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作品 - 20150609_530_8117p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


ガーデニア

  atsuchan69

避暑の家の涼しげな夏草の茂み
その影もまた深い碧に沈み、
淡く邪気ない木漏れ日が窓辺を揺らしていた
暗い六月の雨をしっかりと含んだ土の濃さが匂いたち、
やがて腐敗へとつづく露骨な大地のプロセスを
梔子の甘く優美な香りが蔽い隠している

彫刻のある楕円の鏡に映った二人は
鏡台に置いた一輪挿しを想わせるグリーンの瓶、
――多忙な夫からのプレゼントだという
花を模したキャップのある洒落た香水に眼をやり
禁断の部屋の猫足の椅子や家具たちを尻目に
その艶やかな白い花の匂いを嗅いだ

忘却も物語もない時間が短い針をまわし、
唇と唇がふれ、渇いた心が水を欲しがるように
不条理な夢が理不尽なまま永くつづくように、
いつか死に等しい罪にもふたり手馴れてしまっていた
隠蔽し続けることが真実を知る者の答えか否か?
偽りの昼の姿かたちはベッドへと転がった

繭のようにシーツで蔽われた二体のむくろ
容赦ない残酷な夏の光が、一切を白日に晒して

文学極道

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