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作品 - 20150518_215_8089p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


らりぃ・アリス

  atsuchan69

アリスはそこへ乱暴に投げだされ
黒い瞳に大粒の涙をためた
やがて朽ちてゆく散らされた意味の
灼熱に乾いたサハラカラーの砂漠の丘に
一面、蒼く鮮やかに咲く魔の花の
雑音交じりの夢へといざなう、

 【邪まな・・・・】

邪まな罪の香りをキッスのあとに嗅ぎ、
あれは許されざる声の生まれる
たった数秒、縺れ、ざらつく舌のうえで
言葉になるはずだった君への想いが
熱いフライパンに落としたキューブバターのように
たちまち融けて変色してしまった

 【愛という・・・・】

愛という熱病に冒された、
ピンクのノースリーブワンピースに痩せた身を包んだ
地下の駐車場で待合わせた牝のバニーが一匹、
青いサテン地のシーツを波立たせ
たった一度きりではない過ちを再び犯して
笑いながらパンティを下ろしはじめる

 【こっちへ来て・・・・】

こっちへ来てと牝のバニーが言い、
鏡の中からまだ帰れない私は
今いる場所を懸命に探そうとする
濡れたラビアにリング状のピアスが輝いている
音符の描かれた水色の爪がその周囲を這う
――こっちって、どこ?

 【きっと私は・・・・】

きっと私は鏡の中のアリスだった
ベッドのまわりには四人の女装した私がいた
あんたの濁った眼で私を見ないでよ
ちゃんと心の眼で見なさいな、
この服、ラフォーレで買ったエイチナオトよ
本当の私はさあ、可愛い少女なの!

 【そしてアリスは・・・】

そしてアリスはよく澄んだ瞳を瞬かせた
ベッドには人間を食べる水玉模様の巨きな花が咲き、
またベッドでは人間の言葉を話すイルカが仰向けに泳ぎ
そしてベッドの真ん中には不思議な穴があいていた
恐るゝ穴を覗くと、ああ。なんだ私は私だった
とつぜん私は♂になって俄然、牝の乳房に食らいつく

文学極道

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