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作品 - 20150415_563_8022p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


森が森に森は森と森の森を森で森

  泥棒

森森森森森森森森森森森森森森森森

崎崎崎崎崎崎崎崎崎崎崎崎崎崎崎崎

どーだろうか
森崎くんが主人公だから
こんな感じで
森と崎を並べてみたよ
もちろん意味はないんだけれど
つかみ。
これが大事だって
あの森口くんが言っていたから
できるだけ多くの森と崎をね、
もーね、
いろんな街から徹夜で探して
並べてみたよ
うん。
しかしあれだね、
森と崎って
もうほとんどないんだね、
知らなかったよ
これで全部だからね、
森と崎。
つーか
きれいに並べるってのは
それだけで気持ちいいもんだね、
せっかく読んでもらうんだからさ
きれいな方がいいよね、
あ。
ところで
僕の友達の森岡ちゃんは
ちゃん森岡って呼ばれてる
みんなに
そー呼ばれてる
僕が最初に
じょーだんでそー呼んだの
本人も
みんなも気に入ってるみたいよ
うん。
そんでね、
森野くんと森山さんは
詩とか興味ないんだってさ
森重くんは
すこし興味あるみたいだけど
森崎くんがね、
詩を読んだこともないし
何も知らないのに
どーゆーわけか
横顔が妙に文学的なんだよって
だから森崎くんを
主人公にした方がいいよって
森口くんに言われた。
やっぱ森口くん、すげーなっ
何でも知ってるもん
現代詩とかさ
バッキバキに読んじゃうもんね、
比喩なんてね、
森口くんの前では死ぬよ
いや、ほんと、まじで死ぬって
あ。
そー言えば
ここだけのはなし
僕はみんなにあだ名をつけてる
もちろん意味はないんだけれど
森崎くんは森
森口くんは森
森岡ちゃんは、ちゃん森岡
森野くんは森
森山さんは森
森重くんは森
たまにさ
ややこしくなるけど
ちゃん森岡が
いー感じにアクセントになって
何の問題もない
あ。
誰にも言わないって約束できる?
できるなら教えてあげる
実はさ
この前ね、
森が森と森で森を森に森してさ
まじかよって思ったら
ちゃん森岡が
森と森を呼んで
森の森に森で森を森が森だったのよ
あれはシャレになんないよ
でもさ
一番ビビったのは
もう次の日にはさ
森が知ってたからね、
いや、だからさ
森で森が森したじゃん?
あの森は森のことだよ、
わかるよね?
この詩がどんだけ意味ないかって
わかるよね?
いやいや、違う違う、
そうじゃ、そうじゃないっての
あれ?
何かこんな感じの歌あったよね?
だぁかぁらぁー
森は途中で帰ったから
違うんだよっ
いやっ
森なんて最初からいねーし
え?
森でもねーし
あくまで主人公は森ね、
そー、森崎くんのことね、
あ。
もひとつ意味のない話していい?
森崎くんが
俺が俺がってノリで
森が森がって騒いでさ
公園でさ
ゾウのすべり台のある公園でさ
碇シンジのモノマネしたじゃん?
逃げちゃダメだ逃げちゃダメだって
あれ、まったく似てなくて
みんな笑ってたのに
あの時さ
森だけが森を見ていた。
森と森と森と森と森と森の間から
小さな ぁ が飛び出してきて
そのすぐ後に
大きな あ も飛び出してきて

ぁ 、あ 、ぁ 、あ 、ぁ 、あ 、ぁ 、

ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ

ああああああああああああああああ

ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ

ああああああああああああああああ

どっちもきれいだなって
森が呟いて
ちゃん森岡の肩に鳥が止まって
もちろん意味はないんだけれど
意図はある森が燃えた
発狂する季節
森が発狂する季節の到来
森に森を伝える前に燃えてしまった
あ。
逃げた
主人公が逃げた
森が言う
この森は他の森とは違うって
そー言って
表現から逃げた
表現って
死んでも使いたくない言葉だね、
でも使う
二酸化炭素や表現が
まるで
伝わらない
森の終わりに
森が森に吠える
意味がなくてもいい派の森に吠える
意図がないとダメ派の森に怯える
そして
枝は折れる
森が森を駆け抜ける
ゾウの鼻が伸びて
森の意図が縮む
森に意味は最初からなかった
だから
ヒントもなかった
本当に、まるでなかった
あ。
森口くんの口が口と口に口を挟んで
口口口口口口口口
口口口口口口口、口口口
口口口してる
あ。
こんな感じの詩を
最近読んだ気がする
森と森で
読んだ気がする
あ。
森が森でうなだれている
口の中は空っぽだね、
森が森へ帰った
森も帰った
森も森も森も森も森も森へ帰った
ぁ、
みんな帰ったのかな
それとも
みんな死んだのかな
あれ以来
森を見ていないし
枝の折れる音もしないし
誰も最後まで読んでいないし
ぁ、

あ。

文学極道

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