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作品 - 20150306_473_7946p

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違反といいねのカオス花盛りです

  

「情けは人の為ならず」の本来の意味は、いつも人には親切にしたほうがよいという意味で、現在のその意味は「情けが仇」でございます。昨日もスーパーのレジで賢く並んでおりますと、きっと家に介護が必要な方が居られるのか、そのような買い物をされていて、大荷物なってしまっていたのですが、ものすごく手際よく、カートに入れて、駐車場のバイクに、まるで積み木を積むように積んでおられました。



わたしはその様子を見て、あまりの手際の良さに驚いて、おもわず「手伝いましょうか?」と、「小さな親切大きなお世話」な、いらぬ世話を口走ってしまいましたが、そこも上手に笑顔でかわして頂けまして、わたしは、走り去るバイクを笑顔でお見送りすることができました。おかげさまで、なんと清清しい日なんだと思いながら、わたしもバイクに買った豆腐とビールをぶらさげて、家路についたわけでございます。



「情けが仇」といえば、携帯端末のタッチパネルでも使える手袋というのを100均で買ったのですが、これが画面を押しても、まったく何をしても反応しないわけでして、安物買いしたと後悔していたのですが、近頃、ちょうど人差し指の部分が破れて穴があきまして、めでたく使えるようになりまして、他人から見れば、なんとも無様な手袋ですが、わたしからすれば、見た目が悪くとも、非常に便利な手袋でございまして、わたしの穴あき手袋に情けは無用なのでございます。



好きなことでも、上手に好きと言わなければ、不憫に思われたり、その「好き」までもが指摘される時代でございまして、そこには未だに自由はなく、相変わらず歴史は戦中を繰り返しております。昔から、無邪気な人間でも、野球と政治の話は飲み屋でするなと言いますが、今のインターネットも、立ち飲み屋と同じ状態でございまして、ただ、人と人の間には、刑務所の面会所のようにガラスの隔てがあるので、お酌も乾杯も握手もできません。ただただ、言葉だけが空しく黄色信号のように点滅していまして、気持ちの方は徐行もせずに、飲酒運転や、スピード超過、シートベルトの締め忘れなど、違反といいねのカオス花盛りです。

文学極道

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