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作品 - 20150303_432_7942p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


カントリー・ロード

  少年B

さびれたアーケード街では
無表情の老若男女の風景が
謙虚さを装って悪意を刺す。

夕刻に下校する都会男児の尿意は
中央の時計台でついに爆発し、
とぼとぼ徒歩徒歩ドボドボのリズムで
足元の影を長たらしめて、
そこに隔離の気配が充満してくる。
見ているのは監視カメラだけで、
転校まで育った都会の産物。
見上げた先には、
長針短針の錆びついた田舎の遺物が。
ーーッ、ムカつく。

振り返れば情けない足跡だらけ。
都会用のシューズが泣いている。
電柱をキックするも虚しい。
制服半ズボンの裾をしぼって
一滴、二滴、突然の豪雨!
アーチに激しく打ちつけるのは、
故郷からの加勢・都会マシンガン。

煙草屋の犬が野良を演じて吠えてくる。
負けじと吠え返せば興奮が加速し、
濡れっぱなしの田舎衣を脱ぎ捨てて、
四つん這いに雨の街を駆けてゆく。
街の無表情たちは都会犬に驚いて、
途端に人間に還る。一言二言、
異境語は意味不明だった。
噛みついてやったら田んぼ臭がした。
無様に振り払われて境界線を引かれた。
ここからは、オマエ、入れないよ、
と、集団下校の田舎っ子が取り囲む。

頬をつたう一筋の液体
援護射撃はいつしか上がっていた。
きっと髪から滑り落ちたに違いない。
けして、涙ではない。
停戦協定の虹がかかって、
都会犬はそいつを飛び越えてやろうと
また、駆け出した。

文学極道

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