706_207_8177p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


臓器に咲く

  ヨルノテガム




 太陽が寝ている ジュースを零している
 仮面を被った人たちが畑を耕している
 汗が落ち 汗をぬぐう
 音なく鳥の群れは水平に空を滑ってゆく
 風の囁きが過ぎる
 白い砂と黒い土の情報と匂いを
 運び知らせてゆく


 爆弾が燃え広がる 街が平たく消える
 何か収穫したわけではない穴ぼこが漂う
 溶けた命やちぎれた物を置き去る
 くちばしのない鳥が空洞をかかえながら
 空を水平に滑ってゆく
 風はあまりに早く無くなってしまうものを
 囁きつづけているのだろうか
 揺れる花一輪のまわりで多くの足跡は途切れている


 あなた、腎臓におっぱいができてますね
 えっ?
 そしてそのおっぱいの先に・・・・
 先に?
 何か花のようなものが咲いてますよ
 え? ぼくの臓器に自称Gカップのおっぱいが
 ムチムチに膨らんでその乳首の先から花が
 花が咲いているんですって?
 どうやらそのようですねぇ どうされます?
 ・・・・さ、触ってみたいです・・ねぇ・・・エヘ
 ま、気をつけてください 雪の降るような寒い季節に
 邪心の無いひとによく起こることなのですから


 太陽が寝ているのか
 爆弾が燃え広がる
 ジュースを零したのか
 街が平たく消える
 仮面を被った人たちが畑を耕している
 何か収穫したわけではない穴ぼこが漂う
 汗が落ち 汗をぬぐう
 溶けた命やちぎれた物を置き去る
 音なく鳥の群れは水平に空を滑ってゆく
 嘴のない鳥が自身の真ん中に空洞を抱えながら
 空を水平に滑ってゆく
 風の囁きが過ぎる
 風の正体は無残を知り、知らせつづける生きものか

 人ひとり生きる間に
 幾つもの花は枯れ折られ
 捧げられていく
 しかしまた
 一輪の花の周りで
 多くの足跡は途切れている




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文学極道

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